KORG 本社訪問インタビュー!

<戻る | | 次へ>

ELECTRIBE誕生秘話

ELECTRIBEシリーズ

ELECTRIBEシリーズ

ProphecyZ1を発表したころ、DJの方達が試奏しに本社に来られた時に、「エンベロープってなんですか?」、「LFOってなんですか?」というような基本的な質問を多くいただくという経験をしました。前機種に対して機能の追加だけを繰り返していると高度なものになり、さらに難しいものになってしまう。次に作る機材はシンセサイザーの神髄となる面白い部分だけを抜き出して、わかりやすいものを作らなければならないと痛感しました。今の高度なことができるシンセサイザーに行き着くためにも「踏み台」となるような入り口みたいシンセが必要だと思ったんです。

また当時安いシンセサイザーってなかったんですよね、安くても8〜9万円ぐらいしてて。自分達が初めて買った機材を振り返ってみると、「すごく安いシンセサイザー」だったんです。当時中学生だったから安いシンセサイザーしか買えなかったんですけど(笑)

あと、昔は機材を繋げる楽しみってありましたよね。シンセサイザー買って、リズムボックス買って、ミキサー買ってとか。いつの間にかリズムボックス等がワークステーション型シンセサイザーに全部統合されてて、リズムマシン単体機っていうのはほとんど出回っていない状態だったんですね。そういういった機材を組み合わせる楽しさをまた復活させたいと思っていました。

市原: 特にELECTRIBE・Rの音色の中には懐かしいドンカマチック的な音もあったり、ダンスミュージックの主流の音でないのにやたらキックが太くてどのリズムマシンにも属さなくて個性的だと思いました。ELECTRIBE・ARも持っていますが楽曲に今でも取り入れて使ってます。これらのELECTRIBE・RASELECTRIBE・Mが加わり、次のELECTRIBE・SX / MXが発売されるわけですね。

左端:「ELECTRIBE ESX-1」、右端:「ELECTRIBE EMX-1」(KORG本社ショールーム内)

左端:「ELECTRIBE ESX-1」、右端:「ELECTRIBE EMX-1」(KORG本社ショールーム内)

金森: ELECTRIBEシリーズは結果的にダンスミュージック制作ツールとしてカテゴライズされましたが、ロックや他のジャンルの人達にも新しい追加音源として使って欲しいという思いもありました。

水原: アナログシンセサイザーからずっと開発してきた技術を敷居を下げて出してみようと考えていたところにちょうど時代がダンスミュージックの流れにあり、曲を作りたいと思っているユーザー層とマッチしたとう背景があると思います。

市原: ループで曲を構成していくっていうところもダンスミュージックならではですもんね。

金森: フィルターが動くところなんてまさにそうですね。現にELECTRIBE・Aにディストーションというエフェクターを入れたことや、モーションシーケンスという機能の発想などは当時プロディジーやケミカルブラザーズなどが使っていた、シンセベース音を歪ませてフィルターでうねらせる手法がヒントになっています。

ライブ中のAndreas Kauffeltと3台の「ESX-1」

ライブ中のAndreas Kauffeltと3台の「ESX-1」

金森: どんどん積み重ねて作っていけるとか、再生状態で録音できて解除できるとか、音色の変化も再生を止めることなくできるというのはすごくこだわった部分ですね。アルペジェーターを演奏するためのリボンコントローラーもライブでの使用をかなり意識していましたね。実はELECTRIBE・MXELECTRIBE・SXは再生中でも保存ができるんですよ。パターンをセーブするには一回止めてから行う必要がありましたがシーケンサーを走らせている最中にWRITEができて、曲作りの過程でのサクサク感があるっていうのも魅力です。

坂巻: 普通の開発って計画してサーっと作っちゃうと思うんですよ。我々は作りながらどんどん手を動かして考えていくんで、操作感をこだわるDJの要求に満たせるようなものづくりの体制ができているんじゃないかなと思いますね。

金森: ELECTRIBEシリーズは逆に徹底的に全ての操作仕様とパラメーターを洗い出しました。その結果がすべてのパラメーターをパネル上で操作できる、という仕様になりました。

市原: そうですね、ELECRTRIBEシリーズは階層が深くなく、すべてパネル上にコントロールしたいパラメーターが並んでいますもんね。

金森: このようにELECTRIBEシリーズやその後発売されるKAOSS PADシリーズは人間が操作する部分というのをかなり意識して作りましたね。

市原: プリセットパターンも豊富で、これからダンスミュージックを始める方にとってはパターンを構成しているフレーズの勉強にもなります。

金森: プリセットパターンの制作についてはダンスミュージックの各ジャンルに精通した世界のアーティストがかなりかかわっていまして、アメリカやヨーロッパなどのプログラマーを何人も集めて作りました。

「KAOSS PAD」「KAOSSILATOR」〜X-Yパッドの魅力〜

市原: DJシーンに欠かせないアイテムとして定着したのがKAOSS PADシリーズだと思うのですが、発売された当時はどのような反響がありましたか?

