九谷焼:色絵〆飾文皿・須田菁華|お正月のコーディネイト

お正月のコーディネイト

 黒の方は、お銚子は錫のものに京焼の色絵宝尽くし紋の蓋、金箔を貼った朱盃はお酒を入れるときらきらと浮いてみえ楽しんでいただけるでしょう。盃台はゆり工房の盃台です。とり皿は毎年出させていただいている〆飾りの4寸皿、これ一つでお正月になるものです。膳も角切にして少し改まった気分のものにしてみました。

 少しでもいつもと違う気分を味わっていただけるように食卓をしつらえるのはたのしいものです。

工芸店ようび 店主 真木
南京赤絵蓮鷺文皿・須田菁華

 この亀甲型のお重は一見盛りにくく見えますが、少し工夫をしていただくとかえって楽しい盛り方が出来るものです。

 山本哲さんに俵屋宗達風の群鶴図を「箔」で画いていただいて「鶴亀」となりますが、内側が朱のせいもあって仲々に華やかなものとなりました。本体は藤井収さんの一閑張、軽くて丈夫で、およろこびいただけること間違いなしです。

 取り皿は干支にちなんで鳥文です。これくらいの大きさ(5寸)のお皿は、おせちの口取を何種か盛り付けてお手元までつなぐ良い大きさです。

 お銚子は蓋を扇面ちらしにして、おめでたさを感じていただく「しつらい」です。

工芸店ようび 店主 真木
九谷焼:南京赤絵蓮鷺文皿・須田菁華

 須田菁華さん作の定番のお皿、「蓮鷺文」とありますのでお祝いの時には「?」と思われるキライがありますが、そもそも蓮の花の咲いている極楽とはすばらしいところ、一番めでたきところであるわけで、中国では昔からお祝いの文様だったのです。鷺の遊ぶ極楽、美しく華やかでめでたい文様です。

 皆朱のお重に丸紋を装飾した二段重を合わせてみましたら、極上の華やかさになりました。黒に丸紋はお月様に見え、朱に丸紋は太陽に見えています。お重箱の中の小宇宙、「うん、うん」と思っていただけるかなと思います。

 今年の古川さんの干支の箸置はことの外可愛くできました。いつもは何度かお直しをお願いすることが多いのですが、今年はお見本の一回目でOKでした。皆様にご紹介出来て幸せです。お幸せという卵をたくさん産んでくれますようよく言いきかせておきます。

工芸店ようび 店主 真木
染付扇面向付・晋六

 十一月の声を聞くと「新年の準備をしないと」と思う季節です。

 年々お節会をお作りになる方が減っているとききますが、やはりお雑煮はその家々の習慣(伝統)なのでお作りになることでしょう。お餅の量もあまり大きなものは敬遠されるらしいので、従来の雑煮椀より少し小さくてお吸物椀として用いる大きさのものに、金箔の太・細の線を入れて華やかにしてみました。色は黒と朱がございます。

 お正月らしい取り皿をあしらって、お重詰を取り分けたのしんでいただければと組んでみました。

 朱の方は酒器を徳利にして、富貴を表わす牡丹紋です(正木春蔵作)。盃は中川清司(人間国宝)さんのぐい呑です。向付はお正月らしい扇面で、辻勘之氏が辻留さんのために作られたものと聞いています。染付だけの単純な文様ながら祝賀の気分が出ていて、何かいいものを盛りたいと思わせられます。すばらしい盛り心地をたのしんでいただける向付です。

工芸店ようび 店主 真木
京焼・不二形向付・伏原博之

 京焼の古い富士山の形をしたお皿の写しを作ろうと、三年前から伏原さんにお願いして作っていただいておりましたが、何とかこの度、形になって出来上がりました。  先日、富士山を背に「羽衣」という能を見てきましたが、何とも神秘にみちた美しい形をした山だと改めて見入りました。西側から見る富士は夕刻、夕日に映えて赤富士となり雲の中に消えて行きました。一瞬の夢のようなひとときでした。おシテが突然、型にない(定まった動きでない)仕草で富士に向って南無帰命月天子。本地大勢至。と思いがけず手を合わせられ、一同大変感激いたしました。それほど富士とは神々しいお山です。そんな感覚まで写しとることも、使う方に感じていただくことも難しいのですが、松が少しは色を添えているのかと思っています。

 お椀は「松葉図黒糸目椀」、松が画かれていると感覚的にお祝いに用いるものとなり、お正月にふさわしい椀です。一方で、寒くなってくると苔を保護するために敷松葉をするのですが、一面に敷かれた松葉は薄茶色、晩秋の風情がただよいます。茶席に至る露地にほどこされていると、ああ今年も終わりかの感慨があります。その風景を文様にした椀、贅沢なものでございます。

 これは江戸(幕末位)の文様で、これほど繊細な文様は、椀を開けた瞬間ほほうと思わせ豊かな気分にさせてくれます。季節を問わずそんな効果はあるものです。

工芸店ようび 店主 真木