犬や猫にとってなぜ水は必要？

犬や猫の身体は70%前後が水で占められています（※1）。水分は血液のほか、細胞の内部に多く含まれています（※2）。

暑さや飲水量の減少により脱水が引き起こされると、血液や細胞に含まれる水分量が減少します。

水分を失った細胞は空気の抜けた風船のようにしぼんでしまい、正常な機能を働かせることができなくなります。また、血液には食事から吸収した栄養素や呼吸により得た酸素、細胞から取り出した老廃物などのさまざまな内容物が溶け込んでいますが、栄養素や酸素の分配や、老廃物の体外への排出などの機能も水分を失うことでおこなえなくなります。

犬や猫にとって水分は生命活動を維持するために非常に大切な栄養素なのです。

水を飲まないことでかかりやすい疾患

熱中症や尿石症などの疾患は水分が不足することで引き起こされる場合があります。熱中症は暑さが原因となる疾患であり、高体温と脱水による劇的なショックは犬や猫の命を奪います。

一方、尿石症は尿中のミネラル分が結晶化することで石となり、膀胱や尿道を傷つける、詰まらせる疾患です。飲水量の低下に伴う尿量低下は、ミネラル濃度を高め尿石ができやすくし、加えて尿の持つ小さな尿石を洗い流す機能を低下させ、尿石症の発症を助長します。

尿石症によって尿の通り道が塞栓すると、膀胱破裂や急性腎不全などの大きな疾患が続発します。

飲水量をあげるために気をつけること

健康の維持や疾患の予防のために飲水量をあげようとしても、ペットが水を飲んでくれない場合があります。これは特に腎臓が繊細なつくりをしており、脱水の影響を受けやすい猫で問題になります

ペットに上手に水分をとってもらうためには、いくつかのポイントと注意点があります。まず、常に新鮮な水を十分な量を用意するようにしましょう。容器や水が汚れていると犬や猫は飲水を嫌がる場合があります。

食事中の水分量を増やすことも重要です。ペット用の缶詰などの汁気の多く、嗜好性の高い食事は水分の補給を助けます。

注意点として、水を飲まないからといってジュースやミネラルウォーターを与えてはいけません。ジュースはペット用の食事と比較にならないほど高カロリーであり、糖尿病や肥満症を引き起こす危険性があります。また、ミネラルウォーターに含まれるペットにとって過剰なミネラル分は尿石症の原因となります。

氷をいれて水を冷やすこともやめてください。お腹が急に冷えることで下痢などの体調不良の原因になります。

※1

環境省　飼い主のためのペットフード含有量