今回のゲスト:

小比類巻貴之

NANAMI:
実は小比さんは初めてのプロテストではボコボコにされたというのは本当ですか?
小比類巻:
そうなんです。本当なんです。高校生までずっと空手やってて、空手で全国レベルで戦ってきてたんですね。
NANAMI:
はい。
小比類巻:
自信持ちすぎて、プロテストをやるっていうことになって、3カ月しかキックボクシングやってないのに「プロテストを受けるっていうの、どうだ」って言われて、OK出して行ったらアマチュアの全日本チャンピオンだった人と戦って、ボッコボコにされて。鼻血ブーで。
NANAMI:
その時の気持ちはどんな感じでした?
小比類巻:
あのね、リングの上で戦ったんです、みんなの前で。で、もう顔殴られて鼻血が出て、そのまま2回ダウン取られたんですね。2回目に倒れて尻もち突いた時に、そのまま「ハイ終わり、ノックアウト」って言われた瞬間、涙がどーっと出て。リングの上に涙と鼻血の。ずっとこうね、下にいて僕、立てなくて。早く立てって言われても立てなくて。悔しすぎて。そっからですね、格闘技辞めようかなと思って実家に帰ったんです。
清水:
初めての挫折としては、大きい挫折だったんですか?
小比類巻:
そんな感じでしたね。今でも忘れられない。あの時に僕は夢を持って、東京出てきて、チャンピオンになるっていう夢を持ってきたんですけど、あの瞬間にチャンピオンになるって本当、神様だなと思いましたね。
NANAMI:
小比さんが思うチャンピオンになれる人って、どんな人だったりとか、何が違ったりする人なんですか?
小比類巻:
結構これは、得意分野なんですよ。例えば、僕が今まで見てきた中で、最初に練習する前に正座して、黙想して、パッと目を開けて、僕が一言いうんですよ、「よし、じゃあ何々と何々、試合があるし、こうだからこうだから、今日はこういう練習して、さあ行こう」と言った時のみなさん見ると目が違うんですよね。目がキラキラしてるんですよ、強くなる人は。で、これは絶対チャンピオン獲るなっていうのは、間違いなく獲ってるのが、やっぱ今までいましたね。
NANAMI:
そうなんですね。
小比類巻:
やっぱ目が違うっていうのは、そこに対する集中。他のもの見てないですよね。例えば20歳、21歳、若い子たちっていうのはいろんな誘惑もいっぱいあるだろうし、いろんな趣味もいっぱい見ようと思えば見れるんですけど、もう俺は格闘技一本、他はいらないっていう人が結構一直線に強くなりますね。
清水:
何の世界でもそうですよね。そこに集中して熱中してる人には敵わないですよね。
小比類巻:
そうですね。あとやっぱり頭いいですね。例えば、1つの言葉を言った時に、この1つを2個も3個も理解できる人と1個言われて1個の人と。だから言葉知ってる人もすごい僕はあるかなと思いますね。

編集後記

格闘技の経験、そして指導者という第三の視点から導き出された成功に至る人の違い。ご自身にもあった挫折、目標を達成するまでのプロセスを経たからこそ辿り着いた答え。それは誰もが手を伸ばすことができる、シンプルなものでした。
目標を明らかにした上で自身が何をする必要があるのか、何を吸収しなくてはいけないのかを常に感じ取ろうとすることで目は輝くのだと小比類巻さんのお話から感じます。継続することができる人こそ「真の集中力」を持つことができ、成功に到達するのだと理解しました。

小比類巻貴之

現役時代K-1 WORLD MAX日本代表決定トーナメントにおいて史上最多3度の優勝を誇る、ISKAオリエンタル世界スーパーウェルター級王者。現在は、指導者、解説者、そして格闘技イベント『Executive Fight』のプロデューサーとして格闘技界の発展に貢献されています。