革の取り扱いで難しいのが、水に濡れてしまった場合。
しかも雨のようにまだらに濡れてしまうと、塗れた部分だけが色染みになったり水ぶくれのように表面が浮いてしまいます。
これは、濡れたところだけだけ繊維が変形し、乾燥すると革の中の油分が不均一になって抜けてしまい、
収縮や硬化を引き起こすからです。また、雨に含まれる不純物が繊維に染み込んでしまい、乾いた時に残ってしまうのも原因です。
濡れてしまったら、シミになってしまう前に出来るだけ早く対処をしなければなりません。
- 1:乾いた布で水分を拭き取る
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古くなったTシャツの生地やタオルなど、吸水性の良い布で水分をしっかり拭き取ります。
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この時に汚れた布を使うと、返って塗れた部分に不純物が沈着してしまうので、
きれいな布を使うようにしてください。
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力を入れてゴシゴシと吹くと革が変形してしまうので注意が必要です。
布製品のシミ抜きと同じように、ポンポンと叩くような感じで(もしくは軽く押さえるように)、
革の表面に負担をかけずに拭きあげてください。
- 2:鞄の中に詰め物をして型崩れを防ぐ
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革は濡れている間は伸縮性が増すため、置きっぱなしにしておくといびつな形になってしまいます。
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それを防止するために、新聞紙やタオルを丸めて鞄に詰めて形を整えます。
これらの素材は水分を吸ってくれるので、型崩れ防止と自然乾燥の両方に有効です。
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あまり詰めすぎると返って変形してしまうので気をつけて下さい。
- 3:ゆっくりと自然乾燥させる
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日陰で風通しのよい場所に置き、ゆっくりと自然乾燥するのを待ちます。
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革は濡れると耐熱性が低下し、油分が抜けて収縮してしまいます。
急いで乾かしたいからといって、日光に当てたりストーブの近くに置くなどすると縮んでゴワゴワとしまう恐れがあるのです。
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一度収縮してしまうと元に戻せませんので、熱を使わずにゆっくりと自然乾燥させるのが一番です。
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鞄は革のみで作られているのはごくわずかで、内布に貼られた布や金属金具など、
異なる素材の組み合わせでできています。布が湿ったままだと革に色移りしますし、
金属によってはサビや変色の恐れがあります。細部までしっかり乾かすようにしてください。
- 4:クリームを塗ってコンディションを整える
- 3.で自然乾燥させた鞄は、本来含んでいる油分も水分も抜けた状態になります。
お肌のお手入れと同じように、クリームを塗って栄養分を与えましょう。
- 『革・お手入れ百科事典-革にも栄養 保湿クリーム』
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まだ水染みが残っている場合は、固めに絞った濡れタオルを、
水染みとその周辺をカバーするように、しっとりとするまで湿らせてから、
2.→3.→4.を繰り返します。これで若干目立たなくなります。
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