ベタって?

優雅なヒレと美しい色彩でグッピーなどと同様に古くから親しまれている熱帯魚で、ベタ・スプレンデンス(Betta splendens)を改良した種です。
原種はタイ、カンボジアに生息し、オス同士は激しく戦うことからタイでは“闘魚”として賭けの対象とされ、ペットフィッシュとして非常に長い歴史をもちます。
現在のような美しく観賞価値が高いものは強い血統の作出の過程で生まれたといわれています。

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グラスで飼えるの?

ベタやグラミーの仲間はラビリンス器官と呼ばれる特殊な器官を持ちます。
この器官は上鰓器官(じょうさいきかん)とも呼ばれ、空気中の酸素を取り込むことができます。
そのため低溶存酸素(水中に溶存する酸素の量が低いこと)に強く、他にも低水温、低pHへの耐性があることからベタはグラスや小型容器で飼育できます。
しかしグラスで飼育するのは、換水等の管理がしっかり出来てこそのもので、より健康に飼育するならワンランク上の小型水槽へ切り替えた方が良いでしょう。

どんな種類があるの?

トラディショナル

ベタといえばこのタイプを示すほど一般的な品種です。
原種に比べ各ヒレが長く伸び、美しい姿を持ちます。
古くから改良されてきたタイプのためカラーバリエーションも豊富で、様々なタイプが見られます。
特に赤や青といった単色の完成度が非常に高く、安価で入門には最適な種です。

クラウンテール

タイや海外では大変人気で日本国内でも一般的になりつつあります。
ヒレの軟条が突出した形状からクラウン(王冠)の名で呼ばれ、先端だけが分岐するようなコームテールから発展した品種といわれています。
軟条の先端が3つに分かれる個体など軟条の裂け具合にはバリエーションが見られ、深く切れ込んだものほど評価が高く人気ですが、切り込みが深いと尾開きが悪くなる傾向にあります。

スーパーデルタテール

アメリカの愛好家によってトラディショナルタイプよりさらに大きく美しいヒレを持つ、ショーベタ(ショークオリティベタ)が作出され、現在では日本国内でも人気を博しています。
その形質の一つがスーパーデルタテールで、トラディショナルに比べヒレの軟条数が多いことから、より大きなヒレを支えることが出来るようになっています。

ハーフムーンテール

スーパーデルタテールよりさらに大きな尾ビレを持ち、尾ビレの開きが180°以上に開く個体がこの名称で呼ばれます。
このハーフムーンは遺伝子や親魚だけで決まるものではなく、日々のトレーニングによってスーパーデルタ、ハーフムーン、180℃以上開くオーバーハーフムーンになります。

プラガット

ショートテールベタとも呼ばれ、原種に近い短いヒレを持つ種です。“闘魚”で使用するために闘争性を重視して改良されています。
その中でも美しい個体が観賞用に改良され、現在ではベタ・インベリス(Betta imbellis)やベタ・スマラグディナ(Betta smaragdina)などの近縁種とのハイブリッドによる品種も作出されています。
ハイブリッドによって作出されたメタリカ等と呼ばれる品種はメタリックな体色が非常に美しい品種です。

大きなヒレを支える秘密

ベタはより美しく、大きな尾開きになるように改良されていきました。
一般にショーベタと呼ばれるスーパーデルタ以上の尾開きをする個体では、ヒレの軟条数に差が見られます。
ショーベタではヒレの軟条数(軟条の分岐回数)がトラディショナル・ベタより多く、軟条が多い個体ほど尾が大きく開くポテンシャルを持っていると言えます。
オーバーハーフムーン(180°以上の尾開き)の個体では3回以上分岐する個体も見られます。
しかし、軟条が少ないから悪い個体というわけではなく、日々のトレーニングでも尾開きを大きくすることが出来ます。
また、ダブルテールやクラウンテールでは軟条数が少なくても、尾開きを大きくすることが出来ます。プラガットのような尾ビレの小さな品種で軟条数を多くするのは、とても難易度の高い改良と言えるでしょう。

飼育のポイント

オスは必ず単独飼育
闘魚の名の通りベタのオスは激しく争うため同居は不可能です。そのケンカはすさまじく、お互いがヒレがボロボロになるだけでなく、弱い個体は殺されてしまうこともあります。
その闘争性の強さを利用し、水槽同士を隣同士にしたり、鏡を見せることでフレアリングし、ヒレを広げるトレーニングになります。

水換えを定期的に
水質の悪化に強いとされるベタですが、小型容器で飼育する場合は換水が非常に重要です。
特にヒレの長い種は病気によってヒレが固まってしまいやすく、定期的に換水を行うことで病気を未然に防ぎベタを健康に保つことが出来ます。
また新水ではヒレが溶ける可能性があるので、換水に使用する水はカルキを抜くことはもちろん、若干塩分を加え粘膜保護剤、マジックリーフと呼ばれる落ち葉やピートを使用して弱酸性の軟水に調整してあげると良いでしょう。

水流は弱めに
ベタは水の流れがほとんどない水溜まりのようなところに生息し、オスは水面に泡巣と呼ばれる産卵床を作ります。
また、長いヒレを持つ種は泳ぎも得意ではありません。
フィルターやエアーレーションによる水流を弱くしないと泡巣は簡単に壊れてしまうだけでなく、ベタの負担も大きくなります。

鏡でさらに美しく
ベタの美しい姿をさらに味わうには、鏡などでヒレを広げるフィンスプレッディングをさせると良いでしょう。
トレーニングにより尾ビレを広げる力が強くなり、より大きな尾開きを見せるようになります。
闘争心を煽ることで、より生き生きとした本来の姿を見ることが出来るだけでなく、元気があるか、ヒレに異常がないかという健康管理にもなります。
やりすぎると尾ビレが裂けたり、鏡に興味がなくなってしまうので、1日数分程度が良いでしょう。

繁殖も楽しめる!

ベタは特異な繁殖行動で知られ、バブルネストビルダーと呼ばれます。発情したオスが水面に泡巣を作り、産卵した卵を稚魚が遊泳するまでオスが保護します。
産卵はオスがメスに絡みつくようにして行われ、その様子は情熱的で神秘的なものです。産み落とされた卵をオスが咥えて泡巣まで運んで世話をする様子は非常に愛らしいものです。

繁殖のポイント
オスに十分な泡巣を作ってもらうために水流は極力弱めにしましょう。
浮草や発泡スチロール片を入れておくと泡巣の土台になります。泡巣を作る様子がないときは水温を28℃程度まで上げてみるとよいでしょう。

メスは十分に成熟した個体を選びましょう。
抱卵して腹部の膨らんだメス個体を使用し、オスの水槽に導入する前に袋に入れて浮かべ、十分にお見合いをさせて相性を確かめてください。
導入後、オスに激しく追われるようなら隠れ家を十分に用意し、衰弱してしまうようなら再び別の水槽に分けてください。 稚魚のエサにはインフゾリアを用意しましょう。
ベタの稚魚はグッピー等の稚魚に比べ小さく、初期飼料の難しい孵化後の1週間は“魔の1週間”とも呼ばれます。
この時期を乗り切ったら沸かしたてのブラインシュリンプを与えましょう。
出来る限り大きなメスを繁殖に使うと、卵や稚魚も大きくなるため稚魚の育成が楽になります。
愛好家の間では初期飼料にPSBを与えることでよい結果が得られることが知られています。

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