Asononaka Store
2014阿蘇のなかストア 26年度産商品ページ

10時から始めたヒノヒカリお稲刈りは夜7時過ぎにようやく終了。終わる頃には日はすっかり落ちてコンバインのヘッドライトを頼りに稲刈りする羽目に。なお、当日は171年に一度の「ミラクルムーン」で、お月様がとっても綺麗でした。

10時から始めたヒノヒカリお稲刈りは夜7時過ぎにようやく終了。終わる頃には日はすっかり落ちてコンバインのヘッドライトを頼りに稲刈りする羽目に。なお、当日は171年に一度の「ミラクルムーン」で、お月様がとっても綺麗でした。

11月5日、ヒノヒカリの稲刈り

こんな時期にヒノヒカリの稲刈りしてるのは当店くらいなもんですが、なんせ田植えが6月27日でしたからね。もう阿蘇は初霜が観測されてるくらい寒いんですけど。

ですが、私思うんですよ。この時期の阿蘇は、日中はまだ車の中ではエアコンをつけるくらい日差しが暑く、一方、夜はというと暖房つけないと風邪を引いちゃいそうなくらい寒いんです。つまり「寒暖の差がとても激しい」んですが、この寒暖の差によりお米の味が美味しくなるのではないか、と。

登熟期、稲は日中の日差しを受け光合成してブドウ糖を作りますが、夜にはそのブドウ糖を穂に送りこんででんぷんとして蓄積していきます。この時期、もし夜が暑ければお米は体温を調製するために呼吸をさかんに行い昼間の光合成で蓄えてブドウ糖を使ってしまうため、うまく登熟できません。 だからもっとも寒暖の差が激しい10月下旬を経て、11月に入って霜が降りた後くらいに稲刈りするのが実は一番お米が美味しく収穫できる時期なのではないのでしょうか。

まぁ実際本当に美味しいかどうかはぜひお客様の舌で判断してください!

コシヒカリ、ササニシキの稲刈り
笠野さんのコンバイン。運搬の都合で2条刈りしか運んでこれなかった。しかし「本当は2条刈りだけど穂が少ないから一度に3条刈れるばい!」うう……来年はもっと頑張るぞ……。

笠野さんのコンバイン。運搬の都合で2条刈りしか運んでこれなかった。しかし「本当は2条刈りだけど穂が少ないから一度に3条刈れるばい!」うう……来年はもっと頑張るぞ……。

刈り取った籾は運搬車で笠野さんのライスセンターに運ぶ。種もみを自家採種する場合はこの時点で確保しておく。その後天日干しして保管。

刈り取った籾は運搬車で笠野さんのライスセンターに運ぶ。種もみを自家採種する場合はこの時点で確保しておく。その後天日干しして保管。

もう仕事時間を過ぎているのに、なぜか阿蘇のなかストアの田んぼでTシャツ一枚で稲刈りをする羽目になった宇都宮さん。こ、これもいつかいい思い出になりますよ!

もう仕事時間を過ぎているのに、なぜか阿蘇のなかストアの田んぼでTシャツ一枚で稲刈りをする羽目になった宇都宮さん。こ、これもいつかいい思い出になりますよ!

10月17日にようやくコシヒカリとササニシキの稲刈り

こんな時期にコシヒカリの稲刈りしてるのは当店くらいなもんですが、なんせ田植えが6月10日でしたからね。その上今年の夏は雨ばかりで日照不足。秋になって天候が回復しましたので、夏に成長が遅れた分長めに登熟期間を取ったためにさらに稲刈りが遅れたのです。

今年も稲刈りは笠野さんにお願いしまして、午後2時より稲刈りスタート。この田んぼは3反あるのですが、コシヒカリを2反ササニシキを1反栽培しております。まずは運搬の都合でササニシキの方から刈り取ります。

このコシヒカリとササニシキ、同じ日に種をまいて、同じ日に田植えをし、同じ田んぼで育て、同じように無農薬・無施肥栽培で作り、同じ日に稲刈りするという全く同じ条件で栽培したんですが、明らかにササニシキのほうが分けつも多く茎も太く、穂数も多いんですね。ササニシキは冷害に弱いので東北では作付されなくなったそうですが、実は結構たくましい品種ではないのでしょうか。

そんなこんなでササニシキの収穫は終了。と、その前に来年用の種もみを確保しなきゃ。来年1haササニシキを作るとして、一応多めに30kgくらい取っておこうっと。
と、ここで笠野さん「そういえば宇都宮くんもササニシキの種もみ欲しいて言ってたよ」。宇都宮さんも今年ササニシキを作ったんですが、籾を自家採種するのを忘れていたそうで、だったら同じ自然栽培のササニシキなんでうちの種もみを分けますよ。どれくらい必要ですが?

