設備の買い付け -2-

仕込室前回はドイツに中古の設備を探しにいって古い醸造所をたずねたところまでお話しましたが、このあとも4ヶ所の醸造所を見て回りました。いずれも50年から30年ぐらいたった設備を使っていて非常に興味深いものでしたが、昔ながらに自前で麦芽を作る設備をもっていたり(かつては醸造所で麦芽をつくっていましたが今はほとんどやらない)、仕込釜の加熱を直火でおこなっていたり(今はスチームで加熱)という具合です。

結局最初に見たゾンネン醸造所の設備が古いながらも一番状態が良く、これを使おうということになりました。ところがちょうど我々が行った同じ日の午後にフランス人もこの醸造所に来てぜひ買い取りたいということになったそうですが、我々のほうが一足早かったということでこの設備は日本に来ることになったのでした。(そのフランス人からは何とかゆずってくれないかとその後もしつこく電話がありました。)

100年前の設備を使う

こんな古い機械で大丈夫なのかなとお思いの方も多いと思いますが、ビール造りの設備は100年前から基本的には変わっていません。素材は銅や鋳鉄からステンレスに変わりましたが基本的な構造は同じです。ただ現代のものは、省力化が進んでいて温度調節やらバルブの開け閉めをコンピューター制御で自動でやってくれますが、実はこれがクセモノでほとんどの故障の原因がこの自動制御の部分で起こります。いっぺん故障すると電気回路やらコンピューターの専門知識がないと修理ができず、さらに外国製のため部品の取替えに時間とお金がかかります。その点昔の機械は、バルブの開け閉めも手動、電気も単純なスイッチのオン・オフだけという簡単な構造になっていますので、故障する箇所も少なくそれほどの専門知識が無くても修理が可能です。

中古品市場

このときに醸造所のほかにまわったのが、醸造機器の中古品ディーラーです。さすがはビールの本場だけあってビール醸造用品を専門に扱う中古業者が各地にあります。ここへ行けば醸造用のタンクからポンプや細かい配管部品など何でも安く手に入ります。この中で感心したのは中古のビールタンクを下取りして、お客さんのオーダーによって改造して売るという商売です。新品に比べると価格も非常に安く、ここでいくつかのタンクをオーダーすることにしました。こういった中古品市場がよく発達しているのがドイツのいいところです。使えるものは何でもリサイクルして使ってしまおうという姿勢には感心しましたが、なにより簡単に安く手に入るのが便利でいいところです。

設備の輸入

設備到着設備を日本に持っていくためには醸造所から設備を運び出さなければなりませんが、これはオーバーホールの必要な設備もあったので、現地の醸造設備の修理業者にお願いすることにしました。日本までの輸送はコンテナに積み込んでしまうのが安いということでとにかくコンテナに入るだけつめ込んで日本に送ることにしました。やってみてわかりましたがコンテナの輸送費ってドイツから東京までの海上運賃と東京から盛岡までの陸送運賃はほとんど同じ金額なんですね。ということは、外国から貨物を運んできても東京だと運賃が約半分ですむということで、日本の地方格差の原因は物流コストの高さなんじゃないかと思いました。輸入の手続きについても慣れないしくみやら何やらが多く、勉強にはなりましたがこれについてはまた別の機会にふれたいと思います。


※中古の設備を輸入して醸造所を開きたい、醸造機器や部品を安く買いたいという方当社へご連絡ください。
何でもご相談にのります。

このページのトップへ

Presented by 株式会社 ベアレン醸造所 2007年05月20日更新
ホームページへ