Hiroshi Omori
2015大森博さん 27年度産商品ページ

コンバインでササニシキを刈る大森さん

Harvest 稲刈り

9月22日、まずはササニシキの稲刈り。

大森さんは今年度、ササニシキとヒノヒカリを中心に栽培されております。本当は全てのお米を「掛け干し」で乾燥させたいそうですが、さすがに2ヘクタールほどの稲を全て掛け干しにするのは無理なので、10月に稲刈りを行うヒノヒカリは「掛け干し」にて乾燥し、ササニシキは遠赤外線の機械乾燥にて乾燥させます。

さて、本日9月22日はササニシキの稲刈り。2条ほどの小型のコンバインで稲刈りを行います。
ちらほらヒエの姿が見えますが、ここの田んぼはヒエの種が上の田んぼからどんどん入ってくるので、抜いても抜いても生えてくるとのこと。無農薬、そして棚田ならではの悩みですね。

途中、私が北野悦之さんと高島さんとこに稲刈りの撮影に行っている間にコンバインがぬかるみにハマったそうですが、家からブリッジ(足場)を持ってきてなんとか脱出したそうで、そんなハプニングがありながらも無事にササニシキの稲刈りは終了。お次は10月にヒノヒカリの稲刈りと掛け干し作業です。

生産者の大森博さん
  • 写真右下のぬかるみにハマったがなんとか脱出し、急遽コースを変えて稲刈り。土の柔い圃場にはよくある話である。

    写真右下のぬかるみにハマったがなんとか脱出し、急遽コースを変えて稲刈り。土の柔い圃場にはよくある話である。

  • 大森さんのコンバインはタンクではなく籾袋に籾を溜めていくタイプ。満タンを知らせるブザーがなったら袋を交換する。

    大森さんのコンバインはタンクではなく籾袋に籾を溜めていくタイプ。満タンを知らせるブザーがなったら袋を交換する。

  •   籾が溜まった袋稲刈り終了後にまとめてトラックに積んでライスセンターへ運ぶ。その後乾燥・籾摺りを行い当店へ入荷。

    籾が溜まった袋稲刈り終了後にまとめてトラックに積んでライスセンターへ運ぶ。その後乾燥・籾摺りを行い当店へ入荷。

掛け干しを行う大森さん

Drying 掛け干し

10月10日、ヒノヒカリの掛け干し。

大森さんといえば天日乾燥の掛け干し米。というわけで、今年も張り切って頑張りましょう!

白川沿いにある大森さんの田んぼへ到着すると、すでに結構な面積の稲を刈り終わっておりました。お手伝いのご友人たちが稲を干すアルミ製の稲干台を組み立てている間に大森さんは1条刈りのバインダーでぐるぐると田んぼを回りながら稲を刈り取っていきます。これなら今日中に終わりそうですね。でも実は朝のうちははかどっていなかったらしく、大森さん曰く「バインダーはちゃんと乾燥した稲じゃないとうまく刈り取りませんね!ちょっとでも朝露で濡れてるとうまく結束しないんですよ。だから無理に10時頃から始めるよりは昼から始めたほうがよっぽど効率がいいです」

こうした数多くの失敗を経験するからこそ技術が磨かれていき、やがて「掛け干し職人」へと変貌と遂げていくのです。

カメラ目線のカヤちゃん

今年はこのヒノヒカリの田んぼにはジャンボタニシが棲み着いたようで、苗をかじられ結構な欠株が出ましたが、一方で雑草も食べてくれたのとガンヅメを何回も掛けたことが功を奏し、昨年よりはずいぶん雑草が少ないようです。ジャンボタニシは阿蘇の寒さでは越冬できないのですが、この辺りは近くに温泉(阿蘇下田城ふれあい温泉駅)があるためか冬でも地熱で暖かいようで、一部ジャンボタニシが生息しているようですね。

バインダーでの稲刈りが終わり、今度はみんなで稲をかける作業を行います。田んぼ中に広がる稲を一輪車で集めては掛け、集めては掛け……。結構な重労働なのですが、みなさんワイワイと喋りながら一様に楽しそうに作業しておられます。乾燥機などなく親戚総出で稲を刈って掛け干しを行っていた時代は、こんな感じでストレスなくのんびりと仕事をしていたんだな、と感じさせる風景です。

大森博さんの無農薬・無施肥栽培のヒノヒカリを天日で乾燥させた「掛け干しヒノヒカリ」。夜は寒いくらいの低温でじっくりと時間をかけて乾燥させるために損なわれないことがない素晴らしい食味はもちろんのこと、次世代に受け継ぐべき文化的側面から見ても、非常に貴重で有意義なお米でございます。

これから1週間かけてじっくり乾燥させる
  • まずはバインダーで稲刈り。1条刈りなので1度に1列しか刈れないため非常に時間がかかるし、結束のトラブルも多い。

    まずはバインダーで稲刈り。1条刈りなので1度に1列しか刈れないため非常に時間がかかるし、結束のトラブルも多い。

  • 大森さんが稲を刈る傍ら、ご友人たちは稲干台を組み立て稲を掛けていく。皆さん毎年お手伝いにくるので手慣れたもの。

    大森さんが稲を刈る傍ら、ご友人たちは稲干台を組み立て稲を掛けていく。皆さん毎年お手伝いにくるので手慣れたもの。

  • 結束された稲を根元から半分に分け棒の上に掛けていく。大変な作業だがコンバインでの稲刈りには無い楽しさがある。

    結束された稲を根元から半分に分け棒の上に掛けていく。大変な作業だがコンバインでの稲刈りには無い楽しさがある。

除草中の大森博さん

Weeding 除草

手押し除草機で行う、気合の除草!