笠野さんが宇都宮さんに電話連絡します。「今阿蘇のなかのササニシキ刈りよるばってんた、種もみはどんくらい要るかい。つーか籾運びの手伝いにきなっせ。待っとくばい」。どうやら笠野さんの強引な勧誘により宇都宮さんがうちの稲刈りにお手伝いに駆り出されるようです。

宇都宮さんにも稲を刈ってもらいました

30分後、宇都宮さんが到着。「すんません、僕、5時から仕事なんですけど……」。えっと、今4時半ですね……。「今日は遅れるって電話入れときます…」。いや、本当にスンマセン。

宇都宮さんの軽トラの荷台にコシヒカリの籾を入れて宇都宮さんに笠野さんのライスセンターまで運んでもらうことにしました。ありがとうございます。お礼といっちゃあなんですが、ササニシキの種もみを5反分くらいプレゼントしますんで……!

残すところコシヒカリもあと数列。と、ここで笠野さんが「宇都宮くん、コンバインの練習しなっせ!」。今年宇都宮さんは笠野さんから購入した旧型のコンバインで稲刈りしたんですが、今後のために新型のコンバインの操縦も練習しておけ、というわけです。

最近のコンバインを操縦するハメになった宇都宮さんですが、ぎこちなさを感じさせながらも、すぐに操作を覚えてあっという間に全部刈り取ってしましました。宇都宮さん、新しいコンバインはどうでした?
「うーん、思ってたより操作がシビアでしたね。あと、とにかく寒いですね」
宇都宮さん、Tシャツですもんね。

というわけでみなさんの協力の元、無事に刈り取りを終えた無農薬・無施肥栽培コシヒカリとササニシキ。ササニシキは反5俵ありそうだけど、コシヒカリは4俵ないかもしれないです。除草頑張ったんだけど、自然栽培だとこんなもんですかね。

除草中の店長
ヒノヒカリの田植えは五嶋さんに委託。朝8時から夜9時までかかりました。

ヒノヒカリの田植えは五嶋さんに委託。朝8時から夜9時までかかりました。

田植えが終わったらできるだけ早く除草機を入れる。今年導入した除草機は株間も除草できる優れものだ。しかし入れる時期が少し遅かった&水がこない時期があったせいでヒエが結構生えてしまった。

田植えが終わったらできるだけ早く除草機を入れる。今年導入した除草機は株間も除草できる優れものだ。しかし入れる時期が少し遅かった&水がこない時期があったせいでヒエが結構生えてしまった。

抑草できなかった雑草は手で抜くことになる。結局8月は丸々一ヶ月除草していたが、終いにゃ両手が腱鞘炎になってしまった。写真は抜いたヒエの山。

抑草できなかった雑草は手で抜くことになる。結局8月は丸々一ヶ月除草していたが、終いにゃ両手が腱鞘炎になってしまった。写真は抜いたヒエの山。

今年も遅いぞ!阿蘇のなかストアの田植え

さて、いよいよ田植えです。

6月10日にコシヒカリササニシキ、6月27日にヒノヒカリ、6月30日に森のくまさんをそれぞれ田植え。相変わらず遅いです、当店の田植え。コシヒカリなんて阿蘇では普通5月中旬までには田植えを行う早生の品種なのにこんなに田植え遅くてちゃんと分けつ進むんでしょうか。その上、無施肥栽培ですし。

と、そんな心配してるヒマはなかった。田植えが一段落したら除草機を使って除草作業を行わなければなりません。過去の経験から「除草機掛けは早ければ早いほど効果がある」ことは分かっております。できれば田植え後7日以内に一回目の除草機掛けを行いたいところです。

