あわてないあわてない 一休み一休み。
一休和尚さんもおっしゃってます。(アニメ?)
ま、いずれにせよ皆さんテーブルに集まって下さい。
お茶?コーヒー?ジュース?お酒はやめましょう。
ちょっとここらで雑談しませんか?
私はよく「犬も猫も我々と同じ、自分がこんな時はどうなのか置き換えてみてください。」
と親御さんにお話しをする事が有ります。でも、そうではない場合もある事を知って頂きたいのです。
犬・猫・人それぞれ全く違う点も有るからです。
犬・猫共通だが人と違う。犬・猫全く違うなど様々です。
何処が、何が、どの様に違うか皆さん考えてみてください。
「・・・・・・・・・・」
そうですね。お考え頂いた事はすべてその通りだと思います。
では私から、犬・猫に共通だが人と違う一例をお話しします。


皆さんに頭に置いてもらいたいのが犬・猫のルーツとその時の生活環境です。
犬・猫決して強い動物ではなかったでしょうし、身体には何も付けていなかったと思います。
まさか衣服を着て靴を履いて手袋をしてヘルメットをかぶっていた。なんて事は無いでしょう。
犬は野山、猫は砂漠などの暑い所(エジプトの壁画に描かれている様に)を生活の舞台に選んだようです。
分かりやすい様に犬でお話ししましょう。

例えば、突然天敵などに出くわした時、まず逃げる事を選択するでしょう。
その時、木の枝や石などで体に傷がつくのはごく当然の事だと思います。
痛みで逃げる速度が遅くなったり、うずくまってしまっては天敵の食事になってしまうのが
目に見えている為、少々の傷では余り痛みを感じない様になってしまった様です。
逆に食事(獲物)を追いかける時もそうでしょう。食べれなければ生きていけません。
が、しかし、これがまた厄介な点でもあるのです。
その様な怪我や傷が、数日経ってから、
悪化して初めて親御さんが気付き病院に連れて行かれる事態になることもしばしばある様に思うからです。
「じゃ、悪化する前にどうしたら見つけられるの?」
とっても難しい事だと思います。獣医である私でも難しいでしょう。
一つあるとすれば、以前に書かせて頂いた[いつもと違う何か]これに尽きると思います。
身体の一部を舐める・掻くなど、それらの部分の毛をかき分け皮膚を見ると傷などが見つかるかもしれません。
置いておくと膿んできたり、皮膚の下に膿が溜まってきたり、全身疾患に陥ったり、悪化するかもしれません。
もし、治療の必要がない場合でも、その後の経過を観察でき、決して無駄ではないと思います。


あ!そうそう痛みを感じないで思い出しましたが、
眼!眼が分かりやすいかもしれません。
さっきの話に戻りますが、逃げている途中や獲物を追いかけている時、
眼に塵が入ったり、砂埃が入るのが一番厄介で、前が見えなくなる事はどうしようもありません。
そんな時は眼を洗浄したり、目薬をさしたりする余裕もないでしょうし、その様なすべを持ち合わせていないでしょう。
しかし、そんな時でも痛みを感じず走り続けることができるのです。
犬は痛みを感じるのが本当に鈍くなっています。
本当か?うちの子は眼をしょぼしょぼしたりするぞ!
とおっしゃられるでしょうが、一度眼をよく見てください。
カットなどから帰って来た時など、眼に細かい毛がくっついてる時があると思います。
或いは、糸の様なものがくるくるくっついている事もあるかと思います。
ご自身だったらどうでしょう。
まつ毛一つでも、鏡で見ても何処にあるか分からない様な小さな埃でも、
痛くて痛くてころころして、涙は出るし、眼を開けてられない様になるでしょうし、
ましてや傷が付いたらなおさらです。しかも瞬時に。
しかし犬はなんともない涼しげな顔をしているはずです。
小さな浅い傷であれば何にもない顔をしています。
ところが数時間から数日後、眼をしょぼしょぼしだしたり、何かの異変に気づくと言う事になります。
これを初期に見つけるのは並大抵なことではないでしょう。
私の場合でも、来られた方は何で来られたとしても必ず眼の検診をしていますが、難しい事だと理解しています。
であるが故、特に眼はおかしいと感じたらすぐに病院に行ってあげて下さい。
その時点で何日もたっている場合があるからです。
病院にお行きになられて、「もっと早く来ないとだめじゃないか。」とおっしゃる先生はきっとスーパーマンでしょう。

この様に、過酷な自然を生きていく為の手段として痛みを余り感じなくなっているのでしょうが、
わが子としては大きな難点になっているのは間違いないことだと思います。
何でもそうですが長所と短所、これらはいつも背中合わせだと言う事のように思います。

「人の痛みを分かる人間になるんだ!」
よく言われました。
[痛みの無い痛み]を分かってあげるのは大変な事かと思います。
が、先の痛みを感じてあげて下さい。悪くなった時の事を想像してあげて下さい。
皆様方ならきっと出来る事だと思います。
我々獣医師には越えるに越えれない[愛情]があるんですから。

もうお茶は飲み終わりましたか?
まだ残っていますか。
では、次は「猫と砂漠とお○ん○ん」 面白いお話をしましょう。
あ、どうしました?お手洗いですか。
それでは次回までおトイレタイムと言う事で。
お楽しみに。