KAOSS PAD シリーズ

KAOSS PAD シリーズ

金森: もともとああいうタイプの機材がなかったわけで、我々としては提案型の商品だったんですね。

市原: 初めてKAOSS PADを見たときに「何だこれは?!」と思いました(笑)。果たして必要なのかどうかも解らないし、銀色の筐体にパッドがあるだけという今まで見たことないデザインで、触ると赤く光るという(笑)。私が実際使っている現場を見たのは1999年に某フェスティバルだったんですけど、ホワンアトキンスがDJプレイ中KAOSS PADのフィルターを多用していて、相当気に入っているように見えました。その時「あぁ、こうやって使うんだ」ってわかりました(笑)。指一本でX軸Y軸の2つのパラメーターと、エフェクトのON/OFFが行えるというのはものすごいアイディアです。

水原: プロモーションの中では実は発売前からこっそりアーティストの方に使っていただき、クラブなどでゲリラ的に露出してもらったりして「なんだろな?おもしろそうだな」という印象を持ってもらえたかなと思います。

左:KAOSSPAD KP3、中:mini-KP、右:KAOSSILATOR

左:「KAOSS PAD KP3」、中:「mini-KP」、右:「KAOSSILATOR」

坂巻: KAOSS PADは1から2になってかなり評判が上がったのですが、これからKAOSS PADを購入される方がもっと解りやすいようにKAOSS PAD KP3ではパッドにエフェクト名が表示されるようになったり、エフェクトのON/OFFの切り替え時に急に音が変化するのを軽減させるようにFX RELEASEという機能などを加えています。

市原: 8×8のドットで構成されているパッドLEDも面白いですよね。指でなぞると赤い光が指についてくるところも。

栗原: 3機種目ともなると、より違ったアプローチにしていきたいなと思ってまして、KP1KP2をお持ちの方も次の機種も購入いただけるようにアップデートしようと考えました。

元企画/現営業担当の栗原氏

元企画/現営業担当の栗原氏

市原: 全機種持っているKAOSS PADファンもいらっしゃいますよね。12もそしてKAOSS MIXERも。

水原: 我々の製品で1、2、3・・・と続く商品は全機種お持ちの方が多いですね。

栗原: 大変ありがたいことです。そういったこともあり、KAOSS PAD KP3ではサンプラーをふんだんに取り入れたり、ルックスも一新させ、今度のKAOSS PAD KP3も欲しいなと思っていただけるような商品を目指しました。

坂巻: KAOSS PADって触れば音が変化するっていう簡単なエフェクターですので、もっとシンプルにすれば親しみやすくなってより多くの場面で使っていただけるんじゃないかなと思い開発しました。

左:KAOSSILATOR、右:mini-KP

左:KAOSSILATOR、右:mini-KP

坂巻: X-Yパッドでシンセサイザーをコントロールしたらどうだろうというアイディアは昔からありました。

栗原: シンセサイザーの音色自体はKP2の頃から搭載されていたんですが、誰でもどこでも手軽に楽しめるツールとしてmini-KPのエフェクターのみならず、シンセサイザーをフィーチャーしたパッケージングが面白いのではないかというところがきっかけですね。

市原: 筐体をmini-KPと同じにしたというのは、合わせて使えるようにということでしょうか。

坂巻: そうですね、一緒に使ってもらえれば面白いと思いますね。

市原: KAOSSILATORは音が出るだけではなく、ループレコーディングができたり、ループの長さが変えられてロールみたいになるとか面白いですね。開発で苦労した点でありますか?

坂巻: シンセサイザーってパラメーターが結構多いじゃないですか。言ってしまえばELECTRIBEをこの小さい筐体に突っ込んでしまおうという事と同じなので、パラメーターを選りすぐること、削りとること、音色を選ぶことっていうのが大変でしたね。機能の優先順位はかなり丁寧に行いました。

金森: そうですね。少ないスイッチに何をアサインしたらいいのかといった「機能の割り当てを何にするか」が大変でしたね。やりたいことがいっぱいあったんですが、そこは簡単にできることを見せる方を優先しました。

市原: KAOSSILATORはホント人気がありまして、入荷してもすぐ売切れてしまうんですよ。来店いただいたお客様はほとんどKAOSSILATORを触っていくんです。我々も暇があると遊んでしまうんですが(笑)、とても楽しいです。

<戻る | | 次へ>