【治療】: 病気やけがをなおすこと。病気や症状を治癒あるいは軽快させるための医療行為。 とされています。 ただ、私は治療とはもともと持っている個々の治癒能力(治そうとする力)の手助けが大部分を占めていると思っています。
【薬】: 病気の診断や治療や予防を行うもの。
【副作用】: 医薬品の使用によって生体に生じた有害な反応。あるいは、薬物療法に伴って生じた全ての好ましくない反応。
治療とは?薬とは?副作用とは?
そう尋ねられれば上述の様に淡々と答えれば良いのかもしれません。
しかし、ある治療を行うにあたり、幾つかの選択肢がある場合においては
当然親御さんに私の知りうる限り、すべてお話しさせて頂き、
親御さんのご意思をお伺いした上で治療方針を決めていかなければならないものだ
と思っています。

その中で、
「答えがでない。どの方法がこの子にとって一番良いのか分からない。」
とおっしゃられる事が多いように思われます。
そのお答えの中には二つの答え方があるように思います。
一つは、「獣医でもないのに分かるはずが無い、それを決めるのに獣医がいるのだろう。」
二つ目は、「考え、考え、考え抜いた末、どうしても迷ってしまう。」
私は二つ目の過程を経た上での答えであれば、
同じ答えであってもその中に必ず最も良い答えが存在するのではないかと思っています。
その子の為に悩み、考え、時間を費やす。これこそが真の答えなのかもしれない。
そう思うことが大事なのではないかと思っています。

そしてその様な親御さんとこれからの治療についてお話をさせて頂いていると、
お子さんに治療をしていく事において、
お子さん自身に負担がかからない様な治療をしてあげたい。
お子さんにリスクの無い治療をしていきたい。
それらの負担やリスクには、治療に対するお薬の副作用(副反応)をあげられる親御さんも少なくありません。
副作用、それは治療におけるリスクの多くを占める一つではないでしょうか。


では、副作用の無い薬が存在するのでしょうか?
私は存在しないと思っています。
例えばビタミン剤一つにしても副作用は存在しています。
この様に、薬のリスクを考えれば薬を使っての治療自体が難しい事になってしまいます。
そこで考えて頂くにおいて
治療、薬、それらに伴う身体への負担・リスクそれを中心に考えるのではなく、
そこに病気のリスク(今後このままでは身体がどうなっていくのか、どのような苦痛が待っているのか。)を含めて天秤にかけて頂く事が、大事になって来るように思います。
その様にお考えになる場合にしても、また大きく二つに大別できるように思います。
一つ目は、皆様がよく知っておられる副作用との戦い。と言っても良いであろう、癌などのおきえた病気に対しての考え。
二つ目は、今後起きるであろう、今あまり感じない病気に対しての考え。
(言葉を持たないお子さん、訴えることが出来にくいお子さんにおいては、一つ目に含まれる多くが二つ目に含まれている場合が少なくない様に思います。)
これらの二つをお考えになるにあたって
見た目の変化の少ない二つ目においてはリスクがより強くクローズアップされるように思います。
しかし、ここでお考え頂きたいのが予防医療の意義、必要性ではないでしょうか。
先々に起こりうる異常(病気)をより軽く、あるいは未然に防ぐ。
この事により、一つ目の大きなリスクを背負わなければならない治療をより少なく、
あるいは極力必要が無い様にして行くという事が、予防医療の意義・必要性ではないでしょうか。
ただ、予防医療にはリスクが無いのかというと、そうでもない様に思います。
ではそのリスクをどの様に軽減すればよいのでしょうか。
お答えは一つだと思います。
その子その子、一人一人個々の状態を把握し、
より早く身体の変化を見つけ、
生活環境(食生活他)の改善などからの治療、いわゆるリスクの無い治療からスタートが出来るようにしてあげる。

どんな大きな病気でも必ずスタートがあるように思います。
(もちろん気付かない深刻な身体の変化や疾患があるのも事実だと思っています。)

答えが出ていないじゃないか!
そう思われておられることかと思います。
その通りだと思います。
なぜなら、私の答えがすべてではなく、すべての答えが間違っているものではない様な気がするからです。
皆で考えた答えの中の一つ、その選んだ一つが本当の答えだと思っているからです。
真の答えは、その子を思い悩み考え涙してあげることにあるのではないでしょうか。

リスクの無い治療。
それはリスクの無い段階で気付いてあげる事。
リスクと起こりうる状態との比較。
これほど難しく、
これほど悩む事は無いと思います。
元気な時から悪くなった状態を思い浮かべる事は
とっても難しい事だと思います。
お手伝いできるのは、
主治医さん。
三人四脚(六脚?)で頑張りましょう。