機材の魅力をアーティストが語るPower DJ'sスペシャルインタビュー第二弾。


今後の予定

スタッフ:今回の新作はiTunesでの配信という事ですが、音に関してはなんかありますか?

SHIN:ああ、そのMP4っていう形式についてですか?

スタッフ:そうですね。CDではなく音楽ファイルというメディアに関して。

KEN:えっとねえ、あのマスタリング・エンジニアがドイツのCalyx MasteringのBo Kondrenっていう人に頼んだんですけど、彼のマスタリングの後、確かにデジタルっぽいところもあるんやけど、なにか音の気配が凄く好きで、なんかデジタルっぽいかアナログっぽいか周波数レンジがどうのこうのとか、そういうの超えて何かが伝わる音を作ってくれて、凄く個人的には満足してますね。

SHIN:なんか音の芯がないような、なんか「ちょわー」っとした音楽を作ってしまうと結構その後のMP3なったりとか、例えば色んな行程通るじゃないですか。
CDプレスとか、あれでどんどん余計ハッキリせーへん音になったりするけど、今回のは作ってる時もザックリなんかスピーカーが鳴って、「しょわー」っとはならない感じをイメージはしてたんですよね。
で、Bo Kondrenのマスタリングが終わって、そこら辺はもっと延ばしてくれて、もっと明確になったとかはあるから。
それでも曖昧な世界観とかはあるんですけど、音響的にはな、ガッチリした音にはなって…だからあんまりフォーマットにはこだわらないっていうか、だからMP4でも聴いてみたけど、まあ自分達でも楽しんで聴けるレベルだったんで。
MP3はやっぱり、ちょっとレンジが狭くなり過ぎるなーっていう、変わっちったなーとか思うけど、MP4までいくと、まあ場合によってはやっぱり、ああ問題ないんちゃう?て思うことが多くなって。
それよりかは、なんかCDプレスの方が怖かったりとかもしますね。
あれはほんと変わるんで、マスタリングで良く出来ても、プレスでもうムチャクチャになる事はよくある事なんで。
酷い場合歪んだりとか。

KEN:もう恐ろしい変化ですね。

SHIN:怖いですね。
だからMP4について、この前もなんか誰かがそれは音質的にはどうなんすか?みたいな話しにもなったけど、まあどっちかと言ったらCDプレスの方が怖いかなっていう気はしますね。

スタッフ:アナログの時とかどうですか?

SHIN:今回はたぶん日本で全部やるんで東洋化成じゃないかなと思ってるんですけど、前の時出した時はアリゾナのRoger SiebelっていうSAE Masteringっていう、昔のECMのジャズからシカゴの音響系、例えばTortoiseとか、Heftyの音とかもそうですし、その辺やってはる人に頼んで。
で、彼はカッティングも出来る人で、Beautiful Lifelinesっていうアルバム出した時やけど、あの時ちょっとだけ出したんですけど、カッティングまで彼にお願いしたんですよね。

KEN:Beautiful Lifelinesだけはアナログ、Rogerがカッティングしてくれてアメリカで作ったんやけど、CDよりも音は良くなってた。
音圧感とか凄くて、ベストではないんやけど、やっぱりさすがRogerだけあって、物凄いカッティングしてくれた(笑)

SHIN:結局プレスはアメリカやったっけ?

KEN:プレスはアメリカでやった。

SHIN:プレスはアメリカの工場でやって

KEN:Rogerが紹介してくれたとこ

SHIN:そうだ。Rogerがカッティングしてくれてプレスもアメリカでやってって感じですね。
でもなんかアナログの場合はな、この前のやつで問題あるとしたら自分達の音作りぐらいの問題で、なんか変になっとったとは決して思なかったんで、楽しみですね。 アナログで出したくなるような作品は今後作って行きたいですけどね。


SetsunaLised SetsunaRider

スタッフ:今回の「セツナライズド セツナライダー」というタイトルですが、意味や想いなどを聞かせていただいてもよろしいでしょうか?

SHIN:普通に生活していればいろんな事がありますよね。
それは楽しい事もあれば、悲しい事、なんにも意識せず過ぎ去る物事や、時間もあります。時にはセツナ過ぎてやってられないぜ、って時もあります。
このタイトルは1曲目のタイトルソングの原型ができてから、単なる思いつきといいますか、純粋に曲に対してよく響く、と感じられる言葉として生まれました。
始まりはセツナ過ぎて前がよく見えないぜ、っていう方向で、この曲に向かって行きましたが、うまく行きませんでした。
曲の冒頭部の歌詞、『悲しみと言うより讃える力』というようなポジティブな流れをこの曲に見いだした時にこの曲のあり様が見えて来ました。
雲の形のように変化し続ける日々の情景。
それらをくぐり抜けて行く中で人は無意識もしくは意識的に『変化』をうけいれていきます。
そうした力/視点を『ライダー』という言葉に託したのだと思います。

スタッフ:SPANOVAは音だけでなく、SHINさんの歌や詩も叙情的で暖かい気持ちになります。
詩という部分で今回は詩人の谷川俊太郎さんが参加していますが、どういった経緯があったんですか?

