ダブル裾上げの注意事項
誤解されておられる方も多いのですが、ダブル本来の目的は「折り返し部分の重量でスラックスを下に軽く引っ張ってラインとシルエットを美しく見せること」で、裾をもう一度伸ばすためのものではございません。
(シングル仕上げの内側の長い折り返しも目的は同じです)
従って、折り返しをまっすぐ伸ばせば股下が3.5cm前後伸びたシングルとして着用していただくことは可能ですが、折り返し部分が軽くなるため見た目や履き心地は最初からその長さに仕立てたシングルには劣ります。

また、折り返し部分の重量は重過ぎても軽すぎても履き心地が悪くなってしまいます。一部地域でみられます特殊ダブル仕上げなどは股下を長く伸ばすことができる反面、下の写真のように多重の折り返しが分厚く・重すぎるため見た目のスマートさ・シャープさは失われ、履き心地も通常のシングルやダブル仕上げに劣ります。(街の仕立て屋さんが特殊ダブル仕上げを通常行わない理由の一つです)



特殊ダブル仕上げ(左)と通常のダブル仕上げ(右)の比較。
見た目のスマートさの違いは、履き心地にも明確な差となって現れてまいります。

ダブル仕上げで内側への折り返しを極端に長く取ることを希望される方もおられますが、これも特殊ダブル仕上げと同じように実用上のデメリットが生じます。

本当の意味でのお客様にとっての”メリット”とは?

年齢ごとの平均身長と体重(文部科学省平成27年度学校保健統計調査より)
年齢 平均身長 伸び 平均体重 増加
小学校 11 145.2cm 38.2kg
中学校 12 152.6cm 12.5cm 43.9kg 10.0kg
13 159.6cm 48.8kg
14 165.1cm 53.9kg
高等学校 15 168.3cm 2.4cm 59.0kg 3.5kg
16 169.8cm 60.6kg
17 170.7cm 62.5kg

中学校の3年間でのご成長の平均値は表の通りですが、ウエストは平均9cm強、股下は約7cm大きくなります
(統計値としては発表されておりません)学生ズボンは裾を伸ばせてもウエストを伸ばすことはできないため、ウエストがきつくなった時には結局買い替えが出費を考慮してもベストな対応になります。
少しでも長い間同じズボンを使用したいというお気持ちはよくわかりますが、そのために最初から裾を極端に長く伸ばせるようにしておくことはズボンの動きやすさ、着用感の大幅な低下を招くため現実的ではありません。
(とはいえ無理なくできるだけ長期間ご着用いただけるよう、当店では股下の採寸方法をほぼ限界いっぱいの長さとなる測定法でご案内しております)

逆に、中学の入学時に裾を大幅に伸ばせるように余裕を見越した上で適正ウエストより10cmほど大きなズボンをお選びいただければ1本の学生ズボンを3年間使用することは理屈の上では可能ですが、ご自分で着用されることを想像されればお分かりの通り、実際に着用されるお子様のことを考えると到底お勧めできかねます。
また、学生ズボンは使用しているうちにどうしても裾の部分が擦れて痛んできて、生地が薄くなって参ります(使い方によっては穴が開く場合もございます)。 

これは裾を長くとる限りどんな丈夫な生地を使用してもある程度発生するのですが、(一般的にポリエステル100%の学生服はもっとも丈夫なため裾の擦れはおきにくく、ウール混紡率が高い程発生しやすくなります)いずれにせよ裾伸ばしが必要になるまで着用された頃にはある程度の裾の痛みは避けられず、そこで裾を伸ばすと痛んで白く線になったり穴が開いた部分が表に出てきてしまうため、当店では「学生ズボンは3年間使えます」「丈直し6年間保証」といった類の宣伝は耳に心地良いものですが非現実的と考え、そのような宣伝は行っておりません。

当店は【着心地】【はきやすさ】【スマートな仕上がり】といった日常的な使用でのお客さまへのメリットを第一に考え、ダブル裾上げ加工は学生服の正統な仕立て方法通りに内側への折り返し部分を必要以上に長くとらない仕上げとしておりますので、ご理解の上、お買い求めいただきますようお願い申し上げます。



 
サイズの測り方は以下のようになります。(ヌード寸法または薄い衣服を着用した状態で測定してください)
総丈: 衿付け根から踵までの長さ。中学生の場合、身長から20~23cmくらい引いた数値が標準です。
着丈: 衿付け根中央から後身頃の裾中央までの長さ。総丈の半分プラスマイナス1~2cmが標準です。
首回り: 首の付け根よりやや上から、のどぼとけのすぐ下で測ります。カッターシャツの襟サイズは実寸+2cm以上の余裕をみてください。(ゆったりめなら+3cm以上) 学生服のカラーサイズはシャツを着用した状態で多少の余裕をみた長さですので、参考程度にお考えください。
肩幅: 首付け根の骨が出ている部分から肩上の骨が出ている部分(肩先点)までの長さを2倍します。
袖丈: 自然に腕を下ろした状態で肩先点から肘の骨外側の出っ張りを通り、小指側の手首の骨が出ている部分までの長さを測ります。製品の出来上がりは袖山の肩先から袖口端中央までの長さです。
胸囲: 乳頭を通るところでメジャーを水平に一周させ、腕を下ろして測ります。
ウエスト: 直立して腕を下ろし、力を抜いた状態で胴体の一番細い部分をメジャーを水平に一周させて測ります。
標準型学生ズボンはこの位置でウエストを測定することを前提に形と寸法が決められております
ので、腰ばき等される方はご注意ください。
ヒップ: 尻周りの一番大きいところの位置でメジャーを水平に一周させて測ります。
※正面から見て一番張っている部分ではありませんのでご注意ください。
ワタリ幅: ズボンを横に置いた状態で尻ぐり下端の前後センターライン(折り目)間の長さです。
股下: 内股合わせの縫い目が十字に交差する箇所から内股縫い目に沿って裾まで測ります。
ワタリを測る股ぐりの一番下の部分から裾までの最短距離ではございません。ご注意ください。
※ズボンの股上は製品・サイズにより異なるため、総丈寸法でのズボンのお直しは承っておりません。
股上: ズボンを横に置いた状態で内股合わせの縫い目から帯部上部までの最短の長さです。
学生ズボンの股上は平置きして正面から測る前股上ではございません。ご注意ください。
裾幅: ズボン裾位置の前後センターライン間の長さです。20~24cmが標準です。