知って得するCADの便利帳
|
CADの歴史
CAD(キャド)の歴史はコンピューターの歴史である。コンピューターは第二次世界大戦中に、アメリカで大砲の弾道計算用に研究開発された。当時は半導体が無く真空管の時代である。完成したコンピューターはバカでかく、重たくて、消費電力も半端ではなかった。
計算能力は現在数千円で買える関数計算機よりはるかに劣る代物であった。それがエレクトリニクスの急速な発展とともに、高性能化・小型化そして低価格化してきた。数千万円もしたコンピューターが今では十万円で手に入る時代となり、ビジネスの世界でしか使われていなかったコンピューターが、パソコンとして一般家庭に広く普及する時代となった。
CAD(キャド)は航空機の設計を目的としてアメリカの某メーカーで開発された。航空機の設計は膨大な時間と経費がかかる。それの省力化でCADの開発が進められた。その後、各種CADソフトが次々と登場して今では数百種類が乱立している。各社がまちまちに開発したので各ソフトの互換性は良いとはいえない。早い時期での世界的標準CADの出現を望みたい。
|
CADソフトの種類
CAD(キャド)ソフトは大きく分類して機械系、建築・土木系及び電気・電子系の3種類になる。これらに使用されているCADソフトのベストテンは、毎年、発表されている日刊工業新聞によると次の通りである。
機械系
1 AutoCAD LT 2 AutoCAD 3 マイクロCADAM 4
I―DEAS 5 Pro/ENGINEER 6 I−DEAS(解析) 7 CATIA 8 ICAD 9 ME10 10
NASTRAN
建築・土木系
1 AutoCAD(LTを含む) 2 JWCAD 3 MiniCAD 4
DRA−CAD 5 GDS 6 ICAD 7 ダイナバース 8 CADSUPER 9 CADPAC 10
MicroStation
電気・電子系
1 ECAD 2 図研 3 AutoCAD(LTを含む) 4
OrCAD 5 ケイデンス 6 メンター 7 CADVANCE 8 シノプシス 9 CADIX 10
ICAD
これらの他にもGMM、K−CAD、PRICAD、JELLY、DynaCAD、GRADE、頭脳RAPID、HICAD、AdvanceCAD、PADS、製図道具PHOTO、CADDS、CADRA……等、数多くある。トップ10の順位はここ数年ほとんど同じである。
|
CADソフトは何を選ぶか?
これだけCAD(キャド)ソフトが多いと何を選んで良いのか迷ってしまう。通常は取引先、関連会社等のつながりで選ぶ事が多い。しかし、自分で選択できる場合は、汎用性があり、CAD同士の互換性のあるCADソフトを選びたい。
現在、CAD(キャド)ソフト間の互換はAutoCADのDXF中間ファイルが世界標準に成りつつあり、3部門で上位を占めるAutoCADがお薦めである。
別にAutoCADの宣伝(当社とオートデスク社は一切関係ない)をする訳では無いが、当社でAutoCAD、マイクロCADAM、GMMの3種類のCADソフトを使用した結果、AutoCADがコスト、利便性、互換性で優れていた。
ただ、操作性については他のCADソフトに比べて、やや不便を感じる。たとえばマイクロCADAMを使用して、それからAutoCADを覚えようとすると、かなりの抵抗感がある。逆に最初にAutoCADを覚えれば、他のCADは比較的スムーズにマスターできる。これは自動車の運転でAutoCADがマニュアル車で、マイクロCADAMがオートマチック車だと言える。
|
AutoCADの特徴
AutoCADの一番良い点はコストパーフォマンスである。AutoCADは通常のバージョンの他に低コストのLT版がある。このLT版は通常のものに比べ、カスタマイズ化がやや不便な点を除けば、ほとんど通常バージョンと同じ機能を持っている。
しかも、ソフトがパソコンショップで購入できるのは便利だ。他のCADソフトは中々パソコンショップで売っていなくて、業者経由でないと入手できない。となると当然コストは割高となる。
もっと安いCADソフトや、インターネットで無料で手に入る物もあるが、将来の利便性・互換性を考えると、このLT版が一押しだ。
◆低価格のAutoCADの互換ソフトなら ⇒ ZW CAD
|
CADのメリット
CAD(キャド)の利点としては、設計データの蓄積・再利用および設計業務の分担化・簡素化が挙げられる。CADデータはデジタルにつき保存・修正が簡単に行われる。保存の管理さえしっかりしていればデータは永久に保存可能だ。
手書き図面の再利用は難しいが、CADなら問題ない。複雑な図面を手書きで分担することは無理だが、これもCADならスムーズに行える。手書き図面は書く人の癖やレベルにより、かなりのバラツキがあるがCADは統一性がある。
