このページはバックナンバーです。(2005年2月28日発行)
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ひばりがカバーした曲のシンガーや当時のジャズ・シーン(第1回) 「美空ひばり/ジャズ&スタンダード」は有名な歌手が歌った曲のカバーが多い。 「恋人よ我に帰れ」はエラ・フィッツジェラルドやミルドレッドベイリーの歌がよく知られているが、ひばり版は多分にエラを意識した編曲になっている。「アイ・ラヴ・パリ」はコール・ポーターが'53年のミュージカル「カン・カン」のために書いた曲。フランク・シナトラも歌っていた。「ばら色の人生」はシャンソンで、エディット・ピアフの当たり曲だが、ジャズではルイ・アームストロングがトランペットを吹いて歌ったものが名盤だ。「クライ・ミー・ア・リヴァー」はジュリー・ロンドンのセクシーな歌声で日本でもヒットした。「スター・ダスト」はナット・キング・コールがヴァースから歌った名唱が有名だが、ひばりもヴァースから歌った堂々たる演唱で、感嘆させられる快唱だ。「アゲイン」は「上海」と同じくドリス・デイのヒット。ひばりのバラードのうまさは格別だ。 「ダニー・ボーイ」はアイルランド民謡。アイリッシュ系シンガー、ビング・クロスビーの歌が有名。「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」はドリス・デイが映画「情欲の悪魔」の中で歌ったのが印象的だった。ひばりは思い切りジャジーに歌う。「ブルーベリー・ヒル」はルイ・アームストロングの歌が大ヒットした。ルイのポップスはすばらしかった。ひばりも負けていない。「慕情」は同名の映画の主題歌。コーラス、フォー・エイセスのものがミリオン・セラーとなった。ナット・キング・コールや・フランク・シナトラなど男性が歌ったものが多い。 岩浪洋三(ジャズ評論家)
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