Rakuten 新春カンファレンス2017

ECに携わるビジネスパーソンや楽天市場出店者が一同に介するイベント「楽天 新春カンファレンス 2017」。今回は、USBフラッシュメモリーやイントラネット、マイナスイオンドライヤーなど、さまざまな商品・事業のコンセプト設計に携わってきたイノベーション・シンキングの第一人者、濱口秀司さんの講演の模様をダイジェストでご紹介します。

冒頭は「イノベーションの作法」というテーマについてのイントロダクションから。商品からサービス、BtoCからBtoBまで、濱口さんが幅広い守備範囲で関わってきたプロジェクトは何と約600。これらのイノベーションを成功に導いたのは、勘や経験ではなく「作法」です。

そもそも、イノベーションとは何なのでしょうか。さまざまな解釈がなされるこの言葉に対し、濱口さんは3つの定義を示します。

濱口 秀司 氏
京都大学卒業後、松下電工(現パナソニッック)に入社。研究開発や全社戦略投資案件の意思決定分析担当などを経て、1998年に米国のデザインコンサルティング会社Zibaに参画。USBフラッシュメモリなど様々なコンセプト作りをリード。パナソニック電工(株)新事業企画部長、パナソニック電工米国研究所(株)の上席副社長、米国のベンチャー企業のCOOなどを歴任。 2009年ZibaにDirector of Strategyとしてリジョイン。2013年、Zibaのエグゼクティブフェローを務めながら、自身の実験会社「monogoto」をポートランドに立ち上げ、ビジネスデザイン分野にフォーカスした活動を行っている。ドイツRedDotデザイン賞審査員。

 

濱口:1つ目は『見たことも聞いたこともない』ものであること。2つ目は『実行可能である』ということ。そして最後が『議論を生む』ということです。見たことも聞いたこともないアイデアを出して、それが実行可能であるとします。それを自分のチームメンバーや仲間全員が賛成してくれたとしたら、それはイノベーションではありません。逆に全員に反対されたら、マーケットゼロということ。『半分は大賛成、半分は大反対』や『数人が大賛成、大多数が大反対』という状態なら、イノベーションの可能性があります。

続けて濱口さんは、イノベーションを生み出すためには「バイアスを壊すこと」が重要だと説きます。脳の基本機能は「バイアス」、つまり先入観を作ること。誰も見たことも聞いたこともないことはバイアスに反し、これまでの常識が通用しなくなるからこそ、議論を生みます。

濱口:バイアスには、スムーズに仕事ができるようになったり、チームのコミュニケーションや作業を効率化したりといったメリットもあります。その一方で、囚われている何かを破壊しイノベーティブな発想をしたいときの妨げにも。何かを壊したいときには、自分たちの業界や事業が持つバイアスを構造的にとらえ、意図的に破壊することが必要です。

また濱口さんは、「商品や購買体験をいかにして顧客価値につなげるか」についても語りました。「機能」「デザイン」に加え、現在では「ストーリー」、つまり消費者にとっての意味を持つ商品であることが重要視されています。

濱口:まずは、一目でその商品だと分かり、翌日でも思い出してもらえるような視覚的な特徴が必要です。次に「分かりやすい機能性」。シンプルに理解できる機能を持たせましょう。皆さんの商品は、サイトは、一言で言うとどんな利便性があるのか。それを設計し、表現しなければいけません。そして最後に「誰もが共感し、広めたくなるようなストーリー」です。人に伝えてもらう必要があるので、シンプルで拡散しやすいものになっているほうがいいですね。

この3つを完全に作り、つなげていくことが、今後の商売に不可欠な要素です。