しかし、ヤフーオクションで広島県の出品者から購入した除草機を取りに行くヒマがなかなかなく、結局コシヒカリとササニシキの一回目の除草掛けは6月22日と、田植えから12日間も経ってしまいました。
2.5haの面積の除草機を一通り終わる頃には2回目の除草機掛けが始まり、それが終わる頃には3回目の除草機掛けが始まり・・・ということで結局7月は一ヶ月間丸々除草機掛けを行なっておりました。

抑草の成功

今年度の米作りにあたっては、生えている雑草を取り除く「除草」ではなく、そもそも草を生えさせない「抑草」に力を入れることにしました。

まず基本は「深水」。田植え直後から水位を最低10cm以上保つことにより酸素を完全に遮断して雑草の発芽を抑制します。その深水を成功させるにはいくつかの準備が必要で、その内の一つが10cm以上の深水に堪えられる苗作り、つまりは「超薄まき」による成苗なわけです。さらに水漏れを防ぐために畦を塗ったり、減水量をなるべく少なくするための丁寧な代かきなどを行います。

さらに今回は「田植え前の除草」を行いました。まず荒起しした田んぼに水を入れます。しばらくするとヒエの種が目を覚ましますので、田んぼから水を抜いて酸素を与えてあげます。するとヒエが一斉に発芽してきます。そこで満を持して代かき・・・・ではなく、ここでまた田んぼに水を入れます。数日水を張っておくと水内の酸素がなくなり、ここでコナギが発芽してきます。コナギの発芽を確認したら水をヒタヒタまで落として草を練り込むように代かき

つまり田植え前に「ヒエ」と「コナギ」という最も厄介な草を予め除草しておこうというわけです。ヒエは発芽に酸素が必要ですがコナギは無酸素状態で初めて発芽しますので、水を抜いて地表面に酸素を供給したり、水を入れて無酸素状態にしたりと調整しながら、雑草の発芽条件に合わせて環境をコントロールして発芽させトラクターのハローで練り込んで除草するのです。

一部の田んぼではこの作業を田植え前に3回行い、なおかつ田植え後は深水を行い最低30日は地表面を空気にさらさないように心がけました。

すると除草機を一回しかかけていないにも関わらず、収量に影響するほどの雑草は生えてきませんでした。ヒエの姿はほとんどなく、田植え後に生えてきたコナギも稲の影に隠れて稲に影響があるほどまでは成長できません(コナギは光要求度が高い)。

使った畦塗り機がそれほど高い畦を作れないものだったので10cm以上の深水ができませんでしたが、おそらく稲の成長に合わせて20cm以上の深水を行うことができれば、水中に光が届かずにもっとコナギを抑えられたのではないかと思います。

ヒエもコナギも生え放題になった田んぼも

一方で抑草に完全に失敗し、ヒエもコナギも生え放題になった田んぼもありました。ポイントはやはり「」。水が少ないくらいなら除草でなんとか出来ますが、完全に水が来ない場合はもうどうしようもないですね。「ヒエ天国」になります。多分数えたら本当に稲よりヒエのほうが多いくらい生えてます。

水がこない田んぼは除草剤を使った慣行栽培でも雑草の姿がかなり目立ちますからね。無農薬栽培ではなおさらです。

基本は水が安定供給される圃場を選ぶことですが、水がこない場合の雑草対策もきちんと講じる必要がありますね。

苗箱とカエルさん
不織布シートの大きさに合わせて縦に四列ずつ並べていく。ハウスの中と違いドロドロの田んぼの中に苗箱を並べる作業はかなりの重労働だ。

まずは籾の消毒。60℃のお湯できっちり10分間。喜多ライスセンターには温湯消毒用の機械があるので毎年お借りしております。

不織布シートの大きさに合わせて縦に四列ずつ並べていく。ハウスの中と違いドロドロの田んぼの中に苗箱を並べる作業はかなりの重労働だ。

今年はできるだけ健康な稲を作るため40g/箱の「超薄まき」で籾を播いていく。

不織布シートの大きさに合わせて縦に四列ずつ並べていく。ハウスの中と違いドロドロの田んぼの中に苗箱を並べる作業はかなりの重労働だ。

いろいろとアクシデントがあった割りには15cmほどの苗ができた。腰も低く(第一鞘高が3cm程度)、がっしりしたいい苗。

26年度産の米作りが始まる

こないだ稲刈りした気がするんですが、月日が経つのはあっという間。もう今年度の米作りが始まりました。阿蘇のなかストアの26年度産米作り、開始です。

まずは種籾の選定と消毒を行います。お米の元となる種籾ですが、病気に弱くあまり育たない籾もあればそれはそれは立派に育つ籾もあります。見た目では全く判別がつきませんが、強い籾は中身がギッシリ詰まっており、対して弱い籾は軽くてスカスカですので、唐箕という昔ながらの道具を使い風で軽い種籾を飛ばして中身の詰まった強い種籾だけを選別します。

