前回�，任�話させて頂いた様に、
耳は鼓膜によって
直接空気に触れる部分と、そうでない部分に分けることができると記述させて頂きました。
すなわち、耳介と外耳は皮膚の一部としてとらえても良いのではないでしょうか。
つまり人でいうところの肌の一部であると考えてもよいように思います。

皮膚とは・・・
身体の表面（空気に直接触れる部分）を覆っている層であり、
身体の内と外を仕切り、境をなし、毛や爪や感染や皮膚腺など付属器官をも含めて呼ばれる場合がある。
耳介や外耳は構造学的にも粘膜ではないため、そのように考えるのが自然ではないかと思っています。

皆さんは「皮膚病」といえばどうでしょう？
アレルギー性もあればホルモン性、あるいは外部寄生虫性もある。
さまざまな疾患を思い浮かべられることでしょう。
例えばお子さんが「皮膚病です。」と言われれば、どんな皮膚炎で何が原因でこれからどうすればいいのか
体質（アレルギー・ホルモンなど）的なものなのかなど、気になってしょうがないことだと思います。

耳もそのようにとらえるべきではないかと思っています。
部分的なものを部分的なものとして考えるより、
全体の一部としてとらえ、部分的なものから全体のことを考え把握する。
そのように思った上で耳の病気を見る（耳の疾患を診る）ことが良いように思っています。

そしてそのような考え（耳単独の疾患よりは全身性疾患の一部として考える）の上に立ち、検査・治療をしていくことで、
全身的な疾患の予防ができたり、全身に症状が出る前にその子の留意点を考え、そして見いだすことが出来るのではないかと思っています。



これからお話させて頂くことは、これらの考えに基づいてのこととなりますので、
皮膚病として記述させていただく場面も少なからずあるように思います。
今後の皮膚における病気につながることにもなるでしょうし、
皮膚の病気でお悩みになられている親御さんにも参考になるのではないかと思っています。
（中耳・内耳はどうなっているんだ！と思っておられる方も多いかと思いますが、少しお待ちいただきたく思います。）

耳の痒みや炎症、そして耳介の脱毛などが、全身あるいは身体の一部に症状が出る前ぶれであったり、
その子のこれから気を付けなければならない体質を示唆してくれることも少なくはないように思っています。
また、症状が耳単独であったとしても気を付けておかなければならないことは言うまでもありません。
もちろん、他疾患があって耳に異常を併発している場合もあり、様々なことが耳の異常として発現するように思います。
耳介や外耳（外耳道）の疾患は、一部の疾患を除き
「耳介炎です」「外耳炎です」
だけではなく、何が原因しているものなのかが重要で、
「バイ菌が入ったのでしょう」「水が入ったんでしょう」
ではなく、何が根本にあり（アレルギー・ホルモンなど）そうなったのかが重要ではないかと思っています。

なぜか皆さんは、
皮膚に異常があった場合では、皮膚にバイ菌が・・・と考えるより、
アレルギー性皮膚炎であったり、ホルモン性皮膚炎であったりを気にかけられますが、
耳となると「バイ菌や水が入った」で納得されてしまう傾向があるように思います。
もちろんバイ菌や水がそれらの疾患の誘発要因であることも間違いはないと思います。

ただ、人の場合と違い、
犬や猫の耳の疾患は簡単に考えないようにすべきではないかと思っています。
（もちろん人の場合も軽々に考えてはいけないことだと思います。）
なぜならば、再発の多さがそれを物語っているのではないでしょうか。



では中耳や内耳ではどのようなことなのでしょう。

中耳は、
・上部気道感染からの合併症
・外耳炎からの二次感染
などによって炎症が引き起こされます。
内耳は、
・外耳炎や中耳炎の拡大
・外傷などの感染からの血液由来
などによって炎症が引き起こされます。
ただ、中耳や内耳疾患においては、
悲しい事に犬や猫にはその苦痛を（耳がもわっとする。耳の奥が痛い。この頃聞こえづらい・・・など。）
訴えることができない事や、あるいは検査が非常に困難であることから、原因が特定できない場合があります。
・・・これは私の「言い訳」だと思っていますが、
わからないといいつつ、見落としていることがあるのではないかと思っています。いや、必ずあると思います。
このお話をさせて頂きながら私も反省をしなければいけないと思っています。



さて、次回からは 〜気を付けようこんな時〜 をお話させて頂きたいと思っています。

日が経つのは早いもので今年も最後のお話となりました。

本年もお付き合い下さりありがとうございました。

We wish you a Merry Christmas
　And a Happy New Year.

まだまだ寒くなってくるこの時期、
親御さん、またお子さんにおかれましてはくれぐれもお身体にはお気を付け下さり、良き新年をお迎え下さいますようお願い致します。