一言で言うと、「皮」と「革」の違いは、毛や表皮などを取り除き使える状態にする『皮なめし(タンニング)』をしているかどうかです。
「皮」とは正確には「原皮(hide/skin)」と呼び、動物から採取された最初の状態を指します。
皮下組織の外側に、コラーゲンなどのたんぱく質を主成分とする真皮層があります。
真皮層は繊維が絡まりあった網状組織と、すべすべとなめらかな銀層から成ります。その外側が表皮と毛になります。
皮が革になるためには『なめし』作業が必要です。
皮のままでは放置しておくと腐ってしまうため、塩漬けなどの防腐処理を行います。
これを水洗いして汚れや血液などを取り除く作業から始まり、製品として仕上げるまでの全作業を行います。
『革を知る、革に触れる-タンニング=なめし』
なめしによって不要な部位はすべて取り除かれます。
革製品に使うのは銀層と網状組織からなるコラーゲンを含む真皮層のみ。
腐敗しやすい動物の脂やたんぱく質を含んだ毛・表皮・肉などの皮下組織は「革」には使われません。
革に使われる組織をクローズアップしてみましょう。
革の表情ともなる銀層は『銀面』と呼ばれ、原料皮(牛や羊といった革素材)によって表情や特性が異なります。
網状組織より繊維が細かく絡まりあっているので、伸びや水分透過性は網状組織に比べると劣ります。
一方の網状組織の繊維は『床面』と呼ばれ、背中を中心にして頭・両脚・尻尾へ向かってるので、
走行方向は伸びにくく垂直方向に伸びやすいという特徴があります。
革の耐久性や耐水性は、主に網状組織の厚さや繊維の太さ、密度によって変わります。
これは原料皮の違いだけではなく、同じ動物でも、腹や尻部といった部位によって異なります。
含まれるコラーゲンは親水性があり、繊維が立体的に絡まっています。
そのため多孔性が高く、しなやかさや通気の良さにつながっています。
湿度の変化で水分を吸収・放出するので、その特性を「革は呼吸する」と言われます。
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