CADは設計の道具であり、CADを入れたら即それが設計コストの低減に結びつく訳ではない。導入直後はかえって手間がかかり設計工数が増加しやすい。使いこなせば強力な味方となり、設計工数の大幅な削減が期待できる。いずれにしても、CADを車の運転のように自由自在に駆使できるようになれば、おのずから色々な展開が可能となる。
|
最初のCAD
最初のCADは、パソコンの性能がいまいちで、スピードが遅く複雑な図面になると、画面に全体が表示されるまで5分近くも時間がかかる代物だった。当然その間はパソコンの操作が出来ず、時間ロスが著しい。
これだから、私はCADの使用は採算べースにのらないものと考えていた。ドラフターなら作図している図面を見れば、その人のレベル、スピード、正確性などが一目で分かり、仕事の進境状況も正確に把握できた。
しかし、CADではどこまで進んでいるのか、あるいは間違い無い図面なのか、つかみ所が無かった。このように、CADに対しては不信感が大きく、将来性に疑問を抱いていた。それが、徐々にCADを導入するきっかけになったのは、女性CADオペレーターの登場である。
男性の設計者がCADを覚えて、CAD設計を行えば一番手っ取り早いし、間違いも少ない。しかし、ベテラン設計者になればなる程、CADを毛嫌いし抵抗感を持っていた。覚えたい意欲があっても日常の業務に追われて、中々覚えられず、ましてや、図面を作図することは手書きの方が余程早いのである。
また、当時のCADはコマンドをキー入力することが多くて、それがCAD操作を一層不便な物にしていた。
そのような時に、たまたま新しく入社した女性にCADを任せたところ、覚えが早くスムーズに仕事が出来た。
手書きの図面ならば、作図した人の個性が現われ図面を一目見ただけで、だれが書いた図面か判断できる。図面を見て書いた人が分かり、その人の経験・レベルにより信頼性が図面に評価された。しかし、CADはベテラン設計士が書いたものでも、あるいは新人が書いたものでも入力に間違いが無ければ、同じ物となる。第三者から見て、その図面がベテランのものか、初心者が書いた物か区別ができない。つまり、図面の結果だけを見れば、ベテランと初心者との壁が無くなったと言える。
|
仕事の分担
CAD設計・CAD入力の場合、考える仕事(計画・構想・組図作成等)は、男性が適しているが、入力作業となると女性の方がかなりスピードも早く、確実だ。
また、CADを覚えるとき、男性は理屈で覚えようとするが、女性は感覚・感性で覚え、マスターする時間も早い。
同じ図面をただ単に入力する場合、女性の方が私の経験から見ると1〜2割程度スピードが速い。どうしても男性は理屈を考え、深く理解しようとする。図面で、その中に隠された何かを探ろうとする。何かの理解を得ようとする。
その点、女性は言われた事を素直に受け入れ(批判する能力が多少男性より劣るかも)忠実に仕事に打ち込む。余分な事を考えない分、早いのは当然である。
|
CAD利用
CAD利用の理想は、ベテラン設計士がCADを自由自在に駆使してCAD設計を行う事である。しかしながら、前記のようにベテラン設計士ほどCADに対して一種の違和感を持っている。
当然ながら、ベテランでCADを自由に使いこなす人はいくらでもいる。しかし、ベテランになればなる程、現場の設計の仕事を離れ、管理職になり、設計の仕事が時間的に取れないのが実情だ。ベテラン設計士がCAD設計するのがベターではあるが、それが出来ないとすれば?そこにCADの使い方が見えてくる。それはCADオペレーターの採用である。
ベテラン設計士がアイデアを出し、あるいは参考図等で大まかなレイアウトを考える。それをドラフターもしくはフリーハンドで簡単な図面を書いて、それにCADで色づけして行くのである。CADの利点は設計データの蓄積、再利用が簡単に行える事である。
ドラフターで作図した人ならばわかると思うが、一度書いた図面を修正して直す事は大変なことだ。消しゴムの使い方や、消した後の線の引き方などにかなりの技術を要する。これは設計の仕事というより、手先の器用な人の芸術的な感覚を必要とする仕事となる。しかも、直した図面はどうしても汚く、見劣りのする図面となる。
その点、CADは図面の変更・修正が非常に楽だ。何度でも簡単に大きさ、形状、配置等の変更が可能であり、納得が行くまで設計ができる。ベテラン設計士とCADオペの二人三脚が設計効率を大幅にアップする。
ここで気をつける点は、ドラフターで書く手書き図面は一目見て進境状況がわかるが、CADは分かりにくい点である。いかに修正が楽でも、ほとんど完成した図面を初めから直すとなると時間はかかる。途中で何度かプリントしてチエックすること。こうすれば大体の進境状況がつかめ、単純なミス、勘違いが防げる。
