発塵性試験について


−クリーンルーム用衣服に対する発塵性の評価−

★はじめに★
 日常の生活空間には、0.1μm以下のウイルスから数mmオーダーの繊維くずまでの様々な塵埃が浮遊しています。最近ではハウスダストアレルギーや花粉症など、微小な粒子状物質による人体への影響が注目され、マスクの着用や一般家庭での空気清浄機の普及も広まりつつあります(2002年度普及率23%以上)。
 一方、半導体工業や医薬品製造業、病院、食品工業などの多くの産業分野においても、作業空間の空気清浄度の高度化が求められています。空気の汚染は多くの工業製品の性能や歩留り、食品の衛生などに影響を及ぼします。その影響を避けるため、クリーンルームが使用されています。“クリーンルーム”とは“塵(ちり)や埃(ほこり)を極力減少させたきれいな部屋”のことを言います。私たちの身の回りにあるパソコンや薬、化粧品そして食品に至るまで、多くの生活用品がクリーンルームの中でつくられています。

★クリーンルーム用衣服について★
 クリーンルーム内の汚染原因の一つに人体からの発塵が考えられ、室内空気の清浄度に影響を及ぼします。そこで、クリーンルーム用衣服によって、人体を媒体とした外部からの汚染物の持込みや、人体からの汚染物の発生を極力抑えることが必要になります。しかし、クリーンルーム用衣服自身も発塵源の一つとなることがあるため、低発塵性が求められます。したがって、クリーンルーム用衣服の発塵性を試験し、評価することは空気清浄度管理の上で重要になります。
★発鹿性とは何ですか?★
 試料表面や内部からの分離可能な粒子の発生程度のことを言います。試料の一部または全部に一定条件の発塵動作を与えることにより、発生する粒子数を測定します。
★どんな試験方法がおりますか?★
 主な試験方法として以下の規格が挙げられます。発塵性試験は大きく分けてタンブリング法とシェーキング法とがあります。
<タンブリング法>
JIS B 9923 クリーンルーム用衣服の汚染粒子測定方法6.2(1.2)タンブリング法
IEST-RP-CC003.3
APPENDIX B
クリーンルーム用無塵衣
B2.2.5-Helmkeドラム試験(織布、不織布、コーティング生地)
<シェーキング法>
ISO 9073-10 不織布の試験 第10部:不織布の表面および内部からの分離可能な粒子の発生程度
JIS B 9923 クリーンルーム用衣服の汚染粒子測定方法6.2(1.1)シェーキング法
INDAIST 160.1 不織布の発塵性
EDANA ERT 220.1 不織布の発塵性試験方法

★測定の概要★
 タンブリング型は主に織布に対する発塵性を評価する試験機です。試料を回転するドラム内に投入し、ドラム内の羽根によって掻き揚げる動作と、重力によって落下する動作を与えて発塵させます。
 シェーキング型は不織布に対する発塵性を評価する試験機です。2枚の円形プレー卜部に試料を円筒形にして装着し、ねじれ(タオルを絞るような)動作を与えて発塵させます。
 試験はクリーンルーム内で行い、発塵数をパーティクルカウンターで計測します。測定粒径は、0.3〜25μmまたは0.1〜1μmです。

★どのような結果が得られますか?★
 JIS B 9923は、試料を投入した試験機からの単位秒あたりの発塵数(個/sec)や、単位体積あたり
の発塵数(個/ft3)を粒径区分ごとに報告します。ISO 9073-10は、パーティクルカウンターによる
5分間の吸引量あたりの発塵数(個)を粒径区分ごとに報告します。
 他にも、時間あたり(個/min)、体積あたり(個/0.1 ft3、個/L)、試料サイズあたり(個/m2、個/着)
などの表記方法がありますので、他の試験結果と比較する場合は、単位の違いに注意が必要です。

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