焼締め:南蛮6寸脚付鉢・川淵直樹

上等な形 川淵直樹さん

 一九七五年頃(ようびを開いて五年目位)だったと思うのですが、奈良の親しい友人のご紹介で御来店、作品を見せて下さったことがあったのだそうです。

 こちらからぜひにとお願いして作品を頂戴するようになってから、川淵さんが笑いながら「その時は断られましてね」とおっしゃるのです。私の方は全く覚えがなく、失礼をひたすらお詫びするしかないのでした。と同時にこれほど良い感覚をお持ちだったのに見る目のなかったことを恥ずかしく思ったことでした。今はこの上等な形の感覚に感服し、作品を頂くたびにその想いは強くなってゆきます。

 このところさまざまなテーマの個展もなさってますます御自分を磨かれ輝いていらっしゃいます。ようびも、食器や花器で川淵さんのすばらしさをお客様にご御紹介するのを大変嬉しく誇りに思っているところです。

 川淵さんは一九四六年生まれ、和光大学人文学部芸術学科を出られてしばらくは学生運動に関わったりしてブラブラしていた時(ご自分でそうおっしゃっていました)ふとしたきっかけで赤膚の窯に魅力を感じ、27才から陶芸に夢中になられたのだそうです。「絵を画く悩みよりも意味を見出せる。意味を問いつめないでも鉢は鉢、皿は皿で作っているものに無限の抽象的なたのしみがある」「誰かが何かを入れてくれることによって生きるもの、自分を空っぽに出来るそのことがうれしいのです。」とおっしゃいます。

 今72才、まだまだよいものが出来るのをたのしみにしています。

工芸店ようび 店主 真木
焼〆・川淵直樹、川淵明日香

粉引・刷毛目・川淵直樹、川淵明日香

粉引・刷毛目

川淵直樹

川淵直樹

川淵明日香

川淵明日香

焼〆・川淵直樹、川淵明日香

焼〆