Masashi Utsunomiya
2013宇都宮政志さん 25年度産商品ページ

9月初旬、朝露に輝く稲穂。蜘蛛の巣も見える。

南阿蘇の自然栽培家である宇都宮政志さんより自然栽培ヒノヒカリが入荷いたしました。昨年度までは「あきげしき」という品種も作っておりましたが、今年よりその美味しさで全国的に人気が高まりだした「ヒノヒカリ」へ栽培を一本化。南阿蘇村の大自然に囲まれた田んぼで夫婦一丸となり、安全で美味しいお米を作っております。■ とても長い名前を持つ、南阿蘇村の駅阿蘇山を間近に臨む阿蘇郡南阿蘇村。観光地として名高いこの村を通る南阿蘇鉄道高森線の駅には妙に長い駅名がいくつかあり、その代表として「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅(みなみあそみずのうまれるさとはくすいこうげんえき)」があります。この駅は読み仮名が22文字あり、日本一長い駅名として全国的に知られている有名な駅です。

遠くに見えるのは阿蘇をぐるりと取り囲む阿蘇外輪山。この大自然の中で宇都宮さんのヒノヒカリは育つ。

しかし!実はその隣りの駅に全国5位の長い駅名を持つ駅があるのです。その駅とは「阿蘇下田城ふれあい温泉駅(あそしもだじょうふれあいおんせんえき)」。駅名の長さもさることながら、なんと温泉浴場を併設しているという全国的にも非常に珍しい駅なのです。ちなみに阿蘇下田城ふれあい温泉駅のもう一つ隣りの駅の名前は「加勢駅(かせえき)」。短っっ!!■ 宇都宮さんが南阿蘇で米を作る、その理由そんな長い駅名を持つ二つの駅のちょうど間に宇都宮さんの田んぼはあります。その棚田より遠くを見渡せば、目に飛び込んでくるのは南郷谷の美しい水田地帯と阿蘇外輪山。反対側を見上げると高くそびえ立つ夜峰山。この他にはない南阿蘇だけが持つ風景こそが、かつて農薬や化学肥料を使わない安全な農作物を作りたいがためにそれまでの仕事を辞めて農業を行う決意をした宇都宮さんが就農先としてこの南阿蘇を選んだ理由の一つですが、実はもう一つ、この南阿蘇で農業を行いたかった大きな理由があるのです。■ 水都・熊本の水瓶である「水の生まれる里」それは「」。人口70万人を抱える熊本市は、大都市としては日本で唯一その水道水源を「天然の地下水」のみで賄っているという非常に水に恵まれた都市です。

宇都宮さんの棚田の水源は、田からほんの20mほどの距離にある。その間には民家も他の田も一切ない。

その豊富な地下水を涵養しているのは、実は他でもないこの阿蘇地域。先に述べた「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」にもあるように、阿蘇はまさに「水の生まれる里」なのです。特に南阿蘇は平野部が少なくほとんどの地域が山麓であるため、阿蘇山や阿蘇外輪山からの天然水がそこら中で湧きだしており、名水百選にも選出されている白川水源などの有名な水源の他にも、数え切れないほどの名も無き水源があちらこちらに点在しております。

宇都宮さんの田んぼも、数枚ある圃場の農業用水を全て阿蘇山系の湧き水でまかなっており、水源は田から上流にほんの十数メートル登った近場にあります。「新鮮さもそうですが、生活排水や他の田で使用した水が全く入らないのがいいですね」。名も無き水源から湧き出たばかりの透明の水に手を浸しながら、宇都宮さんはそう話しました。

10月初旬。穂の重さで頭を垂れる稲穂。葉にはまだ青さが残る。あと10日ほどで稲刈りだ。

そんな自然環境豊かなの土地で行う農業では、決して自然を壊してはならない。宇都宮さんはそう確信しています。ニンジン。玉ねぎ、小豆や大豆にらっきょう・・・・様々な農作物を栽培している宇都宮さんですが、農薬化学肥料はもちろんのこと、有機肥料ビニールハウスなどの一般の有機農家が使用する資材さえも使用せず、「ありのまま」の農業を行っています。■ 自然の中で自然のままに作るヒノヒカリ 水田で栽培しているヒノヒカリも、やはり農薬と肥料を一切使用せずに栽培しております。除草剤を使用しないため、除草機を何度もかけ、雑草が蔓延る時期には奥さんとともに朝5時から田に入り手除草を行います。育苗も阿蘇では一般的なビニールハウス内での育苗ではなく、田で直接苗を育てるという、昔ながらの「苗代」による育苗を行います。

そうして資材による保温や施肥を行わず、除草剤を使用せず、さらに非常に冷たい湧水にされされるという自然のままに育てられる稲は、田植え当初は非常にか細く頼りない成長に不安さえ覚えますが、6月の雨を過ぎ、やがて夏の日差しを浴びるころには力強く伸び始め、そして秋はその穂に立派な実りをつけて収穫の時を迎えるのです。