浅草靴業界の歴史
 


日本人と靴の出会いは江戸時代。文久元年(1861)と考えられています。
当時幕府が出したお触れ書きに次のようにあります。

「皮履」(靴)の儀も、御軍艦方等、船中に限り、相当候は不苦、百姓町人共儀も、職業柄商売体により、筒袖(洋服)着用、雪中 皮履相用候儀左来の品は不苦といえども、外国の製に粉敷相用候儀は不相成候(「明治事物起原)

簡単に要約すると、西洋式の色々なものは、幕府に都合のいいものは受け入れたものの、洋服や靴に関しては、外国製品と紛らわしいものということで日本人には合わないとして禁令を出した。

当時の報道写真家ともいうべき浮世絵の絵師たちも禁令の中靴の絵をなるべく靴とわからぬように描いていたが、まさに靴である。

「商人七福神」 豊原国周筆

あの坂本竜馬と言えば明治維新の時の立役者であり写真にもありますが
トレードマークとしてブーツを履いている姿が有名です。

この写真は竜馬が元治元年か慶応2年に、長崎のハイカラなお土産店の写真館で撮影されたもので、
当時としては長崎で西洋式の靴を履いて写真を撮って持って帰るのが国へのお土産として、はやっていたという事であったそうです。

実際には、文久元年の近世のお触れ書きと考え合わせると、
革命家がわざわざ人目を引く、禁止されている靴を履いていたとは考えにくいと専門家は言っている。
しかし、トレードマークなので靴を愛する私たちにとっては、
はいていたという方がかっこいいという事で、
あえて大きな声では言わないようにしよう!!

日本ではじめて靴産業を興したのは、明治三年(1870)3月15日で、
下総佐倉の支藩佐野藩の旧藩士、西村勝三です。
創業の地は築地居留地の隣、東京築地入船町5丁目一番地(現・東京都中央区入船3-10-9・ 三井住友銀行新富支店)で現在ここに「靴業発祥の地」の記念碑(1985)が建てられている。

初めて靴工場を作ったのは西村勝三です。
明治3年にこれから兵制改革になるということで、軍人にたびから靴を履かせるということで、フランスの靴をまねて靴工場を設立した。
当時は靴下もなかったので靴下も一緒に作っていたという。
明治5年(1872)には早くも一般向け用の注文靴部を開設、紳士、婦人、子ども靴まで作っていた。

左の錦絵は明治12年(1879)に出版されたものでそこには靴の機械おろか、ミシンさえない、オール手作業時代の工場が移写し出されています。
その後明治38年(1905)頃にはシンガーミシン、18種などのミシンが大量に普及し日露戦争による軍靴の増産に関係していると思われます。

「弾 直樹」

浅草に革メーカー靴メーカーを初めて持ってきたのは明治5年(西暦1872)弾直樹です。
西村勝三と同じく政府丘部省に軍靴を納めるため、浅草に工場と屋敷を構えました。
(現在、橋場今戸地区)

なぜ浅草のこの地域に革工場を作ったかというと
一番は墨田川の水を使って革をなめす為です。
当時の地図を見るとわかるように川には大きな中州があったことがわかります。
その中州も革をなめすのに都合がよかったと思われます。
また近くには造幣局などもありこの頃の水の重要性がわかります。

またその頃には墨田川の対岸の町にも多くの革メーカーができ今でも残っています。

その後その回りを中心に浅草バス通り沿いに革問屋が軒を並べ、そして靴の材料、金具、工具などを 販売する店も出て来ました。またそのまわりで靴メーカーがもうかるということで靴メーカーが多く建ち並び、大正昭和には押しも押されぬ革と靴の町になったのです。

戦後、焼け野原になった浅草の街から人々は必死に立ち上がっていった。
靴メーカーも同じである。

下の写真は貴重な当時の状況を捉えた物である。

今残っているメーカーで一番古いのは創業138年の大塚製靴(株)さんです。
初代大塚岩次郎が芝露月町に大塚商店を創業したのが1872年(明治5年)2月4日のことです。
その後大塚商店は1882年(明治15年)に宮内省から天皇陛下の御靴調整を賜りました。
同時に鹿鳴館に出入りする皇族、華族、貴顕紳士淑女からのご愛顧もいただいて、皇室の御用達として高い評価を確立していました。

明治時代の大塚商店本館
1888年(明治21年)芝区露月町(現在の大塚製靴本社の場所)に新しく出来ました。

実は浅草にあるんです。はじめは1978年(昭和53年)4月1日に開設され、
台東区橋場1-36-2台東区産業研修センター内2階に平成21年7月1日、皮革産業資料館としてリニューアルオープンしたのです。
革の歴史、靴メーカーの歴史はもちろんカバンやお祭りに使う太鼓など浅草がお祭り芸能の街でも有名なのがわかるようになっています。

靴好き、革好きの人は一度足を運んでみてください。

今回浅草靴業界の歴史をご紹介するのに稲川 實さんには本当にお世話になりました。
たくさん教えていただいたのですが、ほんの一部しか紹介できませんが、ブログなのでまた御披露していきたいと思います。


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