Noriyoshi Kudo
2013工藤節義さん 25年度産商品ページ

稲刈り直前の工藤さんの田んぼ。

南阿蘇の大自然と湧水で育つコシヒカリ 阿蘇外輪山を間近に臨む、ここ南阿蘇村河陰(旧阿蘇郡久木野村)地区。工藤節義さんは、観光客にも人気が高いこの自然豊かな景勝地で、農薬や化学肥料に頼らない安全な米作りを行っています。

井芹政重さんとは家近いご近所同士。井芹さんが無農薬・無化学肥料栽培でのお米作りを始めるにあたり一緒に作ってくれる有志を募っていたところ、それに工藤さんが賛同し、今年から一緒に作ることになりました。

水は井芹さんの田んぼと同じく、竹崎水源を主流とする阿蘇外輪山系の天然水。雄大な南阿蘇の自然と相成って、最高の環境での米作りとなっております。

稲刈り直前の工藤さんの田んぼ。

10年以上前から化学肥料の使用は中止 実は工藤さん、化学肥料の使用は10年以上も前から行なっていないそうです。
「この田んぼは土が超えていて、余分な肥料はいらないんです」
なんでも、この田んぼの元々の栄養分はとても豊富であり、ちょっと化学肥料を入れると稲が成長しすぎて倒れてしまうので、肥料は前年度の稲の切藁と、蓮華の植物性有機肥料のみ施しているそうです。……ん?「蓮華」ってなんですか?あの「蓮華」を米作りに利用しております 蓮華といえば小振りなピンク色の花びらが特徴の綺麗な華ですが、実はすごい能力があります。植物の成長には窒素分が必要不可欠なのですが、蓮華はマメ科特有の根粒菌の働きによりその体に大気中の窒素分を蓄えるため、田植え前の田んぼにすきこむことで天然の窒素肥料として利用することができるのです。

工藤さんは蓮華の利用を20年前から行なっておりまして、毎年稲刈りが終わった後に蓮華の種を田んぼに播くそうです。翌春には花を咲かせ美しい群生で人々の目を楽しませた後は田植え20日前にトラクターで田んぼにすきこむことで、土の窒素を充填させ、田植え後の稲の発育を促すのです。

稲刈り直前の稲穂。今年の出来は非常に良いそうだ。

この蓮華を使った農法は、以前は牛堆肥とともに広く使用されてきた、日本の稲作における伝統的な天然肥料でした。農薬とともに驚くべき速さで稲作に浸透していった化学肥料の存在により、今ではこの農法を行っている農家はごくわずかです。
農薬と化学肥料の計画的な使用が「現代稲作の正しい農法」として現在でも当たり前に行われている中、農薬や化学肥料を使用せず天然の肥料だけを使用するという工藤さんの農法は、1950年代以前の「全ての農家が有機農家だった時代」に立ち返った古い農法ですが、その古い農法こそが現代に求められている、「最も新しい農法」ではないでしょうか。 立派な田んぼから分かる、真面目で丁寧な米作り 実は私がこの地区の農家の方々に対し、喜多無農薬米生産会の北野悦之さんと共に無農薬栽培米の説明会を行った時はたくさんの農家の方がいらっしゃいました。中には30代の若い米農家もおり、結構前向きに話を聞いてくださったのですが、実際に始められたのは井芹さんと工藤さんのお二方のみ。やはり普通の農家さんは「除草作業がきついから無農薬はやりたくない」と敬遠されているのが現状です。
工藤さんも「途中で足を悪くしたから除草機を一回しかかけられなかった」と残念そうに話していましたが、それでも稲刈り前の田んぼに雑草の姿は少なく、その丁寧な米作りに工藤さんの一米農家としての真面目な姿勢が伺えます。