Yoshiyuki Goto
2013五嶋義行さん 25年度産商品ページ

生産者の五嶋義行さん。有機農家であり、市議会議員でもある。

■ 五嶋さんのコシヒカリ、今年も入荷当店のございます阿蘇市の市議会議員も務める有機農家五嶋義行さんが作る、おなじみ「五嶋義行さんの自然栽培コシヒカリ」。25年度産のお米も無事収穫完了となり、めでたく発売を迎えました。

昨年度のお米は「九州北部豪雨」の影響により著しく収穫量が減少した五嶋さんのコシヒカリですが、今年度は大きな自然災害はなく、夏季の天候のよさも相成って、同じく自然栽培で作っているヒノヒカリミルキークイーンとともに非常に良い出来となったそうです。
今年で、お米の無農薬栽培を始めた年度から30年目の節目となった五嶋さんの米作り。思い起こせば様々な出来事がありました。

稲の収量をチェックする五嶋さん。災害のあった24年度よりはずいぶん良さそうだ。

■ ある出会いをきっかけに始まった安全な米作り昭和59年。今からおよそ30年も前のこと。五嶋さんのその後の米作りを一変させてしまうことになる、ある人との出会いがありました。そのお方とは後藤清人さん。阿蘇の隣りにある菊池市で米作りを営む農家であり、30年前の時点で既に15年もの間に渡り無農薬でお米を作っていたという、日本を代表する有機農家の一人です。

有機農業などほとんど知られていなかったその当時「農薬も化学肥料も使わない」という後藤さんの農法に衝撃を受けた五嶋さん。同じ頃に出会った自然農法研究の第一人者である九州東海大学農学部教授片野學氏や自然食の先生などの影響もあり、この阿蘇の地で安全な米作りを実践していくことを決意しました。

以来、五嶋さんは阿蘇市狩尾地区と跡ケ瀬地区において農薬に一切頼ることにない稲作を続けてきました。以前は使用していた牛堆肥などの有機肥料の割合も徐々に減らしていき、現在では田んぼに施すのは前年度に収穫した稲の稲わらと籾殻、茅などの植物性有機肥料のみとなりました。
基本はその田んぼで育ったものや周囲の植物を田に還元するだけ。米はそれだけでちゃんと立派に育つんだよ」。

稲刈り目前の田んぼ。この取材の3日後に稲刈り…のはずだったが、水分量を鑑みて一週間後に変更した。

■ 五嶋さんの考える、これからの米作り「TPPが締結されれば稲作はがらりと変わるよ。国境なんてなくなるわけだからね」五嶋さんはこれからの日本の米作りをそう分析しつつも、有機農家としてぶれのない、強い意思を改めました。
これからの農家は大規模化は必須だけど、将来米の生産をどれだけ増やそうと、農薬を使うことは絶対にしないよ。使うくらいなら増やさない」

近い将来、格安の外国産米が日本に入ってくるかもしれない。その時「日本産米」に何が求められるのか。 「日本の有機農家」はどう行動していくべきなのか。 日本の農業の真価が問われる時代こそ30年間行ってきた安全な米作りを迷わず行っていく必要がある。五嶋さんはそう確信しています。

コンバインで収穫した籾はトラックに載せてライスセンターへ運ばれ、すぐに乾燥施設へ投入される。

■ 収穫量の倍返し、達成いたしました 「今年の出来は去年よりずいぶん良さそうですね」私がそう尋ねると、五嶋さんは笑って答えました。「そりゃ全然いいよ。だって去年は反3俵(10a180kg)だったもんな」
阿蘇全域で猛威をふるった九州北部豪雨(2012年7月11日発生)は五嶋さんの田んぼのある阿蘇市狩尾地区にも大きな被害をもたらし、終わってみればお米の収量は例年の半分以下の量となりました。

しかし今年の夏は大きな災害や台風もなく天気の良い日も多かったため、平年通りの収量を上げることができました。元気に実った五嶋さんの自然栽培コシヒカリ、今年も美味しくご賞味くださいませ。