今回からは耳の病気についてお話しさせて頂きます。
耳の異常で通院されている親御さんも多いことかと思います。 ・耳を掻く ・耳(頭)を振る ・頭を傾ける ・耳をこすりつける ・耳を触ると嫌がる(おこる) ・耳から嫌なにおいがする ・耳の周りの毛が変色する ・耳を振ったら何かが出てきた ・呼んでも反応が鈍い ・イライラしているようだ(落ち着きが無い) ・耳(耳介)がざらざらしている ・耳(耳介)の色がおかしい ・耳の周りの毛が抜けてきた ・呼んでもこちらを向かない。聞こえていないようだ。 など、色々なことで気がつかれることが多いように思われます。 |
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また、獣医さんに「治りました。」と言われても、すぐに同じ状態になったり、常に通院しなければならなかったり、 悪い場合には外科的処置が必要だと言われる場合もあるように思います。 これからお話しさせて頂くことで 少しでもそれらの疑問や耳についてお悩みになられている皆さんのお役にたてればと思っています。 そして、私が耳の異常でお越しになられた場合、どのように考え、 そしてどのように治療を組み立てていくかを含めお話しさせて頂きたいと思っています。 |
さて皆さんは 「耳」 というと、どこを想像されるでしょうか?
耳には一般的に四つの部位から成り立っており それらを総称して耳と呼ばれています。 その四つの部位とは、 【耳介】【外耳】【中耳】【内耳】 となっており、またさらにこれらを二つに大別しているのが 【鼓膜】ということになり、 いわゆる外気に直接触れている部分と触れていない部分に分けている ことになります。 また違った分け方で、 【外耳】【中耳】【内耳】に分け、 【外耳】‥耳介と外耳道、 【中耳】‥鼓膜と鼓室 【内耳】‥前庭と蝸牛と三半規管という場合もあります。 |
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では、それぞれの部位がどのような仕事をしているかと言うことですが、 私なりに簡単にお話しさせて頂きます。 私も古い人間ですので、御存知でない方には申し訳ございませんが、 蓄音器という機械を御存知ですか? むかしビクターという会社のシンボルになっていた、 犬が横に座っている、レコードを再生するレトロな機械のことです。 耳はまさに蓄音器。 蓄音器は音を増幅して外へ出すのですが、耳はその反対と考えても良いのではないかと思っています。 |
ラッパの様な広がった音を増幅させる部分が 【耳介】 ラッパの根元に細くなってくる部分が 【外耳(外耳道)】 レコードの音を拾うハリとそれを機械に伝える部分が 【中耳(鼓膜・鼓室)】 そしてそれらを音として再生する機械が詰まっている箱が 【内耳】 |
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反対とはいきませんがこのようになっているかと思います。 ※もちろんそれだけではありませんが、 例えば耳介はある動物では、体温調節機能をもっていたり 内耳には平衡や回転感覚に重要な器官があったり・・・・。 音をたくさん拾う‥【耳介】 その音を鼓膜まで送る‥【外耳】 音を振動として伝える‥【中耳】 色々詰まった器官で処理し脳に送る‥【内耳】 以上が私なりに考える「耳」だと思っています。 |
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耳といえば外から見える耳介や耳かきで掃除をする部分の外耳道を「耳」と呼んでおられる方も少なくないように思いますが、 【耳介】【外耳】【中耳】【内耳】までのすべてを含め「耳」だと思っています。 |
次回は、耳の異常でお越しになられた方を、私がどのように考え、 どのように治療に結びつけているのかをお話しさせて頂く予定にしています。 その前に私の視点を少しお話しさせて頂きます。 「耳の疾患は耳単独でそこだけの局所的なものと考えて良いのだろうか?」 それとも、 「全身疾患の一部(氷山の一角)として考えなければならないのか?」 この二点が最も大切かつ重要であると思っています。 このことを念頭におくことによって、全身を診なければならないことに気付き、全身を診ることにより、 耳そのものの症状において再発防止やそれらの予防につながる大きな一歩になることに間違いはないと思います。 また身体全体に関しても今後の健康維持につながる大きな手掛かりが隠れている場合も少なくないように思っています。 「たかが耳されど耳」 耳に異常を感じた場合、頭の片隅に残して置いて下さい。 そして、悲しいかな私が出来ないことにも触れさせて頂きたく思っています。 |