宇都宮政志さんの24年度産米がいよいよ入荷いたしました。23年度産は入荷数が少なかったため数日で売り切れてしまいましたが、正直言いますと、今回も入荷数はそれほど多くはありません!
と言いますのも、宇都宮さんのお米は完全無農薬ということに加え、肥料も全く与えずに稲を育てるといういわゆる「自然栽培」。収穫量は普通のお米はもちろん、有機肥料を使う「有機栽培」のお米よりも断然少ないのです。
というわけで自然栽培米ファンの方、お買い求めはお早めに。
数年前、自然栽培農家になることを志し、福岡から阿蘇へやってきた宇都宮さん。現在はここ阿蘇郡南阿蘇村でお米や野菜を作っておりますが、全て無農薬・無施肥の自然栽培です。
しかも単に農薬は肥料を使わないというだけではなく、苗の育苗には一切ビニールハウスなどは利用しないという徹底ぶり。阿蘇では多くの米農家が稲の苗作りを行う際にビニールハウスの中などで育てますが、宇都宮さんは苗箱を直接田んぼに置いて育てます。
「ビニールハウスで温めた空気で苗や野菜を育てるのではなく、自然の空気だけで作物を栽培したいんです」と語る宇都宮さん。実際に米作りだけでなく野菜を作る際も畑の雑草を抑えるための「マルチ」と呼ばれる黒いビニールを一切使用することなく、自然のままに野菜を栽培しております。田植機や稲刈り機など、実際の農作業で人工物を使用するのはもちろん避けられませんが、なるべく「便利なもの」を使わずにお米を作っているのです。
そうしてビニールハウスや肥料などの人工物を一切利用せずに育てる苗は成長が遅く、なんだか弱々しい印象さえ受けます。しかし実際には、ビニールハウスを使わずに外の冷たい空気を当てながら行う育苗は苗の従長(育ちすぎ)を抑え、ゆっくりと長い時間をかけて育てることにより、後に田んぼに植えて成長した際には病気や倒伏に強い稲となるのです。
倒伏(とうふく)とは稲が倒れることを言います。台風の強い風を受けて稲が横に倒れてしまうことが度々あるのですが、実は倒伏の原因は台風だけでなく、肥料を与えすぎたり、育苗をビニールハウスで育てることにより苗を無理に成長させることで稲の根が十分に成長せず、そして倒れてしまうという一因もあるのです。
苗を温室内で肥料をたっぷり与えて育てるということは、人間に例えれば小さい幼児を一歩も部屋の外に出さずに高カロリーな食事やビタミン剤ばかり与えて育てるようなもの。
そうして育てれば成長期に他の子どもより目に見えて身長や体重が増えるかもしれませんが、いざ大人になった時に足腰や内臓が健康に育ってるかといえば・・・それは簡単に想像がつくはず。稲も人間も同じで、ゆっくり自然のままに成長するのが一番なんです。