今回が 「アレルギー性皮膚炎:アトピー性皮膚炎」の最終話となります。
アトピー性皮膚炎は遺伝的素因が関与したアレルギー性皮膚炎の一つであるとお話しさせていただきました。
では、遺伝的素因が関与しているのなら治らないのではないか!?
今はまだ治らないのかもしれません。
しかし、少しでも痒みの少ない、少しでも痒みのない状態にしてあげたいと思うのが親御さんのお気持ちではないでしょうか。
そこでその方法として、どのようなことがあるのかを簡単にお話しさせていただくことで、最終話とさせていただきます。
今までにお話しさせて頂いている部分もあり、短略または重複することも多々あると思いますがご了承いただきたく思います。





まず、アトピー反応(アトピー性皮膚炎)が出現しないようにするには
a.体質を変えること
b.抗原に感作させないこと・抗原回避を行うこと
上記のようなことになりますが、これら二つは今の医療では難しいことだと理解しています。
では「どうすれば良いの?」ということになります。
そのお答えとしては
“上手くお付き合いする”
“少しでもa(体質を変えること)とb(抗原に感作させないこと・抗原回避を行うこと)の状態に近づけてあげる”
という事ではないかと思っています。
これらは獣医師が行うより親御さんが行っていただく事がほとんどになると思います。
それではそれらを含めてお話しさせていただきます。


減感作療法や免疫療法

体質を変える方法として試みられているのが減感作療法免疫療法ということになります。
これらの方法は一定の有効性が認められているものです。
また、近年様々な研究が進められており、その中には減感作米なる普通に食生活を行う中で、治療改善していくというようなものもあるとのことです。(私も早く食べたいものです。)
明るい未来を祈念するばかりです。


[減感作療法]
希釈したアレルゲン(アレルゲンワクチン)を主に皮下に投与する。現在では、皮下投与の他に、舌下投与も試みられている。
多くのアレルギー疾患の治療が対症療法的であるのに比して、アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患の作用機序に働きかけ、根治を目標に治療が行われ、費用対効果の高い治療法であるといわれ注目されている。


[免疫療法]
人間のもつ自然治癒力(免疫力)を強化して病気を治療するという療法。なんらかの方法で白血球をより活性化し、認識していないウイルスなどの病原菌やがん細胞などの“異物”を、改めて白血球に認識・識別する能力を高めることによって免疫機能を活性化させ、白血球による破壊・排除を目指す療法を総称するもので、アレルギー疾患(アトピー疾患を含む)における療法としては、アレルゲン特異免疫療法がある。


治療方法や薬を組み合わせて使用することで効果が現れる。

痒みのコントロールや体質改善効果を有すると言われているある種の脂肪酸。
抗アレルギー作用や抗酸化作用を有すると言われているある種のフラボノイド。
このある種の脂肪酸や、フラボノイドによる治療の有効性は確認されています。
脂肪酸やフラボノイドは、即時効果や著効はなく、効果を感じられない場面にもしばしば出会うのは確かです。
一方、グルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)は、主力な治療方法で非常に有効ではあるものの、危険もはらんでいる薬物であることを忘れてはならないと思っています。
そのため、症状や状態に応じて、これらの治療方法(減感作療法・免疫療法)や薬(脂肪酸・フラボノイド)、あるいは抗ヒスタミン剤などを、単独または組み合わせて使用することで、より大きな効果を上げていることは私も確認しているところです。



掻痒の軽減を助ける成分の入っているシャンプーやリンスを週に1〜2回以上使用する


生活環境療法といわれている方法の中で価値のある方法の一つとしては、二次的な感染(細菌・真菌)を軽減するような成分や掻痒の軽減を助ける成分の入っているシャンプーやリンスを週に1〜2回以上使用することが、症状を緩和する方法として価値のある補助療法の一つとなっています。

また、低刺激性(低アレルギー性)のものや、止痒成分(痒みを止める成分)が入ったものも効果があると思っています。
ただ、フケや漏出した滲出液が固まった状態(落屑・結痂)があるからといって、それらを軽減するシャンプーやリンスを使う必要はあまりないように思われます。なぜならばアトピー性皮膚炎においてその原因が感染、炎症、掻痒などの続発によるものである場合がほとんどだとされているからです。(必要のないものを使うことでかえってよくない場合があるかもしれません。)
また、以前お話しさせて頂いたような、一日数回身体を拭いてあげるだけでも良い結果が得られるのも確認しています(コラム参照)



生活環境を清潔にし、抗原をより少ない環境にしてあげる。

これは、お部屋の掃除や敷物の洗濯などを毎日あるいは一日数回行ってあげる。
外出からお帰りになられたとき抗原を持ち込まないようにする。
身体を拭いてあげる、或いは市販されている絨毯などのほこりをとる粘着性のコロコロで身体に着いたほこりなどをとるのも一つかもしれません。
しかし簡単に言いますがこれほど大変なことはないと思っています。
またこれらはアトピー性皮膚炎だと診断される前から行うことで、少しでも抗原に感作させない方法の一つといわれています。
アトピー性皮膚炎と診断されある種の抗原が確定した場合、環境を変えるということは抗原の少ない(あるいは無い)環境に移り住めと言っているようなものではないでしょうか。それはできない机上の空論のようなものだと思っています。
ただ、お引越しされた方のお子さんに症状の改善や症状の消失があったとお聞きすることも事実だと思います。
できることを少しでも多く行ってあげる。これに尽きるのではないでしょうか。それぞれ一人一人できることとできないことがあるように思います。



直射日光や高温にさらさないようにする。

これは紫外線の影響や皮膚表面温度の上昇に伴う掻痒の誘発などを避けるためだと思っていただいても良いように思います。


食餌においては今までの以前のコラムにおけるお話しを参考にして頂き、
おやつや果物にも十分気をつける。


上記2つの事もとっても大切なことで、今までお話しさせていただいたことをくれぐれも参照していただきたく思っています。

体質を変えることはなかなかできるものではないと思っています。
しかし、食生活環境を変えることや、薬(ある種の脂肪酸・フラボノイド・その他)などで皮膚のバリア機能を低下させないようにすることや、その機能を向上させることでアトピー性皮膚炎における続発症や痒みなどの劣悪化を防ぐことをできる場合もあるように思っています。
食生活環境を変えることや医療的行為をうまく組み合わせることで
少しでも症状が和らぎ、少しでも症状が改善され、少しでも体質が改善され、あるいは症状が治まって行くよう、
親御さん、お子さん、獣医さんと手を取り合い歩んでいただきたく思っています。
宜しくお願いいたします。
ストレスや疲労も良くないようです。

短いお話となりましたがアトピー性皮膚炎は、犬であれ、猫であれ、人であれ、本当につらい疾患だと思います。
私自身も一日でも早く減感作米療法や乳酸菌療法などの安全でより良い治療法が確立されることを願っています。




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