知っておきたい「会津産コシヒカリ」の実力

おいしいコシヒカリを作るための4条件

日本は地域によって天候や土壌が多種多様であり、先人はそれにうまく適応して千姿万態の農作物を生産してきました。
この多様性は現在の日本においても大きな魅力となっています。

それらの中でも古くからとりわけ特別なものとして扱われてきたのがお米です。

福島県会津地方は、古くから米の名産地として知られます。
それは稲作に最適な恵まれた環境が大きな要因となっています。
  1. 粘土質の土壌
  2. 一日の寒暖の差が大きい
  3. 長い日照時間
  4. 清らかで緩やかな水
これらの条件が見事に揃った会津の大地で育まれたお米は、長きに渡り高い評価を受けてきました。

品位等級検査

客観的な評価指標の一つが「等級」です。

お米の等級は、農林水産大臣登録の農産物検査員の目視によって判断されるものです。
形や色が整った米粒の割合(整粒割合)など複数の指標を元に決定されます。
農産物検査員による品位等級検査
当社の検査員による等級検査の様子
所詮見た目だけの指標と侮ることはできず、この評価は食味や食感とも大きく関連します。

では、一番等級の高い「一等米」の割合について、令和元年産コシヒカリ玄米でのデータを引用します。
R1.12.31現在 コシヒカリ検査数量上位7位の都道府県における一等米割合
都道府県 全検査数量 一等米の割合
福島 131,368 t 92.3 %
茨城 115,231 t 82.3 %
栃木 108,609 t 92.7 %
千葉 76,022 t 82.3 %
新潟 269,007 t 26.7 %
富山 82,037 t 83.2 %
長野 66,907 t 97.2 %
福島県のコシヒカリは、新潟に次ぐ収穫量にも関わらず一等米が90%を超えるという、安定した高品質を誇ります。

特に会津地方では、平成25年度から「会津米品質向上対策事業」の中で一等級比率の向上を重点課題の一つに位置づけ取り組んでいます。
会津米のブランドと信頼を損ねないよう、官民一体となって努力を続けています。

食味ランキング

等級と並んで取り上げられるのが「食味ランク」です。
これは一般社団法人日本穀物検定協会による、炊飯した白飯の食味官能試験に基づいた評価です。
つまり等級が目視での評価であるのに対し、こちらは食べたときの「おいしさ」の評価といえます。
最上位が"特A"で、"B'"まで5段階で評価されます。

ただし注意が必要なのは、この評価は試験に供された試料に対する同協会の評価であり、流通米全てを検査しているわけではないことです。
品位等級検査とは違い、米袋に「一等米」の印は書くことができても「特A」などとは表記できません。
あくまで特定年度における、特定地域産の特定品種においての評価としか言えないのです。

とはいえ、この評価は毎年マスコミを通じて大きく報道され、消費者が価格の妥当性を判断する上での指標とされうるものです。

同協会の食味評価は昭和46年度産米から行われていますが、「コシヒカリ」について平成に入ってからの30年間のデータを見ると、特A評価受賞回数は下記の通りとなります。
平成元年からの特Aランク評価回数(コシヒカリ・5回以上のみ)
山形県:6回
福島県(会津):24回(直近7年連続)
福島県(中通):16回
福島県(浜通):7回(直近4年連続)
茨城県(県北):5回
栃木県(県北):11回(直近2年連続)
新潟県(上越):14回(直近7年連続)
新潟県(中越):20回
新潟県(下越):6回
新潟県(魚沼):30回(直近2年連続)
新潟県(岩船):11回
新潟県(佐渡):26回
富山県:8回
福井県:7回(直近7年連続)
山梨県(峡北):10回
長野県(東信):8回(直近2年連続)
長野県(北信):8回(直近6年連続)
岐阜県(飛騨):5回
三重県(伊賀):7回
京都府(丹後):12回
兵庫県(県北):5回(直近4年連続)
こうして見ると、新潟県産と福島県会津産の強さと安定感が際立って目立ちます。
コシヒカリの代名詞といえる魚沼産の評価はさすがですが、それでも2018年には「特A」から「A」への転落を経験しています。
また、新潟の令和元年度産は、夏の猛暑の影響で、特A常連の佐渡や中越でもAへの転落がありました。

以上のデータから、福島県会津地方は「魚沼と双璧をなすコシヒカリの名産地」と言え、毎年高品質な米を安定して産出しており「会津産コシヒカリならほぼハズレがない」と言っても過言ではないのです。