Hiroshi Omori
2013大森博さん 25年度産商品ページ

10月中旬の稲刈り日和。南阿蘇の田園地帯に、なにやら見慣れぬものがあります。

■ 南阿蘇の田園地帯に見慣れぬ風景が今年もやってきた稲刈りの季節。ここ、南阿蘇村でも多くの田んぼで稲刈りが行われており、既に稲刈りを終えて稲わらだけが残る田と、まだ稲穂を揺らす田の二つに分かれ・・・・ん?よく見ると、そのどちらでもない田んぼがあります。近づいてみると・・・こ、これは掛け干しだ!■ これはまさしく「掛け干し」じゃないか機械による乾燥が当たり前となった現代の米作り。しかし、古来より伝わる伝統的な「天日と自然風による乾燥」である掛け干しを行っている農家が、どうやらこの南阿蘇村にはいらっしゃるようです。

掛け干し中の稲。風通しをよくするために、稲と稲の間隔を余裕を持って掛けていく。

■ なぜ「掛け干し」で乾燥させるのかこの掛け干し米の生産者は大森博さん。40代のここらでは比較的若い米農家さんです。阿蘇地域のお隣の熊本県益城町の出身である大森さんは、元々下益城郡美里町で農業を行なっておりましたが、今年からお母様の出身地であるここ南阿蘇村でお米を栽培しております。
さて大森さん、なぜこのご時世で手間のかかる掛け干しを・・・・?
「今までいろいろなお米を食べてきたし、いろいろなお米を作ってきたんですが、やっぱり天日干し(掛け干し)で乾燥したお米が一番美味しいんです」■ 熱を加えない低温乾燥だから食味が落ちないお米は炊く直前まではなるべく熱を加えないほうが美味しい、というのは常識でして、そのため米農家は乾燥時に送風温度が高くならないように気をつけたり、米の乾燥機メーカーも出来る限り低温で乾燥させる乾燥方式を日々研究しておりますが、それでも「掛け干し」ほどの低い温度での乾燥は到底無理なのです。
「今の乾燥機は30度程度と常温に近い温度で乾燥させますが、それでも15度以下の気温でじっくり乾燥させる天日干しのほうが、断然食味の面で優れていると思います」

稲刈り直前のあきげしき。農薬や化学肥料は使用せず、おからを使用した抑草技術を用いて栽培する。

■ おからを使った無農薬・無化学肥料栽培美味しいお米のために手間をかけている点は、掛け干しだけではありません。この掛け干し米の栽培にあたっては、除草剤や農薬は使用せず、肥料は「おから」だけを使用しております。
そのおからも、ペレット状に加工したものを田植えしたその日に撒いて初期の抑草目的に使用するもので、厳密には肥料をいったら稲わらくらいなもんです。おからペレットによる抑草もまだまだ完全なものではなく除草機も期間中に2回はかけるそうで、「取りきれなかった株間の雑草は手で除草しているんです」とのこと。
美味しく、その上安全で環境に負担をかけないお米を作るのには、並々ならぬ手間と努力が必要なのですね。