繰り返しになると思いますが、
まず最初に、アトピー性皮膚炎における治療方法で主体となっている事柄を挙げておきたいと思います。

・ステロイドをはじめとする、抗炎症薬やかゆみ止めによる治療
・抗原からの回避(アトピーを引き起こす原因物質の接触・吸引・飲食などを避ける)
・皮膚炎の悪化する要因(細菌の二次感染や皮膚の汚染など)の排除
・スキンケア(シャンプーなどによる身体・皮膚を清潔に保つ)



では、薬に頼らない治療方法にはどのような方法があるのでしょうか？
その方法は、アトピー性皮膚炎が発症するにおいて、どの様な要因があるのか、あるいはどのような要因が関与しているのか。そして、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因などを考え、それらの要因を一つでも少なく、或いは無くす事ではないでしょうか。
この要因を少なくする、或いは無くす方法こそが、
グルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)を含む抗炎症薬(かゆみ止め)を使用するにあたり、より少ない量に軽減できたり、或いは頼らないアトピー性皮膚炎の治療方法ではないかと思っています。

それでは、まずどのような事柄かを挙げ、後に説明させて頂きます。

治療法(補助療法を含む)としては
A :体の中から行う方法
B :皮膚や被毛のケアによる方法
C :生活環境の改善による方法
の3つがあげられるように思います。　




�／�事療法
食物アレルギーにおいて、アトピー性皮膚炎を併発合併していることも少なくないとされています。

��内臓脂肪の軽減(肥満における減量)
肥満における皮膚抵抗力(皮膚バリア機能)の低下が人において報告されています。
また、内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム)がアトピー性皮膚炎に悪影響を及ぼすとの報告もあります。

��脂肪酸療法
脂肪酸を与えることで皮膚の炎症を抑える効果や炎症を抑える効果が報告されており、アトピー性皮膚炎への治療効果も報告されています。

�す鎧晴淑�質療法
アトピー性皮膚炎と過酸化脂質の因果関係における報告がなされており、過酸化脂質の軽減に抗酸化物質の投与が有効との報告がなされています。
※過酸化脂質とは‥
コレステロールや中性脂肪が酵素（活性酵素）により酸化したものを総称して過酸化脂質と呼ばれ、よく耳にされる悪玉コレステロールもその一つではないでしょうか。
最近の研究では過酸化脂質が過剰な状態になることで身体への悪影響が大きいとされています。お肌の老化・癌・認知症の進行を早めたり心筋梗塞・脳卒中・動脈硬化を引き起こしたり、ここにおいては、皮脂における脂質が酸化し過酸化脂質が皮膚にダメージを与えシミ・ソバカス・かぶれなどの原因となったり、そのダメージがアトピー性皮膚炎の悪化につながるとされています。

�テ�酸菌療法
腸内細菌叢を改善することによりアトピー性皮膚炎や炎症性皮膚炎における軽減効果が報告されています。
※腸内細菌叢とは‥
人や動物におけるながーい腸。この腸管内には多くの細菌が存在しています。
この様々な細菌は常に一定の割合を保つことで健康を維持し、このバランスが崩れることで下痢などが起こる場合があります。
これらの様々な腸内細菌を総称して腸内細菌叢と呼んでいます。
最近の研究で、このバランスのとれた腸内細菌叢が腸管における免疫系を良い方向に導くことで、私たちの健康が維持されているとも言われています。

�Ω佐矯醂屠�
免疫を調節することで体質の改善を促す。




�．好�ンケア
人において、皮膚抵抗力(皮膚バリア機能)の低下や異常がアトピー性皮膚炎の増悪化を引き起こすことが指摘されていることから、皮膚の正常化(皮膚抵抗力の強化)が有効とされている。

��皮膚保湿療法
アトピー性皮膚炎において、経皮水分蒸散量の増加が炎症や痒みの悪化要因の一つとされており、保湿成分を含む製剤による沐浴が有効とされています。




�仝彊�物質からの回避
アトピー性皮膚炎は、生活環境におけるさまざまな物質(抗原)に対し、過敏な免疫応答反応を起こす事で起こるものとされ、それらの物質に暴露(接触・吸引・飲食)しないようにすることで、症状が誘発されないようにする。

�⊆�動喫煙(間接喫煙)の回避
人においてお子さんのアトピー性皮膚と受動喫煙との因果関係が報告されています。



少しでもグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン：ステロイド)を含む抗炎症剤(痒み止め)の飲ませる量を少なくすむ様に、或いは飲まさなくても良い様に、一つでも二つでも試してみることも方法ではないでしょうか。
また、これらの薬を飲ませたくない場合は、獣医師とよく相談することで回避できることもあるのではないかと思っています。

一度に止めることが出来なくても、薬と併用することで数週間数ヶ月、或いはもっと先になるかもしれませんが、良い結果を招く場合も少なくはないように思っています。
これらの治療にあたっては、獣医師ではなく親御さんやご家族の多大なご努力とご理解ご苦労が必要であると思っています。(獣医師「私」は机の上で偉そうにしゃべっているだけですから)
なぜならば最も大きい障害として、皆さん全ての方が期待されている結果を得ることができない場合も少なくはないからだと思っています。
その都度方法を模索しながら、症状や生活環境、ワンちゃんネコちゃんの種類、年齢などさまざまな状況に応じ、治療法も考慮し、親御さんや獣医師がお互いに理解納得していかなければ最善の結果を導き出すことができないと痛感しているからです。


次回からは 上述における治療法の詳細をお話しさせていただきたく思っています。