2haほどお米を栽培している大森さんですが、なんとエンジンで動かす動力除草機は使用しておりません。「ガンヅメ」と呼ばれる昔ながらの手押しの除草機で除草を行っているのです。
このガンヅメ押し、ずいぶん大変そうに見えますが、草が小さいうちは押すだけで力もそれほどいらないし、スイスイ歩く速さで掛けられるため、意外に作業速度は速いとのこと。そのうえ今日は友人がお二人お手伝いにきてくださっているので、2反ほどの田んぼもどんどん除草が終わっていきます。とは言え、ぬかるみに足を取られるので歩くだけで疲れる田んぼでの作業、終わった後はクタクタになるのは言うまでもありません。

  • ガンヅメは、前に押すと爪が回転する。その力で土を攪拌して草を浮かしたり練りこんだりするのだ。

    ガンヅメは、前に押すと爪が回転する。その力で土を攪拌して草を浮かしたり練りこんだりするのだ。

  • 除草をお手伝いするご友人たち。草が少ないこの時期ならそれほど力を入れずにガンヅメを押すことができる。

    除草をお手伝いするご友人たち。草が少ないこの時期ならそれほど力を入れずにガンヅメを押すことができる。

  •  大森さんがどこか別の場所に移動するたびに大急ぎで走って追いかけるカヤちゃん。もちろん除草は手伝ってくれない。

    大森さんがどこか別の場所に移動するたびに大急ぎで走って追いかけるカヤちゃん。もちろん除草は手伝ってくれない。

田植え中の大森博さんと、愛犬

Planting 田植え

愛犬とともに晴天の下、田植え。

快晴となった大森さんの田植え。農作業には必ず連れてくる愛犬・カヤちゃんが見守る中、田植えスタートです。
なんのかんのでプール、苗代ともにしっかりとしたいい苗ができたようで、順調に苗を植えていっております。さて、今年ももちろん天日乾燥の「掛け干し米」、……やるんですよね!?
「もちろんですよ!去年よりも掛け干しを増やすつもりです。もちろん、収穫期の天気次第ですので頃合いを見ながら量は調整していきます」

みなさん、今年も期待してていいみたいですよ。

  • 自宅裏手にある田んぼでコシヒカリを田植え中の大森さん。苗の出来もまずまずだそうだ。

    自宅裏手にある田んぼでコシヒカリを田植え中の大森さん。苗の出来もまずまずだそうだ。

  • 田植え中、愛犬は田の畔を終始うろうろしている。ヘタな散歩よりもよっぽど楽しそうだ。

    田植え中、カヤちゃんは田の畔を終始うろうろしている。ヘタな散歩よりもよっぽど楽しそうだ。

  • 少しでもハンドルさばきを誤ると植え付けラインが大きく曲がるため、田植え作業は集中して行う。

    少しでもハンドルさばきを誤ると植え付けラインが大きく曲がるため、田植え作業は集中して行う。

プール育苗で発芽した苗

Seedling 育苗

プール育苗と苗代折衷の2種類の育苗方法で健苗作りを目指す。

今年の大森博さんの育苗は2種類の方法で行っております。まずは庭先に作った小さいビニールハウス内に水をためて行う「プール育苗」、二つ目は田んぼに作った苗代に苗箱を直置きし、ラブシートという不織布をベタ掛けして行う「折衷苗代育苗」です。

「今のところ、プールのほうが発芽がそろって生育も安定してますね。でも自然環境に近い苗代のほうが最終的には強い苗ができるかもしれません」
米作りを止めていく周囲の農家から多くなっていることから、耕作面積が増えている大森さん。将来に備えて、効率よく、それでいてしっかりとした健苗の栽培できる育苗方法を研究しているのです。

折衷苗代育苗の苗の様子

生産情報

  • 生産者

    大森博

  • 生産地

    熊本県南阿蘇村河陽

  • 品種

    ヒノヒカリ、ササニシキ

  • 農薬の使用

    なし

  • 肥料の使用

    なし

  • 除草方法

    除草機、手除草

  • 種籾の消毒

    温湯消毒を実施

  • 種籾の入手

    自家採種

  • 栽培の履歴

    田植え … 2015年5月22日〜26日
    稲刈り
    ササニシキ … 2015年9月22日
    ヒノヒカリ … 2015年10月10日