革は放置しておくと硬くなってしまうという弱点を持っています。
これは、皮がもともと持っていた油分や水分が時間の経過とともに揮発するのが原因で、
放置しておくと乾燥が進んで、ひび割れにまでつながってしまいます。
もともとは動物の皮膚ですから、人間同様に、乾燥すればカサカサとトラブルを抱えてしまいます。
人間と違うところは、新陳代謝ができないこと。
革は自力でコンディションを整えることは不可能ですから、人間が日ごろのケアで革の美しさを守ってあげなければなりません。
普段のお手入れは、柔らかい布でのカラ拭きやブラッシングでの埃落としなど、表面についた汚れを払う程度で十分です。
『革・お手入れ百科事典-毎日のケアで埃しらず』
革の表面の艶が鈍ってきたらクリームの出番です。
チューブ状や缶に入った固形状の物など様々な物が販売されています。
革に馴染みやすい水溶性やつやだしに効果のある油性など、
クリームによって特性があるので、革素材に合わせて選んでください。
クリームを選ぶ前に必要なのは、何革なのかということ。
革やなめし加工によってはクリームが使えない物もあります。
お買い上げのお店に聞くなどして、素材の情報をしっかり把握しておきましょう。
まずは少量をすくい取って、バッグの底や内側などの目立たない場所で試し塗りをしてください。
1日経っても変色や異変がなければ大丈夫、他の部分にも塗ってみましょう。
もし試し塗りで異変が見られたら、すぐに使用をやめましょう。
塗る時の注意点は、多量に塗りつけないこと。過度な油分補給は革にとってストレスに変わってしまいます。
革の内部繊維がゆるんで、コシがなくなったり脂じみや変色の原因になってしまうので、
できるだけ薄く均一に塗るようにしましょう。人間と同じで、厚化粧は禁物です。
また、古くなったり寒さで硬化してしまったオイルも使用は控えましょう。
こだわる人はクリームを手のひらにのせて、人肌に温めてから塗るそうです。
滑らかに塗るためにも、室温程度には温かい状態の方が扱いやすいと言えます。
塗った後の表面がカラリとしてきたら、最後に軽くカラ拭きをして余分な油分をぬぐって、お手入れは終了です。
この時にゴシゴシとこすらないことも重要です。
艶を出そうとついついこすってしまいますが、力任せにやるとそこだけ色落ちしてしまったり、
ペコンと変形してしまう恐れがあります。
シューキーパーがある靴と違って、型崩れを防ぐ方法を持たない鞄は、変形してしまうとプロでもお手上げになることも。
全体をまんべんなく、優しくなでるように磨いてください。
クリームを用いたお手入れ回数は鞄の使用頻度によって変わるので、
「何日ごとに」といった明確な数値はありません。
また、革は湿気に弱い反面、乾燥にも弱いので、季節によってもお手入れのスパンは変わるでしょう。
先述したように、革の表面の艶などを見て危険信号をキャッチしてあげてください。
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