Takayuki Ogata
2015緒方孝行さん 27年度産商品ページ

緒方孝行さんが作る
無農薬・無施肥栽培のヒノヒカリ。

角刈りを行う緒方孝行さん

Harvest 稲刈り

10月9日、稲刈りです。

コシヒカリよりも稲刈りの遅いヒノヒカリですが、当店では緒方孝行さんが一番乗りで稲刈りです。
10月9日の秋晴れの朝。緒方さんの田んぼに到着するとワッサワッサと角刈りを行っておりました。「ふー、暑かばい」朝は寒かったのでどうやら厚着してきた様子の緒方さん。ツナギの中に着込んだインナーを脱いでも、なお汗が吹き出してきます。

夜は寒くて羽毛ぶとんと毛布を着込んで寝るが、昼は暑くてまだまだTシャツ一枚で十分。気を抜けばすぐに体調をくずし風邪を引いてしまうほど激しいこの時期の寒暖の差こそが、阿蘇のお米をより一層美味しく仕立ててくれるのです。あー、暑い。

稲刈りを行う北野悦之さん

稲刈りは北野悦之さん。緒方さんのヒノヒカリの田んぼは2枚とも基盤整備された四角い田んぼですので刈りやすいですね。4条刈りのコンバインであっという間に刈り取っていきます。

しかし今年はコシヒカリよりもヒノヒカリのほうが生育が良さそうですね。稲こうじも少ないですし。反6俵以上はあるんじゃないですか。「まぁ〜どがしこ取るっか分からんばってん、取れたしこたい」訳しますと「取れた分だけで十分、それ以上は望まない」ということです。もちろん無施肥栽培でもこれだけ取れるのは緒方さんが徹底して除草を行ったためであることは言うまでもありません。 ”生えてくる雑草を取る”という、実に単純であり、同時に極めて過酷な作業である基本作業をきっちりと実践することができるかどうかが無農薬栽培の成否を分ける。それは分かってはいるんですが、緒方さんみたいに朝の4時から除草作業して、また夕方から日が落ちるまで除草作業する、なんてできる人はそうはいないのです。

ちなみに緒方さんの田んぼの隣は高島和子さんの田んぼ、その隣は北野鉄矢さん、反対側には北野悦之さんと、この辺りには無農薬栽培の水田が集中しておりますので、農薬のドリフト(飛散)の可能性なども随分低いです。いずれはこの辺の田んぼが全部有機栽培になればいいんですけどね。

手刈りした稲を畔に置く
  • ガンガン稲を刈り取っていく北野悦之さん。今日は10月にも関わらず非常に暑いので朝露の乾きも早かった。

    ガンガン稲を刈り取っていく北野悦之さん。今日は10月にも関わらず非常に暑いので朝露の乾きも早かった。

  • 角だけとはいえ、腰を曲げて行う手刈りはけっこう大変な作業。田の枚数が多いとこれだけでくたくたになる。

    角だけとはいえ、腰を曲げて行う手刈りはけっこう大変な作業。田の枚数が多いとこれだけでくたくたになる。

  • 籾の溜まり具合を見て「こりゃ6俵はあるばい」と北野悦之さん。無施肥でこれだけ取れれば十分だ。

    籾の溜まり具合を見て「こりゃ6俵はあるばい」と北野悦之さん。無施肥でこれだけ取れれば十分だ。

7月下旬。旺盛に分けつした稲。

Summer

7月下旬。この頃になると稲の姿も見違えるほど成長してきます。

7月25日の緒方さんの田んぼの様子。あんなに小さくて頼りなかった稲も、この頃になると旺盛に分けつし、田んぼはすっかり緑に覆われます。無施肥栽培の稲は田植え〜6月頃までは成長が遅いのでこの時期非常にやきもきするのですが、梅雨明け頃になるとその姿が日を追うごとにどんどん成長してくるので、ようやく安心できます。

また、無施肥栽培の稲の成長はここからが本番。さらに分けつしつつも肥料分が少ないため無効分けつは少なく、一株ごとの植え付け本数も少ないので穂もずっしり実ってきます。その姿はまさに「秋まさり」。稲刈りとなる10月中旬頃には見事な稲の立ち姿が見れることでしょう。

7月25日の緒方さんの田んぼの様子
除草後の田んぼ

Weeding 除草

除草機掛けと手取り除草。

田植え後十数日経ち、稲が完全に活着したら除草機を掛けます。緒方さんは「ミニエース」という2条の動力除草機を使用しておりますが、なんせ2条、つまり一度に2列ずつしか除草できないので、2反(20m×100m)の田んぼを除草するだけでもかなりの時間が必要です。しかも動力付きなので一見楽そうに見えますが、田んぼの中は歩くだけで疲れますしね。
しかし、除草はこれで終わりではありません。この数日後にもう一回除草機を掛けたあとは、手取り除草に入ります。一株一株、除草機で取りきれなかった雑草を抜いていく作業は、もう「疲れる」なんてもんじゃないんですが、「もうやりとうなか」と弱音を吐きつつも結局は全面積をきっちり除草してしまう緒方さん。その甲斐あって今年も田んぼは非常に綺麗です。

