今年はまだまだ寒波が来るとは言いながら、大寒を過ぎ、節分、立春と春の言葉が聞ける頃になってきました。寒い寒いといいつつも少しずつ春に近付いてくる気配が何ともうれしい大好きな季節です。
そんなこんなことを感じながら稲荷寿司をつくります。節分、立春、初午と日が近いせいでこのあたりが一緒になって季節感となっていくようですが、この季節はぬたを作る分葱も葱も一年で一番おいしい季節です。温かな白みその味噌汁(白みそだけでなく袱紗味噌にしてもよい)や粕汁なども合わせるとよろしいでしょう。
この藤塚光男さんの八方文は四方と四偶(東・西・南・北・北東・北西・南東・南西の八つの方向)を表した文様です。転じてあらゆる方面という意味に使われています。節分の頃にこの皿を選びましたのは、恵方に向って幸運や除魔を祈るという風習がございますこともあって、方位を意識したものにしてみました。絵馬形の小皿も八方皿も染付で被ってしまいますが、一方は直線文、一方は曲線(唐草文)なので同空間でも許せるのではないかと思います。
この椀は装飾が線文で控えめながら中々に効果的なお使いやすい椀です。兄の野田行作が辻留さんのお好みで造った形を踏襲しています。箸置は鱗文で、魔除けを意識してみました。