選別が終わったらお次は消毒。種籾がカビや細菌に汚染されていると発芽しなかったり発芽後の成長が悪かったりしますので、種をまく前にきっちり消毒しておきます。
無農薬栽培ということでもちろん農薬は使用しませんので、お湯だけで消毒を行います。今年も南阿蘇村まで行き「喜多無農薬米生産会」のみなさんと一緒に種籾の消毒を行いました。消毒が終わった種籾はバケツに入れ吸水させながら発芽を促します。

んでもって、種まき

今年は健全な苗を育てるに当って、ある秘策があるのです。それはずばり「超薄まき」!!

お米の苗は苗箱を呼ばれるプラスチック製の四角い箱に土と種籾を入れて育てます。この一箱の苗箱にまく種籾の量ですが、普通は150g〜200gほどです。しかしここまで種籾が多いと栄養分の取り合いによって苗が大きく育たないんですね。慣行栽培ですと栄養分が足りなくなると外部から肥料を入れるんですが、当店は育苗の段階から無施肥栽培であり、外部からの施肥は一切行いませんので、籾自身の養分と土の栄養分だけで苗を育てる必要があります。

そこで一粒一粒の種籾が施肥しなくとも伸び伸びと育つように一箱にまく種籾の量を減らします。これが「薄まき」です。通常の薄まきは80g〜120gくらいなんですが、当店は薄まきの限界と言われる「40g/箱」に挑戦することにしました。「これは良い!」と思った農法はテストもせずに即実践。行き当たりばったりです。

西田正志さんに薄まき用の種まき機を借りてまして、きっちり一箱40gずつ種をまいていきます。超薄まきを行った苗箱は・・・うーん、薄い!スカスカだ!こんなんでちゃんと育つんだろうか。まぁなんとかなるだろう。

今年も田んぼに苗代を作って育苗しますので、種まきが完了した苗箱はすぐに田んぼに持って行って並べます。並べ終わったら苗を寒さと直射日光から守るためのシートを上から被せ、最後に苗土がしっかり湿るくらいに水を入れてすぐに水を抜き、籾にしっかり水分を蓄えたらこれで作業終了。あとは発芽するのを待ちます。

育苗の成功と失敗

数日後に無事に発芽。当初白かった芽も順調に緑化し、さぁどんどん成長してくれよと苗に声援を送っていたんですが、どうも成長が芳しくない。いや、正確に言うとちゃんと成長している所と成長しない部分がある。しかも同じ苗箱の中で。

よく観察すると、成長の弊害はどうも田んぼのデコボコ具合によるもののようだ。苗箱が斜めになっていると高い部分の土はすぐに乾き、逆に低い部分の土はいつまでも湿っている。なので低い所は湿害で初期の発芽〜緑化が悪く、高い所はその後の成長段階で水分不足で育ちが悪くなってしまうのだ。すぐに苗箱をどかし土を平坦に均して対応。これで少しは成長も良くなるはずだ。

その後もシートを苗箱の下に織り込んでいたために根の伸びを阻害し成長が悪くなったり、5月中旬の異常な寒さで成長が止まって急いでシートを2枚重ねにしたりと、いろいろと失敗のあった今年の育苗。

が、しかし!肝心の「超薄まきで健康な苗を育てる」という目標は結構上手くいったのです。写真は田植え直前のコシヒカリの苗。失敗続きだったにしては無施肥栽培でも15cmほどにしっかり成長している。多分ですけど、5月の異常な寒さとそれに対する保温の遅れ、それと田んぼのデコボコの問題とがなければ20cm以上の成苗がきっちり生えそろっていたのではないだろうか。よし、来年も超薄まきでやるぞ!