ちょっと前回までとは違ったお話しをしてみたいと思います。
私たち人間には常識と言う、目に見えない必要不可欠な素晴らしいものを持ち合わせています。
ただ、少し今までの事を思い出して下さい。ご自身の常識がすべて他の人に当てはまったでしょうか?
そうではなかったと思います。
生まれ育った環境などや様々な経験により、個々に違った常識を生み出しているからだと思います。
自分を中心に地球は回っていないという事でしょう。
決して間違ってはいないそれぞれの常識が存在すると言う事だと思います。
常識論は皆さんに言うまでもない事でしょう。

ただ、この常識が犬や猫に悪く影響する事があります。
その一つに[時間]があります。
人類が発明した時計。
人が目覚め、活動し、食べ、寝る。
この時計が発明されてから、計画的に規則正しく一日を、そして時間を有効活用する事が出来るようになったのでしょう。
しかし、時計が出てくるまではどうでしょう。
お日さまが顔を出し、光で照らしてくれるのを合図に目覚め、
お日さまが沈み、光が陰っていくのを合図に寝る。
これが時間の常識だったのではないでしょうか。

この様に、本来の常識を文明が変えてしまうと言う事が、多かれ少なかれあるように思われます。
こういった文明が犬や猫との常識の格差を生んだのでしょう。
この格差が病的症状を生み出している事があります。
では、今までお話しさせて頂きました事を踏まえ、私の経験をお話ししてみます。
これは以前お話しさせて頂いた様に薬の要らない病気?(コラムNo.002)の分野になります。

皆さんが病院にお掛かりになられる事の多くに、胃腸疾患があります。
吐く(嘔吐)下痢といった症状が多い事だと思います。
これらの症状には様々な原因(アレルギー・細菌感染・ウイルス感染・臓器疾患・神経疾患・中毒・・・等)
があると思いますが、あまり気にも留めない、
或いは獣医さんも診断項目に入れる事の少ない、[生活環境要因]と言うものがあると思います。
特に吐くという症状に多く関連しているように、私は思います。

「この頃よく吐くんです。お薬を頂いているときはマシなんですが・・・・」
この様な時、食事の時間や食事の量を変えて頂くだけで、症状が無くなる場合が見受けられます。
逆に、お薬を長期間飲ましたり、その度に飲ませたりする事で、
お薬に頼ってしまう身体になったり、お薬を止めると今までお薬に頼っていた分本来の自分の力が出ず、
また同じ症状が出たり、なかなか自分の力を引き出すのに苦労することになりかねない場合がしばしばある
ようです。
そこで、この様な時は、今までの経過経緯、生活パターン・リズム、親御さんの生活パターン・リズム、等、
お子さんに関係の無い親御さんの事まで、 嫌がられるのを承知で根掘り葉掘り聞かせて頂く必要がある、と思います。

吐くけれどもそれをまた食べたり、しばらくして食べたり、でも元気だったり…、と様々ですが、
共通しているのが親御さんの愛情が人一倍ある事だと思います。
それは、お子さんの為に、きっちり時間を決め、量も決め、規則正しい生活環境を維持されているという事です。
ところが、悲しくもその吐くなどの症状を生み出しているのが、多かれ少なかれ、規則正しいと思われている時間(時計)や
量(計量カップ)による場合がある
のです!



「どう言う事なんだ!」そう思われるのも当然でしょう。が、思い出して下さい。
親御さんには[時計]、お子さんには[体内時計]だと言う事を。
犬は時計を見る事が出来ないが故、
お日さまにより活動を始め、そして終えると言う一日を送っているのではないでしょうか。
そこでお考え頂きたいのは、冬の日の出と夏の日の出の時間差です。
毎日、朝7時に食事をあげる場合、
冬では身体が起きた直後、ところが夏ではもはや3時間前後経っている事になるのではないでしょうか。
ご家族の方々が起きてくるまでは寝ているように見えるでしょうが、
身体は日差しや温度その他で起きていると考えて良いでしょう。
冬にはあまり朝ごはんを食べない・残す、

夏には朝おきたら食事の前に吐く、でもしばらくしてご飯は食べる。
これらは胃酸の分泌によるものである場合があるように思います。
冬は、起きたばかりで身体にしても胃の動きにしても、まだまだこれからという時、あまり食べれないでしょう。
無理やり食べれば、消化出来にくく、形のまま食後に嘔吐ということもあります。
夏は、起きて時間が経ってお腹がすいて、胃酸が出過ぎて胃酸過多性嘔吐(空腹性嘔吐)、でもお腹がすいているのでそれでも食べる。
ということがしばしば見受けられます。
夜もお日さまの沈む時間にかなりの差が出来るのもお分かり頂けるところでしょう。

そこで、その様な症状になった場合、
朝、食事前に吐くのであれば、良く吐く時間の前に食事をとる。食後に吐くのであれば、食事の時間を遅らせる
のも、家庭で出来る一つの方法です。
こういった症状は、冬場と夏場、生活リズムが違う子たちにとって、
無理やり時計と言う人間社会のリズムに合わす事による歪みの一つなのかもしれません。



ただ、吐くと言う事に関しては様々な要因が存在し、
一つの原因もあればいくつも重なりあった原因がある場合もあります。
いつもの食事量が少なく、いっきに食べる事が原因の一つになる場合もあります。
その他にも様々な要因があります。

そこで、全体的な症状と対比しながら見てあげる必要があります。
そして、獣医さんには様々な角度から総合的に判断してもらいたいものだと思っています。
症状でお薬だけを飲ますより、きっと良い結果になるでしょう。

また、一つには食事量を決めてしまうのもそうでしょう。
お腹のすく日、あまりすかない日、我々だって、その日その時、で食事の量は違うものです。
犬さんも猫さんも機械ではないのですから、
この子はこの犬種で体重が・・・で一日一回、或いは二回、一回何カップ何グラム・・・
それで良いのでしょうか?
運動した日、お家でだらだらしてた日、色々な過ごし方がありますよね。
それらによって、お腹のすく日あまりすかない日、一日一日違うのではないでしょうか。
我々と同じ、生きているのですから。精一杯生きているのですから。

では、食事の量って?
成長、発育、老化・・・・などにかかわる大切な事だと思います。
それだけに、簡単にお話しさせて頂ける事ではないでしょう。
そこで、この事に関しては、いずれきっちりお話しさせて頂く事になると思います。
少しお待ちください。

お日さまや気温などが動植物には最も大切な基準となっています。
生活リズムやパターンを少し変えてあげるだけで、元気になってくれる事も少なからずあるでしょう。
猫さんの発情時期もこれらにゆだねられているぐらいですから。
あ、猫さんの発情が日照時間などによって誘発されている事など、これもまたの機会にお話しさせて頂きます。

分かってあげて下さい。
人のリズムと違うところもあることを。
分かってあげて下さい。
春・夏・秋・冬 精一杯生きている事を。