このように設計作業の分担化を実施すれば、設計の作業効率は何倍にも大きくなる。
◆AutoCADの学習なら ⇒ AutoCADの楽学楽習
|
ドラフターとCAD
以前に、大手企業の設計室にドラフターが復活したとの新聞記事を読んだ。それによると、新人に始めからCADを与えて設計させると、皆同じような設計をして斬新さに欠け、新商品開発に結びつきにくいとのこと。
確かにCADなら円や楕円、あるいは曲線など手書きでは技術を要するものも簡単に描ける。ほとんど瞬時に書ける。これが逆に思考の妨げになるのか、皆が同じような設計になり個人差が無くなってしまうとの事。
ドラフターなら、図面を書くのに非常に手間がかかり、個人差も極端である。CADのように簡単に修正ができないので、自然と慎重にじっくりと作業を進める。つまり、考える時間を十分に取りながら進む。修正がきかない分それだけあらゆる事を想定しながら図面を書き上げる。よってそこには個人の新鮮なアイデア、工夫が反映されやすい。
CADと手書き、どちらが良いか一概には言えない。企業の置かれた立場により自由に選ぶべきだ。時代の流れはCAD化が大勢を占めるが、ドラフターが無くなる事はないであろう。
|
女性CADオペレーター
今後、日本の人口は2020年頃にピークとなり、それ以後は人口が徐々に減少する。これは避けられない事実である。現在の日本経済を維持し発展するには、女性の雇用を計り増大させる事が絶対条件となる。
設計は男性の仕事であり、女性では無理との考えは古い。ベテランが何もかも自分一人でやれば、それでも良いかもしれないが、それでは仕事量がしれている。設計の分担を考え女性のCADオペを採用すれば、作業効率は大幅にアップする。 それでは男性はどうする?男性は単なるCADオペでなく、CAD設計者として自立させること。考える仕事は男性が確かに向いている。
今は、雇用の流動化が進み正社員を採用するより、忙しい時だけに派遣社員を導入した方が余程安くすむ。特に女性のCADオペレーターを一度でも採用すれば、その生産性の高さと、便利さに驚くはずだ。
忙しくてどうしょうも無い時、一度採用を考えてみてはどうだろうか。
|
製図の知識
CAD入力には製図の知識が絶対条件である。しかしCADオペの中には、CADとワープロを同意義に捉えている人もいるが、このような人は少し複雑な図面になるだけで、もうお手上げである。
手書きのトレースと同じで、単なる入力の仕事というのは意外と少ない。寸法変更、形状変更を伴うCAD入力となり、そこには高度な製図の知識が要求される。
CADオペに設計の知識まで要求するのは無理な相談だが、図面を一目見てそれが何を意味しているのか、分かる位の知識は必要である。また、元図から入力する場合、元図が間違っていたら(以外と多い)それに気づくだけの注意深さも要求される。
これらは、実務経験を重ねることによって養われる。多くの経験を積み、ミスや失敗を指摘され、それが貴重な体験となり身に付いてくる。決して一朝一夕で身に付く物ではない。各人個人差もあるが、最低数年の実務経験を積むことにより、それが実現する。「石の上にも三年」「継続は力なり」これが肝心なことといえる。
◆図面の学習なら ⇒ 図面の楽学楽習
|
CAD設備
CADには何が必要か?
CADソフトが必要なのは当然であるが、それだけでは何も出来ない。ソフトを入れるハードが必要である。つまりパソコンのこと。これはパソコン本体、モニター、キーボードで1セット。あと必要であればプロッターと図面のチエック用にプリンター(A3レーザープリンターがお薦め)があれば十分である。
ハードは、いわゆる10万円パソコンでOK。業者に頼めば非常に高いパソコンを提案してくるが、これは免許取り立ての人が高級外車を求めるようなもので、金が有り余っている人以外にはお薦めできない。ましてや、今は2〜3ヶ月毎に新しく性能の良いパソコンが登場しており、高性能のパソコンを購入しても、1年も経てばかなり見劣りがしてしまう。それならば値段の安い、たとえ故障しても懐の痛まないパソコンを選ぶできである。
10万円パソコンは個人向きで、業務に使うのは無理では?と、思う人がいるが、これはとんでもない間違いである。現在の10万円パソコンは、一昔前の数千万円もしたオフコンに匹敵する性能を持っている。値段が安い=性能が悪い、と思うのは大間違いだ。
|
CADソフトのバージョンアップ
CADソフトのバージョンアップは頻繁に行われる。早ければ1年以内、遅くても1年半位でバージョンアップとなる。その都度バージョンアップする必要があるか?
