Etsuyuki Kitano
2012北野悦之さん 24年度産商品ページ

お待たせしました。北野悦之さんの24年度産ヒノヒカリ。

田んぼに立つ北野悦之さん。

23年度産は入荷分が3月くらいにさっさと完売してしまったので、なんとか頼み込んで北野さんが自分んちで食べる分まで当店に出していただいたという裏事情のあった「北野悦之さんの無農薬栽培ヒノヒカリ」。いよいよ待ちに待った24年度産が入荷です。

今年も無農薬&有機肥料栽培。
南阿蘇村の農家である北野悦之さんが作るこのヒノヒカリ、農薬と化学肥料は一切使用せずに栽培しております。種籾の消毒はお湯で行う「温湯消毒」、除草剤も使用せず除草機手除草で草を取り、殺虫剤なども全く使用いたしません、肥料は完熟堆肥と南阿蘇有機肥料生産センターの「牛若丸」という有機肥料のみを使用しております。

稲刈り前の田んぼ。背後には阿蘇山が見える。

生産者の顔が見える、安全安心な米作り。
5年ほど前から無農薬でお米を作り始め、年々その面積を拡大させてきた北野さん。
「米を収穫したらJAに出荷して、ハイ終わり」「他人のお米と混ぜられて売られ、買う人はその米がどこの誰が作っているのかも知らない」。そんな「JA依存」で「生産者の顔が見えない」米作りから脱却を果たした北野さんには、ある考えがありました。

北野さんの考える「南阿蘇の稲作」の未来。
米農家として「安全で美味しい米を作りたい」「低迷し続ける南阿蘇村の稲作を活性化させたい」との想いを持っていた北野さんは、今後の南阿蘇村における稲作の未来について、こう考えました。
―― 多くの米農家がお米の無農薬栽培に挑戦することにより、安全で安心なお米を多くの消費者の元へ届けることが出来るのと共に、農薬や化学肥料を使用しないことによってドジョウやシジミ、ゲンゴロウなどの生物を守り、硝酸態窒素による地下水の汚染を防ぐという“環境保全型農業”が広い面積で可能になる。

籾の温湯消毒を行う北野さん。

―― そういった無農薬栽培での米作りを拡大させ持続していくことにより「南阿蘇産米」のブランド力が向上し、やがては米作りできちんとした収入を得ることができる農家が増え、耕作放棄地の増加を抑えたり、若手の新規就農者の増加へ繋がっていくのではないか。

こうした村の米作りの未来を見据えた考え元に、北野さんはある決断をしました。

「喜多無農薬米生産会」結成への道のり。
自身の住まいのある南阿蘇村喜多地区に、米を完全無農薬・無化学肥料で栽培する農業組合である「喜多無農薬生産会」を立ちあげ、近隣の農家仲間へ参加の声をかけたのです。

しかし、長年エコファーマーとして減農薬で米を作ってきた農家仲間や酒造メーカーに依頼されて無農薬で酒米を作っている仲間たちも、食用米の完全無農薬栽培にはさすがに難色を示しました。田植え後に田んぼに次々に生えてくる雑草に対する有効な手立てが、田んぼの水位を常に深く保つ他には「除草機を押して回る」か「手で抜く」という方法しかないからです。
ぬかるんで足場の悪い田んぼの中を除草機を押して何回も往復したり手で除草したりといった作業は、若者でも音を上げるほどの重労働。高齢の農家には非常に辛い作業なのです。

喜多無農薬生産会のメンバーたちに除草機の講習を行う北野さん。

熱い魂を持った米農家が参加!
しかし何度かの会合の結果、今年度は5名の農家さんが喜多無農薬生産会に加入し、無農薬米作りを行なってくれることとなりました。人数こそ少ないものの、米作りに対して非常に真面目で、かつ熱い魂を持った農家さんばかりが集まりました。

そこからは北野さん、もう大忙しです。会の代表として無農薬での栽培方法を指導し、除草機の使い方の講習会を開き、みんなの田んぼに有機堆肥を撒いてまわったり・・・。さらに7月には九州北部豪雨により南阿蘇も大打撃を受け、その対応と復興に駆け回ることとなりました。

小学生の前で米について説明している北野さん。

そんな多忙な日々に追われながらも、近所の小学校に田んぼを提供して生徒に田植えから稲刈までの一連の米作りを体験をさせたり、近隣と米農家と共に「無農薬栽培米の稲刈り体験ツアー」を企画し、生産者と消費者の交流を深めたりといったことも積極的に行なってきました。
喜多無農薬米生産会にとっての「米作り」とは“米を作って出荷すること”だけではありません。地元の子どもたちに対し食育を行ったり、消費者に自分たちの米作りを伝え、そして実際に体験してもらうのも「米作り」の一環なのです。

北野さんが「ヒノヒカリ」を栽培する理由。
話は変わりますがこの「ヒノヒカリ」という品種、「コシヒカリ」が圧倒的な知名度を持つ関東圏ではあまり聞きなれない品種かもしれませんが、九州ではとてもメジャーな存在であります。北野さんはこの「ヒノヒカリ」こそが、自分の田んぼに一番合った米だと断言します。

「一緒に作ったコシヒカリと何年にも渡って食べ比べしたけど、毎年必ずヒノヒカリのほうが美味しいんだよ」。実際にお米の美味しさを測定する「食味計」で測っても、ヒノヒカリのほうが食味値が高いんだとか。ヒノヒカリを食べたことない方も、ぜひご賞味くださいませ。

  • 黄金色に実った稲たち。
  • 小学生に稲の刈り方を指導する北野さん。
  • 北野さんの田んぼにある、ドジョウの生息を示す看板。