1983年、当時まだ日本でなじみの薄かった、1950〜60年代のアメリカンヴィンテージ家具や古道具を取り扱うことからACME Furnitureの歴史はスタートする。それから30年以上、創業当時より変わることのないスタイルで、自社スタッフによるアメリカでの買い付けを行ってきた。ヴィンテージ家具特有の歴史やストーリーに触れながら、ディーラーや各地で開催されるあらゆるマーケットを訪ねる。仕入れた家具たちは、熟練の技術によるメンテナンスを施すことで再び輝きを取り戻し、古道具はカスタム家具へと形を変える。ACME Furnitureにとって家具とは、家の装飾や生活必需品以上の意味があり、アメリカ黄金期の歴史を彩ったヴィンテージアイテムを取り入れることで新たな人生のストーリーを紡ぎ出すことができる。“家具は人生そのものである”その信念のもと、ACME Furnitureのスタッフは買い付けをハンティングにたとえ、心を深く揺さぶるプロダクトを求めて各地を巡り続ける。自分たちのチョイスひとつひとつが誰かの人生を大きく左右するストーリーとなるかもしれないのだから。
ACMEの前身「Oh PA!」オープン
ACME Furnitureの創業者が渋谷区の大山町に「Oh PA!」という名前の小さな店をオープン。何もかもがダイナミックなアメリカへの憧れから、当時日本ではまだ馴染みのなかった、1950〜60年代のアメリカ軍払い下げ品の家具や古道具を買い付け、販売をスタートさせた。その後1986年に店舗は恵比寿に移転オープン。
アメリカ開拓時代
家具の買い付けエリアを日本のみならず、アメリカ西海岸広域に渡り開拓を行った。各地のフリーマーケット、オークション、スリフトストアなど、ロードマップに印を付けながら価値ある中古家具を求めて探し回った。
「ACME Furniture」西五反田にオープン
アメリカにおいて、電話帳がまだ主流だった時代。電話帳を開くとまず出てくる社名として人気があり、定番であった「ACME」を銘打った店が西五反田にオープンする。アメリカ買い付けを本格化させ、いま現在のACMEスタンダードとなる商品展開を行う。
有限会社アクメ設立
前身である「Oh PA!」のオープンから約10年。ACMEという冠をつけた企業体としてスタートを切った。
「ACME Furniture」目黒区・鷹番に移転オープン
国内では、イームズをはじめとするミッドセンチュリーデザイナーズモダンが流行し始めた1990年代初頭にも、ACMEFurnitureは流行にとらわれない商品を展開。一般家庭向けに製造されたファクトリーブランド家具に、ヴィンテージという新たな価値を見出した。
カスタムデザイン全盛期
1990年代後半は、ACME Furnitureにとってカスタムデザインの全盛期に当たる。鷹番店の2階フロアには、ACME Furnitureが得意とするアメリカ軍用飛行機の解体パーツが所狭しと並んでいた。現在でも、さまざまなパーツに手を加え家具に作り変えるカスタムデザインは、多くのユーザーから愛され続けるACME Furnitureのエッセンスのひとつである。
「ACME STYLE」渋谷区・青山にオープン
ACME STYLE Opened in Aoyama, Shibuya Wardセレクトされたヴィンテージ家具をメインに、コレクターズグッズやオーナメントなどによって構成された期間限定ショップ。
「SOLA DESIGN」Down Town Los Angelesオープン
ブランド初の海外出店は、2007年までの約3年間アメリカ・ロサンゼルスにショールームを構えた。再開発前のダウンタウンエリアにリメイク家具専門のショールームを展開し、アメリカ国内の飲食店やアパレルショップの什器制作、販売も行った。
オリジナル家具の製作、本格始動
この年より、ACME Furnitureの新たな歩みが始まった。ブランドのロゴデザインも変更され、これまでのヴィンテージとカスタムの2本柱に加え、長年のバイイングで培われた知識と経験をもとにオリジナルプロダクトの製作を本格始動。今日に至るまで、数々の定番商品を生み出している。
「ACME Furniture目黒店」オープン
journal standard Furnitureとの複合店としてオープン。2013年には、ACME Furniture単体ショップとなり、「ACME Furniture目黒通り店」と改名して再スタートした。
「ACME Furniture自由が丘店」オープン
カリフォルニアの乾燥した内陸地域をテーマとしてリブランディングしたACME Furnitureの新しい旗艦店が鷹番より移転オープン。キーワードである「リラックス」や「コンフォータブル」なイメージを店舗全体から感じられる空間は、自由が丘という土地のカラーにも溶け込み、ACME Furnitureの新しい顔となっている。
「ACME Furniture渋谷店」オープン
「都市型の生活空間をイメージした提案型のショップ」。アメリカのインテリアをスモールスペースに向けて提案した空間作りが特徴のショップ。DIY工具やアメリカの日用品雑貨の取扱いの幅を広げた商品構成となっている。
「ACME Furniture大阪店」オープン
関西エリア1号店となる大阪店を堀江にオープン。3フロアから成る店舗の1・2階は、ロサンゼルスのダウンタウンエリアのウェアハウスを、3階は白を基調としたシンプルでモダンな空間をイメージしており、商品だけでなく、空間としてACME Furnitureの世界観が表現されている。
ヴィンテージ家具の存在は、創業当時から決して変わることのないACME Furnitureのベースである。買い付けは、アメリカの西海岸を中心に近年ではアメリカ中南部や東部へも足を延ばしており、対象も1940〜80年代の家具や古道具と幅広い。現地の空気を自分たちの肌で感じ、ACME Furnitureの扱う商品としてふさわしいものを選ぶ。そんなライブ感こそがACME Furnitureらしい遊び心を生み出しているのである。
ACME Furnitureでは、そのままでは使い道のない、魅力溢れるヴィンテージエレメントを利用したカスタムデザインも行っている。アメリカ軍用飛行機の解体パーツなど、本来の用途では家具として成立しないものでも、そこにパーツそのものの造形美や可能性を見出して、まったく新しい家具として生まれ変わらせる作業。そこには元の良さを活かしつつ手を加えることで新たな息吹をもたらす面白さがある。ヴィンテージの買い付けと同様に、自由であること、遊び心があること、真面目過ぎないこと。そんなACME Furnitureらしい空気は、カスタムデザインにおいても継承されている。
ACME Furnitureは創業以来、アメリカの中流階級の家庭をコンセプトとして古き良き時代のライフスタイルを表現してきた。ドレッサーの上に家族の写真や旅行先で見つけた工芸品が飾られたり、ベッドの両脇にナイトスタンドを置き、その上にテーブルランプを灯したり。このようなアメリカ映画のワンシーンで見るような、どこか懐かしい光景こそがACME Furnitureが創造する生活空間なのだ。偶然の出会いによって手に入れたヴィンテージアイテム、そしてヴィンテージからインスパイアされて現代の用途に合わせて作られたACME Furnitureオリジナルプロダクト、双方の魅力をミックスさせることにより豊かだった時代のアメリカの暮らしが作り出される。
ACME Furnitureが提供するオリジナルプロダクトは、アメリカンヴィンテージアイテムからインスピレーションを得て制作されている。そこには、“良いものを生活の中に取り入れることで真に豊かになる”という、作り手のこだわりが表現されている。いまはまだ新しいプロダクトも、メンテナンスを繰り返し、時間をかけて生活の軌跡を浸透させていくことで、親から子、そして孫へとファミリーの中で代々受け継がれていく家具に育つ。そんな将来のヴィンテージへと成長することを願って、ACME Furnitureのオリジナルプロダクトは制作されている。