SHIN:小学校の時に教科書で読んだ谷川俊太郎の『朝のリレー』と出会いました。思い返せば詩というものに最初に心惹かれた瞬間だった思います。
今から7年ほど前に、谷川俊太郎の朗読会を聴きに行って終わった後、CDをお渡ししました。
以前から、彼の声と自分たちの音楽で何か作りたいという夢があり、その事も伝えさせて頂いたんです。
幸運な事に谷川さんがこの夢を理解してくれて、相模湖のスタジオまで声を録音する事ができました。計10編ほどの詩を朗読して頂きましたがまだ『谷川俊太郎の詩と声とSPANOVAの音楽』このパーソナルかつレジェンダリーな夢はまだまだ途中でして、その内のひとつが今回収録した「We Always Go On」です。
以前、HalCaliの『芝生』という曲を作曲/プロデュースしましたがこの曲にも谷川さんの声を使用させて頂いており、曲の生まれた経緯/エネルギーもこの一連の流れのものです。

スタッフ:曲を聴いた瞬間に「あ、谷川俊太郎だ!」と思って、驚きと同時に納得してしまいました。頭の中で自然とSPANOVAの音と谷川氏の声が繋がってたんで、今の話を聞いて感銘を受けました。
まさにレジェンダリーですね。

今回は作品全体として今まで以上に雄大で、一番ロックな匂いがしました。自分だけだとは思いますが。
製作中になにか目指す方向やビジョンのようなものはあったんですか?

SHIN: ロック的にしようとした意図は全くありませんが、台風が去った後の空がすごくクリアーなような感じといいましょうか、音としての激しさと、静かな心の有り様が自然に同居するような音風景は意識していたかも知れません。
うまくは言えませんが、ひとつのエネルギー体みたいなイメージは作業を続ける中で常におぼろげながら見えていて、そうした何かをロック的というならば、そうなのかも知れません。

スタッフ:なにかゆったりとした大きな静と動の、まさに台風のうねりが去った空を感じたのかもしれません。聴き終えた後の爽快感と脱力感も最高でした。

最後に、今後の予定をお願いします。

SHIN:5月20日にO-Nest、6月12日に上野水上野外音楽堂のイヴェントに参加します。夏あたりに、ワンマンのライヴもやるかも知れません。
リリースの方も今年中にまだやるつもりです。


ミニアルバム「SetsunaLised SetsunaRider」発売直前の忙しい時期に、自宅スタジオでの取材を快諾していただいたSPANOVAのお二人に感謝いたします。
当日はスタジオに向かう途中で雨が降り出しましたが、到着時には雲の中から太陽が顔を出し、暖かい空気と時間が流れていました。
まさに台風が過ぎ去った後の空のように…

SPANOVA
『SetsunaLized SetsunaRider』

  1. SetsunaLized SetsunaRider
  2. We Always Go On
  3. Nirvana My Mind
  4. Invisible
  5. It Should Be Done
  • TROPICALからiTunes Storeにて2010年5月19日世界へ配信!
  • WEA時代にリリースされた全タイトルも同時配信!



SPANOVA

SPANOVA
プロフィール

ジャズやソウルを始めとするブラックミュージックへの深い愛情、現代音楽やポピュラーミュージックから受けた刺激を自宅スタジオ「Daily Planet Studio」でダイレクトに変換し続ける兄弟デュオ。

1998年に1st Album「Dead Music Flamingo」でデビュー以降、作品毎にサンプリングを多用した独自のサウンドスタイルを強めると、「トリップホップ」とも形容され、2003年に発表した5th Album「Fictional World Lullaby」で集大成と呼ぶに等しいソウルフルな音世界を表現。

その後、数々のアーティストや映画・CMなどへの楽曲提供、シカゴの音響・エレクトロニカ系レーベル「Hefty Records」10周年記念アルバムで、日本人アーティストとして細野晴臣、坂本龍一と共にフィーチャーされるなど、海外でも高い評価を得る。

2010年5月19日に約7年振りとなる新作のMini Album「SetsunaLised SetsunaRider」をリリース。


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