インディアンジュエリーの技法
オーバーレイ
 アメリカ大陸最古の原住民と言われている、ホピ族の得意とする「オーバーレイ技法」。上側の薄い銀板をさまざまなモチーフに糸ノコでカッティングし、下側の銀板には細い線を何本も何本も彫ったり、点々模様をつけていき、特殊な溶液で黒くいぶし、その2枚の銀板を重ね合わせることで完成する。下側の黒いいぶしの板と、上側のモチーフにカッティングされた銀板が重なることで立体的なジュエリーになる。
  その歴史は1930年ごろにホピ族のポール・スフキーがが編み出したとされている。有名なネイティブインディアンアーティストは、オーバーレイ技法生みの親のポール・スフキーの子、ホピ族のレーレンス・スフキー、ナバホ族のスティーブン・J・ビゲイ。
ベアパウオーバーレイバックル
参考上代38,000円
 
インレイ
 ズニ族が得意とする「インレイ技法」、別の名「インレイワーク」「チャネリング」「象眼細工」とも呼びます。この技法の特徴は、シルバーの土台にターコイズやオニキスなど、さまざまな天然石をモザイク模様や、サンフェイスやカチナ等の神様や、砂漠や宇宙、海等の自然をモチーフにした一枚の絵さながらに仕上げる技法です。
  インレイ技法にもさらに数種類に分かれていて、
・「チャンネルインレイ」シルバーの土台にシルバーの線で枠を作り、そこに石をはめ込んでいく技法。
・「チップインレイ」シルバーの枠に小さく砕いた天然石を埋め込んでいく技法。
  インレイ技法は右の写真のように、大変細かい作業で、熟練の技術が必要なのですが、非常に芸術性の高い作品が多く、世界的に注目されている技法です。インレイワークで有名なのは、ズニ族のナンシー&デニス・エダーキーです。
宇宙モチーフインレイペンダントトップ
参考上代39,600円
 
シャドウボックス
 「シャドウボックス技法」とは、ナバホ族の作品によく見られる技法で、中心のターコイズ等の石の周りにくぼみを作り、それを黒くいぶしさらにその周りに銀細工をすることにより、コントラストの強弱をつけ、石を立体的に美しく目立たせる技法です。
  この技法は絵画でも使われており「立体絵画」とも呼ばれています。
シャドウボックスサルジニアコーラルリング
参考上代15,600円
 
サンドキャスト
 通常、日本でキャストと言うとシリコンゴムなどを用います。この、「サンドキャスト技法」はシリコンゴムなんてのが使われていない時代のものですから、シリコンゴムではなく、その名の通り、サンド=砂を使います。
  砂を固め、その固くなった砂にジュエリーの形になるように彫ったり削ったりしていきジュエリーの型になったものに溶かした銀を流し込んでシルバーアクセサリーを作る技法です。
  言うは易し、と言いますが、まさにその通りで、実際にやってみると銀を流しいれる穴、空気の通り穴を上下2箇所に開けないといけないことや流し込む銀の溶け具合の見極めが大変難しいなど、熟練の技術と経験、労力が要求される技術になっています。サンドキャスト技法を使うと、型の砂素材により完成したジュエリーの表面が砂粒状のザラザラした表面になり非常にすばらしい深みを持った作品になります。
 ですが、1個の型より一つの作品しか作ることができず、また失敗すると苦労が無駄になってしまいます。なので現在はこの技法はほとんど使われておらず、作品自体も非常に珍しい物となってしまいました。
サンドキャストターコイズバングル
参考上代17,000円