水のチカラ2 「あなたはもしかしてミネラル不足?」
「最近、どうも疲れがとれない」「眠れない」「イライラする」など、現代人の多くが、身体の不調を抱えています。その原因が“ミネラル不足”かもしれないことを、ご存じでしょうか?これから、ミネラルについて考えてみましょう。
ミネラルとは何か?
私たち人間の身体になくてはならない三大栄養素といえば、タンパク質、脂質、糖質です。しかしこれだけでは生きていけません。そのほかに微量栄養素と呼ばれるビタミンとミネラルが必要不可欠なのです。人間の身体の約96%は酸素、炭素、水素、窒素の4元素でできていますが、残りの4%を占めているのがミネラルです。ミネラルには、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、銅など約30種類あり、それぞれが身体の中でさまざまな働きをしています。たとえばよく知られているように、カルシウムは骨を構成するだけでなく、筋肉の収縮や神経の刺激伝達に必要不可欠。鉄はヘモグロビンを構成し、血中酸素の運搬に大きな役割を果たしています。
男性 | 女性 | |||
---|---|---|---|---|
推奨量 | 上限量 | 推奨量 | 上限量 | |
マグネシウム | 340mg | -※1 | 270mg | -※1 |
カルシウム | 650mg※2 | 2300mg | 600mg | 2300mg |
リン | 1050mg | 3500mg | 900mg※3 | 3500mg |
クロム | 40μg | - | 30μg | - |
モリブデン | 25μg | 300μg | 20μg | 240μg |
マンガン | 4mg※3 | 11mg | 3.5mg※3 | 11mg |
鉄 | 7.5mg | 50mg | 10.5mg※4 | 40mg |
銅 | 0.8mg | 10mg | 0.7mg | 10mg |
亜鉛 | 9mg | 30mg | 7mg | 30mg |
セレン | 30μg | 450μg | 25μg | 350μg |
ヨウ素 | 150μg | 3000μg | 150μg | 3000μg |
ナトリウム (食塩相当量)※5 |
(10g未満) | - | (8g未満) | - |
カリウム※6 | 2800mg | - | 2700mg | - |
- ●18から29歳の男女の場合
- ●「日本の食事摂取基準(2005年版)」より
- ※1 通常の食品からの摂取の場合、上限量は設定されていない
- ※2 目標量で記載
- ※3 目安量で記載
- ※4 月経ありの場合の推奨量。月経なしの場合は6.5mg
- ※5 ナトリウムは食塩相当量で記載
- ※6 高血圧の予防を目的としたカリウム:目標量
※1種類のミネラルを大量に取れば良いというものではありません。ミネラルは互いに影響しあっています。多くの種類のミネラルを適量摂取することが大切です。
なぜ現代人に不足しがちなのか?
もともと日本ではビタミン欠乏症が多かったのですが、現代では少なくなり、むしろミネラル欠乏症が目立つようになってきました。いったい、なぜでしょうか。その原因の一つは、多量のミネラルを含んでいた塩と砂糖が、精製されたものばかりになってしまったからです。精製されると、せっかくのミネラル分が失われてしまいます。米や小麦といった穀類でも、精白度が高くなるにつれて、同様のことが起きています。実際、日本において伝統的製塩法であった塩田が1971年に廃止された年から、高血圧をはじめとした生活習慣病が増加しているというデータが報告されています。また、加工食品を多く口にするようになったために、個々のミネラルの過剰や欠乏が起きやすくなり、体内のミネラルバランスを崩してしまう人が増加したと考えられています。
いま、マグネシウム不足が話題に
日本人のミネラル不足としては、カルシウム不足ばかりが注目されてきました。しかし実際には、マグネシウムはカルシウム以上に不足傾向にあることがわかっています。マグネシウムは体内で約300種類もの酵素のはたらきを助け、コントロールしています。また、骨や歯の形成に必要なミネラルであり、血液循環を正常に保つ役割も果たしています。このため、マグネシウムが不足すると、身体に不調をきたす可能性があります。
マグネシウムは肉類が多い欧米型の食生活では摂取しにくく、また、加工食品や炭酸飲料などに含まれているリン酸の過剰摂取によって失われます。その上、多量の飲酒でも欠乏しやすいミネラルです。さらに、マグネシウムはストレスを受けると減ってしまうという性質を持っています。人はストレスを受けるとアドレナリンと呼ばれるホルモンが必要以上に出て、これがミネラルバランスを崩し、マグネシウムを身体の外に排出させてしまうからです。ですから、都会で働く現代人は、マグネシウム不足に陥りやすい要因をいくつも抱えていると言えます。カルシウム以上に気をつけてマグネシウムを十分に摂取することが、私たちの健康維持に極めて重要であることがおわかりいただけたでしょう。
代表的なミネラルとその働き
- マグネシウム(Mg)
- 骨や歯の形成に必要。
- 多くの体内酵素の正常なはたらきとエネルギー産生を助ける。
- 血液循環を正常に保つ。
- カルシウム(Ca)
- 骨や歯の形成に必要。
- 亜鉛(Zn)
- 味覚を正常に保つのに必要。
- 皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
- たんぱく質、核酸の代謝に関与して、健康維持に役立つ。
- 鉄(Fe)
- 赤血球を作るのに必要。
- 銅(Cu)
- 赤血球の形成を助ける。
- 多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける。