白磁(天草陶石):白瓷飯碗・大・海老ヶ瀬保

ようびの白 - 白磁・青白磁・青磁

和食器の「白い食器」には、粉引・染付などありますが、今回は、上絵を施さず、白(〜青)そのものの美しさを愉しむ「白磁」「青白磁」(「青磁」)をご紹介します。

今、白い食器が人気ですね。
色鮮やかな野菜や、美しく盛り付けられた料理を受けとめるキャンバスだからでしょうか。
シンプルな洋食器が好まれているようです。

今回ご紹介する和食器の白い食器は、盛り付けの美しさを際立たせる脇役的役割もありますが、 それ以上に、装飾や造形抜きで、器が放つ色だけで私たちの目を愉しませてくれます。

たとえば、白磁は、跳ね返すような白ではなく、空に浮かぶ雲のような優しい白です。
青白磁は、雲が浮かぶ爽やかな空に形容されます。
白磁も青白磁も、自然にとけ込む、透明感のある色調が特徴と言えるでしょう。

さて、白磁と青白磁の違いを少し・・。
白い素地(磁土)に透明の釉薬をかけ、高温で焼き上げたものが、白磁。
透明の釉薬が少量ですが鉄分を含み、かつ、還元焼成(酸素を奪って焼くこと)されることによって、青白磁が生まれます

簡単に書けばそういうことなのですが、自然の釉薬では、鉄分の量が不安定であり、還元焼成の程度、また、釉薬をかける厚みなどなどで、その「青味」は違ってきます。
また、白磁と命名されても、釉薬が厚くかかった部分は、青みがかかっていたり、青白磁も、口造は、釉薬をたっぷりかけられないので、白くなっていたり、単調な色彩では決してありません。
さらに、釉薬の鉄分ばかりでなく、素地(磁土)の鉄分の量などでも様々な色調を生み出します。

作家さんのイメージする「白」「青」にすることがどれほど大変か、おわかりいただけるでしょうか。

工芸店ようび 店主 真木
 白磁・白瓷

白磁・白瓷

青白磁・青白瓷

青白磁・青白瓷

青磁・青瓷

青磁・青瓷

白磁
青白磁
青磁
あまから手帖
海老ヶ瀬保さんに受け継がれている故舛田楞さんのうつわたち。故舛田楞さんについては、ぜひこちらの追悼企画をご一読下さいませ。
2002年1月号
たぶん、日本一の店

白の足跡
関西の料理人が愛した陶芸家
舛田楞さんを偲ぶ

撮影/吉田秀司
文/門上武司