菊のうつわ
日本の花と言えば、桜と菊。
菊の季節の秋は、冬の準備期間。厳しい冬への備えを促すように、吹く風が次第に冷たく感じられ、空気が凛と澄んでいきます。日の短さを実感するころは、菊の花たちが美しく咲き競うころ・・・。季節のお裾分けに、野の菊を摘んで食卓へ飾るもよし、菊を模した愛らしいうつわで秋を演出するもよし。週末は、たっぷり秋を満喫してはいかがでしょうか。
今回は、菊の形のうつわを集めてみました。
菊菜と菊の花の三杯酢とこのこ(ばちこ)の火取り
菊の花は十月末から十一月が本当の季節ですが、早くから出過ぎていて十一月になると季節外れのようです。でもやはり菊の皿など今の時節が一番美しく見えます。これは大ぶりの向付ですが、この様に底の広いものは八寸的にお使いになっても新鮮です。
箸置は私の家に古くからあった京焼の光琳菊を伏原博之さんに写していただきました。京焼のやわらかな色と渕の緑と紫が効いています。
正木春蔵氏作の清よごし手の盃、中村恵子さんの朝鮮唐津の徳利で粋にたのしみます。
工芸店ようび 店主 真木
乾山絵替菊文平向付
乾山をめざしてきめ細かい気遣いを重ねつつやっとここまで辿り着いた感があり、肩の力の抜けた気持ちのよい菊文様の向付が仕上がりました。ぐじの一塩のうす造りや焼き物一切れ、時には果物や秋のきんとん菓子といろいろに活躍することでしょう。
潤色の盆にのせてみました。お料理屋さんでは黒が尊ばれ、殆んど黒の盆が常識のようになっていますが、潤(うるみ)色はのせたものがとてもやさしげに見え、全体がやわらかな雰囲気になることを、改めてこの器をのせて感じました。
工芸店ようび 店主 真木