〜100年桶に願いを託して〜





120年ぶりに木桶を二つ新調いたしました!

平成21年3月20日 足立醸造の蔵に120年ぶりに新しい木桶がやってきました!
創業以来はじめてのことです!
木桶はコンクリートやプラスチックでできた桶に比べて効率が悪いといわれ、多くの蔵にはもう木桶は残っていません。
木桶を捨てることはあっても、木桶を買うことは、醤油蔵だけでなく、醸造業界でも本当に珍しいことなのです。
 
足立醸造にとって大イベントなわけです!
そこで、日ごろご愛顧いただいているお客様、小麦や大豆を大切に育ててくださっている農家の方、醤油や味噌を
販売していただいている方々などなど、総勢130名の方をご招待し、イベントを開催しました!!
 
名づけて・・・・
100年イベント
〜100年桶に願いを託して〜


そのイベントの様子をご紹介します!




午前8時半 真新しい木桶が到着です!!でで〜ん!!



お手製の飾りつけをして、お客様を待ちます。
まるでお嫁さんに花嫁衣裳を着せるようなそんな気持ちでした。
スタッフみんな、そわそわ、ドキドキ。。。



全国各地からご出席頂いた、お客様、関係者の皆さん。
なんと北海道からも来て下さったお客様もいらっしゃいました!



まずは、神事です。
木桶に命を吹き込み、祈りを捧げます。



新桶の100年先までの活躍を祈って!!



たくさんのお客様を前にし、とても緊張した様子の蔵主登場!
不器用な蔵主が何日もかけて考えた挨拶。
感謝の気持ち、ちゃんと伝わったかな・・・。

【蔵主 足立達明 挨拶より】
『ご覧頂いている木桶は、製作して頂いた藤井製桶所の倉庫に桶を部材別に分解して、
40年ほど大切に保管されていたものです。それを修正し、組み直して、足立醸造に来ています。
藤井製桶所の上芝社長に伺いますと、社長のお父様が、随分前に、ある醤油蔵から引き取った
「高野槙(こうやまき)」で造った木桶とのことです。
高野槙は防水性が良く、桶に打ってつけの材ですが、高価なのが・・・難です。
相当の思い入れがお父様にあったようで、長い間手元に置いておかれたようです。
高野槙で作った木桶は、今後はもうないだろうとのことでした。
そのような貴重な桶を、縁あってお譲りいただくことができました。



【藤井製桶所の部材置場】
古い桶を分解して、
部材をひとつひとつ保管されています。
それを職人が組み立てなおし、再生されます。



木桶は一本も釘を使わず組み立てるんです。
木も、一本一本、形が違います。
それをうまく一つの桶にする。匠の技ですね。



【桶職人の上芝さんと蔵主】
上芝さんには、現在活躍している木桶の修理や手入れもしていただいています。
100年以上使い続けられるのは、桶職人のおかげです。

【蔵主 足立達明 挨拶より】
木桶は先人が編み出した究極の発酵容器です。
現在主流のFRP(プラスチック製の桶)やコンクリート槽などの容器と比べて依然として優れている
点がたくさんあります。そのひとつには、手入れをきっちりすると200年以上。普通でも100年は
軽く使用することができます。



蔵に慄然の並ぶ木桶

一世紀以上に亘り、木桶を通して人と人が結びつきながら、様々な
感激や出来事があったことと思います。このような貴重な木桶で醤油を仕込めるのは本当に幸せです。
これからも一生懸命精進し、醤油、みそ造りに邁進いたします。未だ私は納得がいく醤油が造れていませんが、
いつかはきっとと云う思いがあります。先代も、そのまた先代も同じ気持ちで頑張ってきたからこそ、今があり、明
日があることを忘れません。そして、今までもこれからも地域の人々、ファンのお客様、お取引様、スタッフ、友人、
家族に支えられての足立醸造です。私一人では、何一つできません。どうかこれからもよろしくお願い申し上げます。』



足立醸造低温倉庫前



【藤井製桶所社長 上芝さん】
大阪府堺市の桶職人。
全国で4人しかいないといわれる桶職人のお一人です。
2日間にわたり、足立醸造のイベントに参加していただいたのですが、
お客様や、スタッフたちに、木桶や、桶職人の仕事についてなど教えていただきました。
空いた時間は、新桶の傍らで黙々と仕事をされていました。
風が吹こうが、雨が降ろうが、黙々と仕事をされる姿は、まさしく職人。

【上芝さんからのお手紙より】
『木桶(木桶に関する仕事だけで)で食べていくのは厳しい時代もありました。
折れそうになったとき、支えてくれたのは、木桶の良さを分かってくれて、
私が造った木桶が欲しいと言ってくださる製造メーカーの職人の方々でした。
いつか見直される時が来ると励まされ、頑張ってきました。
続けてこれたのは、たくさんの方の支えがあったから。
そして木桶職人としての、私の小さな意地がそうさせたのかもしれません。
最近、やっと木桶が見直されるようになって私は本当に嬉しいです。
なにより、この仕事を続けてこれて私は幸せです。』



上芝さんと、足立家長女(七海)、次男(学)
丹精込めて造っていただいた桶は、私たちが繋ぎますよ!



足立醸造直営店店長・足立家のパワフル母ちゃん! 



100年以上前に作られた木桶から出てきた落書き。
木桶を組むとき、そのマチ(厚み)の部分に、
当時の物価や、その年の天候などを落書きする風習がありました。
100年以上経っても、残っているのです!すごい!


そこで、足立醸造の新桶(一つは木材の状態で持ってきていただいたのです)
にも落書きをすることにしました!

100年先に残したいもの。
家族の絆、平和、日本の心・・・
みんなの100年先の願いを託して。



左:多可町の杉原さん
お仕事にかける情熱をしたためました。

右:多可町の橋本さん
同月、小学校を卒業したばかりの橋本さんは
お父さんの好きな言葉“念ずれば花ひらく”と
書きました。



丹波市の田中商店さん。
昔から足立醸造の醤油を販売していただいている
小売店。
田中さんは、「足立醸造は販売店の宝」と愛用のマジックで
書いてくれました。なんかテレますね^^



「がんこオヤジのあったかい醤油」
とニヤニヤしながら書く、印刷会社の山田さん。笑
足立醸造のラベルを作っていただいています!



ずらっと並んだ、熱い思い!
一部ご紹介いたします!

■平成の職人たれ!(神戸大学名誉教授・ゴーゴーご組校長 保田茂先生)
■百年に一度といわれる大不況にも本物は動じない(げんぶ堂社長 岩本様)
■和やかに、人のこころを輪の中に(加美区 棚倉様)
■伝統を守り続けながら新たな挑戦を(足立家長男 足立裕)
■夢を託して(足立醸造工場長 土田博)
■日本は面白い!(醤油職人.com 高橋万太郎様)
■たくさんの人に支えられての足立醸造。この気持ち、一生忘れません!(足立醸造WEB店長・長女 足立七海)
■発酵力(鶴屋 代表取締役 鶴様)
■家族みんなが健康で沢山の幸がありますように。(神戸市 上手様)



集合写真



新桶は、足立蔵で100年先まで守り抜きます。
皆さんの熱い思いと共に・・・。
100年先まで、この木桶を守りぬくこと。すなわち、醤油造りを継いでいくということ。
この新桶と、集まっていただいた皆さんに誓って、これからも地道に頑張っていきます!





*おわり*