答えはノーである。
全く必要は無い。これはソフトメーカーの戦略でありそれに踊らされてはダメだ。 バージョンアップの費用は新規購入に比べ安いとはいえ、バカにならない金額である。CADが何台もあればその金額は更に大きくなる。バージョンアップは4〜5年で良い。ツーアップまでは変えなくて、スリーアップになって検討するぐらいで十分だ。
|
三次元CADと二次元CAD
現在、大企業を中心として三次元CADがかなり普及している。特に新商品の開発などには絶大な力を発揮する。
たとえば、自動車のエンジンルームを見れば分かるが、あの狭い空間にあれだけギッシリと色々な部品を隙間なく配置してある。これを二次元の図面だけでどれだけ表現できるのか?
かなりの経験と専門知識が必要になる。部品の模型を作り立体的に判断しながら、試行錯誤して完成する。それが三次元CADなら仮想空間のモニターで判断でき、あらゆるシュミレーションが可能となる。極端に言えば試作品なしでも新車の設計ができ、時間も大幅に短縮される。最近は次から次に新車が発表されるが、これに三次元CADが一役かっているのは間違いない。
三次元CADは今後ますます普及するが、二次元CADが無くなる事はなく、絶対数においては二次元CADが大勢を占める。高性能で高価な三次元CADと、低価格で使いやすい二次元CADの使い分けとなる。
|
今後のCAD
CADは今後どのように発展するのであろうか。近い将来にはタブレットにスケッチすれば、自動的に作図されるCADが出現するであろう。そうなれば、経験豊かでCAD嫌いのベテラン設計者が大いに実力を発揮できるであろう。
さらに進歩して、考えるだけで脳波がコンピューターに連動して設計図ができあがる。・・・・となれば、ほとんどの設計者は不要となる。これはSFの世界で現実には無理であろう。しかし、技術の進歩は日進月歩であり、今以上に便利で、低価格なCADが登場するに違いない。
|
SOHO
ここ数年前からSOHO(small office home
office)と言う言葉が一般化してきた。これは個人あるいは、少人数のグループ・法人で、その特殊技術・サービスをインターネットを通じて提供するものである。最小限の経費で最大のサービスを提供することにより、急速に普及している。
たとえば、CAD入力の場合、比較的簡単な図面なら社内で高い人件費を払って進めるより、アウトソーシングした方が、格段にコストが安い。しかも、インターネットを使えば日本全国ほとんど時間差なしで話が進められる。これは革命的変革である。
通常、このような仕事の場合、当事者同士が顔を合わせて話をして仕事を進める。つまり、仕事先は比較的距離の近い所で、当然、商売範囲は限られてくる。どうしても、発注先の多い地域は有利で、少ない地域は不利である。それがインターネットの普及につれ、仕事の地域差が急速に失われている。これは、発注する方も、受注するほうも同じ事である。発注する方は少しでも安く、確実性のある業者を全国から選べる。今までの取引先にこだわることなく、全国に仕事を発注できる。当然、初めてのところは今までの取引先のように、簡単に打ち合わせが済むとは思えないが、打ち合わせ・段取り等をマニュアル化すれば問題は無い。
受注する方にすれば、インターネットは強力な武器になる。仕事の絶対量が少ない地域でも、サービス、仕事内容に独自の方法を生み出せば、簡単に全国展開できる。しかも、ほとんどコストをかけなくてできる。古い商慣習が失われ、小回りの利くSOHOはこれから益々進歩するに違いない。
SOHOは諸経費が少なくすむ分、低コストでサービスが提供できる。地域差・時間差の垣根の無くなった今、やり方・アイデア次第では大きく飛躍するチャンスといえる。
特に、CAD関連のサービス業務は、データがインターネットを通じて瞬時に送信できるので、SOHOに向いている仕事だ。近い将来には在宅勤務するCADCAD設計者・オペレーターが一般化するに違いない。
|