  • 緒方さんの除草機。走行ラインが少しでもずれると稲まで除草してしまうので、運転にはかなり気を使う。

    緒方さんの除草機。走行ラインが少しでもずれると稲まで除草してしまうので、運転にはかなり気を使う。

  •  縦68mの田んぼを25往復する。ということは、この田んぼの除草だけで約3.4kmも歩く計算になる。そりゃ疲れる。

    縦68mの田んぼを25往復する。ということは、この田んぼの除草だけで約3.4kmも歩く計算になる。そりゃ疲れる。

  • しかも端っこに到着したら除草機を持ち上げて方向転換しなければならない。これがかなり腰にくる。

    しかも端っこに到着したら除草機を持ち上げて方向転換しなければならない。これがかなり腰にくる。

コシヒカリの田植えを行う北野鉄矢さん

Planting 田植え

田植え、そしてしっかりと補植!

さて田植えです。北野鉄矢さん、高島和子さん、そして緒方孝行さんと、無農薬栽培米仲間の圃場が並ぶこの田んぼに、今年もヒノヒカリの作付けを行います。 去年はいくつか水没する苗があったので、今年は育苗期間を数日長くして背丈をやや高くしたとのこと。無施肥栽培は苗の時から肥料は一切使わないので背は伸びにくいのですが、その分老化も遅いので育苗期間はやや長くとることもできます。
無事田植えも終了!……と思ったら数日後、田の中で苗を補植する緒方さんの姿がありました。補植するほど欠株もないように見えるんですが、そこはやっぱり緒方さん。きっちりしなきゃ収まらない性格なのです。

  • 緒方さんも何事もきっちりと行う性格の農家なので、とにかくゆっくり、真っ直ぐ植えていく。

    緒方さんも何事もきっちりと行う性格の農家なので、とにかくゆっくり、真っ直ぐ植えていく。

  • 苗が水没しないように育苗期間を長めに取ったほか、例年よりもさらに圃場の均平化を心がけたそうです。

    苗が水没しないように育苗期間を長めに取ったほか、例年よりもさらに圃場の均平化を心がけたそうです。

  • 3反ほどの田んぼを全面積きっちり補植。朝何時間かやって仕事に行き、夕方帰ってきてまた何時間もするのだ。

    2反ほどの田んぼを全面積きっちり補植。朝何時間かやって仕事に行き、夕方帰ってきてまた何時間もするのだ。

種まきを行う北野鉄矢さん

Seed 種まき

今年も早朝から種まき作業。

朝7時。緒方さんちに到着すると、すでに種まき作業は佳境を迎えておりました。「小屋のライトつけて朝4時の暗いうちからやりよるばい」緒方さんは近くの東海大学農学部で働きながらの農業ですので、平日の農作業は早朝か夕方以後が基本なのです。手動の種まき器で種をまき、シャワーで冠水したら上から土をかぶせ、育苗器内で無加温で出芽させます。

育苗は自宅裏手にあるビニールハウスで行いますが、少し前に種まきを終えている「あきげしき」がすっかり芽を出しておりました。これからハウス内で温度管理をしながらおよそ3週間ほど育て、田植えとなります。

  •  自宅横にあるビニールハウス内で育苗を行う。奥がコシヒカリで手前の背が低いのがヒノヒカリの苗。

    まずは種まき。床土を入れておいた苗箱に種をまいていく。種まき器はあらかじめ一定量播種できるように設定しておく。

  • ビニールハウス内での育苗はきめ細やかな温度管理が必須。温度計で温度を計りながらハウスの開閉を行う。

    種をまいたら水でしっかりと冠水し保湿させる。その後上から種が見えなくなる程度に土をかぶせる。

  • 北野鉄矢さんは毎年いろいろな実験を行っている。写真は太陽シートベタ掛けの場合の育苗を実験中の様子。

    育苗用のビニールハウスには芽の出揃ったあきげしきの姿が。あきげしきは保有米用に栽培しているとのこと。

生産情報

  • 生産者

    緒方孝行

  • 生産地

    熊本県南阿蘇村河陽

  • 品種

    ヒノヒカリ

  • 農薬の使用

    なし

  • 肥料の使用

    なし

  • 除草方法

    機械除草、手除草

  • 種籾の消毒

    温湯消毒を実施

  • 種籾の入手

    自家採種

  • 栽培の履歴

    田植え … 2015年5月17日
    稲刈り … 2015年10月9日