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カラダに優しい油って?
正しい油の選び方

油(脂肪)といえば、「摂り過ぎると太りそう」「体に悪そう」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。前回、花粉症の症状が辛い方はカラダの負担になりやすい“トランス脂肪酸”を避けましょう!とお話した通り、油の摂りすぎは肥満を招き、生活習慣病の原因にもなります。しかし、油を控え過ぎると免疫力が低下したり、肌が乾燥しやすくなったりといった悪影響もあります。健康や美容のためには、油も適度に摂取する必要があります。様々な種類の油をうまく選んで摂取して、健康に役立てましょう!今回は『カラダに優しい、油の選び方』をご紹介します。

■油とは

人間が生きていくために欠かせない3大栄養素は、炭水化物、タンパク質、そして油(脂肪)です。この3つの中でも、油のカロリーは1gあたり約9kcalと最も高いため、日々の食事では健康のために油の摂り過ぎに注意している人も多いかもしれません。油の摂り過ぎは肥満などの原因になりますが、一方で人間が活動するためのエネルギー源として欠かすことはできません。
たとえば人間の脳の60%は脂肪でできているといわれていますし、細胞膜やホルモン、胆汁を作る材料になったり、皮膚に潤いを与えるのも油の役割。油は人間が生きていくためには必要不可欠で、重要な働きをしている栄養素なのです。
油の主な成分は脂肪酸です。油にはバターやゴマ油、牛脂など様々な種類がありますが、その成分はいずれも「脂肪酸」。脂肪酸は、炭素と水素と酸素の3種類の原子で構成され、その構造によって分類され、その働きも異なります。
脂肪酸は分類方法によって、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の大きく2つに分けられます。

■飽和脂肪酸

溶ける温度が高く、室温では固体。体内で合成できる。
飽和脂肪酸は一般的に肉や乳製品に多く含まれる酸化しにくい油で、体にとって重要なエネルギー源です。不足すると血管がもろくなり、脳出血を起こすリスクがある一方、摂り過ぎるとLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やし心疾患のリスクが高まります。また、心筋梗塞や、肥満、糖尿病を招く危険性があります。飽和脂肪酸は、結合する炭素の長さによって、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸に分類されます。

1・短鎖脂肪酸(酢・バター等)
…食品からも摂取できるが、主に腸内発酵で体内で生成される脂肪酸で、脂肪の合成やミネラルの吸収などに使われる

2・中鎖脂肪酸(ココナッツオイル等)
…長鎖に比べ消化吸収が早く、すぐにエネルギーとして使われ体に蓄積されにくい

3・長鎖脂肪酸(ラード・牛脂等) 
…ゆっくりと吸収されて肝臓や筋肉などの組織に運ばれたのち、余分なものは体脂肪として蓄積される

■不飽和脂肪酸

低い温度でも溶け、10~20℃程度の室温では液体。
不飽和脂肪酸はエネルギー源でもあり、体の各種細胞膜の重要な構成成分です。大きく一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)、多価不飽和脂肪酸(オメガ6系、オメガ3系)と分けることができ、その種類によって様々な働きがあります。一般的に飽和脂肪酸に比べ酸化しやすく、特に多価不飽和脂肪酸は加熱調理には向いていません。

1・一価不飽和脂肪酸:オメガ9系脂肪酸(オレイン酸/オリーブオイル、アボカドオイル、アルガンオイル、カメリアオイル等)
…体内で合成できる。
HDL(善玉)コレステロールを下げずに、LDL(悪玉)コレステロールだけを除く働きがあり、動脈硬化や高血圧の予防に効果があるといわれています。腸の働きを活性化し、便秘予防にも効果があります。

2・多価不飽和脂肪酸:オメガ6系脂肪酸(リノール酸/べに花油、コーン油、グレープシードオイル、ゴマ油等)
…体内で合成できないため、食べ物からの摂取が必要(必須脂肪酸)
コレステロール値を下げる働きがありますが、LDL(悪玉)コレステロールだけでなく、HDL(善玉)コレステロールも減少させてしまうため摂りすぎには注意が必要です。また摂りすぎによって、アトピーなどのアレルギー疾患の悪化、動脈硬化を引き起こすリスクも報告されています。

3・多価不飽和脂肪酸:オメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸/エゴマ油、アマニ油、EPA・DHA/青魚等)
…体内で合成できないため、食べ物からの摂取が必要(必須脂肪酸)
血中の中性脂肪を減らすほか、血栓ができるのを防いだり、不整脈の発生を防止したりと生活習慣病予防の効果があります。不足すると皮膚炎、集中力低下などが起こります。ただし、α-リノレン酸は摂りすぎると前立腺がんのリスクが高まる報告があります。

■積極的に摂るならコレ!生活習慣病を予防するオメガ3系

必須脂肪酸であるオメガ6系とオメガ3系脂肪は体内で合成できないため、食べ物から摂取しなければなりません。しかし現代は外食や加工食品などを食べる機会が増えており、コーン油やべにばな油などのオメガ6系の油の過剰摂取でアレルギー疾患や動脈硬化が心配されています。本来オメガ6系:オメガ3系=2:1の比率で摂取するのが望ましいとされていますが、現代人の食生活ではバランスが崩れ、オメガ6過多となり、相対的にオメガ3が欠乏してしまいます。オメガ6系:オメガ3系=10:1になるとも言われています。オメガ6系を控え、オメガ3系のエゴマ油、アマニ油、青魚を積極的に摂取しましょう。
オメガ6はファーストフードやコンビニ食に限らず、スーパーに並んでいる加工食品のほとんどに含まれています。食品成分表の前の方に、植物油・マーガリン・ショートニング・サラダ油・紅花油・コーン油などの記載があるものは摂取量を気を付けましょう。一概に、オメガ6を食べてはいけない、というわけではありません。あくまでもオメガ6とオメガ3のバランスが大切ということです。オメガ6は外食で必要な量を摂れていることがほとんどなので、自炊する際はなるべく避けるようにしましょう。

■バックナンバー

・腸活で花粉症ケア
・あなたはどのタイプ?症状別花粉症ケア
・旬を食べよう!みかんの力

次回は『サラダ油の代わりに使いたい!加熱OKな油』をご紹介します。
食べたものが私たちのカラダをつくっています。
買い物の際は食品成分表示をみて使われている油を意識してみましょう!