低体温・生理不順・更年期障害と栄養のお話
低体温を軽くみてはいけません!
 人の体は、低体温(36℃未満)になると新陳代謝が低くなり、様々な症状を起こします。
 例えば、肌の細胞の入れ替わりが遅くなるため、肌あれやくすみを起こしたり、太りやすくなっ
たりします。また、免疫力が低下するため、風邪にかかりやすくなったり、ガンになりやすい体質
になったりします。さらに自律神経失調症、生理不順を招く事もあり、低体温のまま更年期に入る
と、更年期障害は重くなります。

体 温
身体の状態
新陳代謝
36.6℃
健康な人の
基礎体温
身体細胞の新陳代謝が活発で、健康で活動的、免疫力も高く、
ほとんど病気もしない状態を保つ。
100%
35.5℃
低体温
新陳代謝は不活発で免疫力・排泄機能は低下。
生理不順・自律神経失調症の傾向にある。
遺伝子の誤作動が多くガン体質といえる。ガンは35℃を好む。
50〜60%
 
では、体温を正常に保つにはどうしたらいいのでしょうか。

●食物から体温を作り出す大切な栄養素、ミネラル・ビタミン!!
 〜体温は、どのように生じるのでしょうか?〜
 私たちは、ご飯やパンなどを食べて、その食物の中の糖質からエネルギー・熱源を作り出し、
体温を保っています。
 私たちが食べた糖質は、消化され小腸から血液中にブドウ糖として吸収されます。
ついで、細胞内に取り込まれたブドウ糖は、いろいろな酵素の働きでATPというエネルギー物質
に変化市、エネルギー・熱源となります。
 ブドウ糖をATPに変化させるには、亜鉛・セレン・鉄・マグネシウムまたビタミンB1・B2など
が必要です。
 もし、これらの栄養素がひとつでも不足すると、食物からエネルギー・熱源を作り出す酵
素やホルモンの働きが低下し、体温を正常に保ちにくくなり低体温の傾向になってきます。

  現代人の食生活は、タンパク質・脂肪・糖質(三大栄養素)などは十分すぎるほどとっている
にもかかわらず、ミネラル(亜鉛・セレン・鉄・カルシウムなど)、ビタミンB群などの栄養素は
慢性的な不足傾向にあると言われています。
 バランスのよい食事で、ミネラル・ビタミンをしっかりと摂取し、糖質、脂質からエネルギー・
熱源を作り出して、正常な体温を保ち、元気にすごしたいものです。

          図1

すこやかな生理のために
食生活の乱れや無理なダイエットが、生理不順(月経異常)を引き起こすことは知られています。
では、生理不順はどのように生じ、生理を正常に保つにはどうしたらよいのでしょうか。

生理不順とは
 生理(月経)は、女性の体に周期的に起こる子宮内膜からの生理的な出血のことです。
月経のシステムは、脳の視床下部や脳下垂体、また卵巣や子宮、そして性ホルモンの連携プレーに
よって起こります。
 平均的月経周期は28日前後ですが、この連携プレーが一つでも欠け、女性ホルモンのバランスが
乱れると、月経周期が早くなったり遅くなったり不規則になり、この状態を生理不順といいます。

亜鉛・セレンなどのミネラル不足は女性ホルモンの分泌を低下させ、
生理不順をを引き起こす!

 必須微量ミネラルの亜鉛・セレン・銅は、女性の生殖生理作用において重要な働きをしています。
これらの必須ミネラルが不足すると、女性ホルモンのバランスは乱れ、生理痛・生理不順が生じや
すくなることが近年学会で発表されました。

 特に、亜鉛が不足すると、脳下垂体で作られる性ホルモンの分泌量が低下し、卵巣の成長
不良が生じます。すると細胞の発育に時間がかかるため排卵が遅れたり、卵子の排卵がない
「見せかけの月経」(無排卵性)を生じたりします。
 女性ホルモンは、子宮内膜を作り保つ働きをしますが、亜鉛が不足すると女性ホルモンの
分泌量が減少し、子宮内膜は早くはがれ落ちて出血を起こし、生理不順を生じます。

 15才以上の現代女性の亜鉛の必須量は1日10mgですが、平均摂取量は7.8mgと不足傾向にあり
ます。(平成14年度国民栄養調査)

 そしてさらに食生活の乱れや無理なダイエットをすると、一層の亜鉛不足となり、生理不順を引
き起こすのです。
 セレンが不足すると、不妊症・月経周期の乱れ・胎盤の分泌閉止・流産を引き起こし、銅欠乏で
は、貧血・低体温を生じることが報告されています。(Experientia,1994、J.Nutrution,1996)

 また、無理なダイエットすると、女性ホルモンのもととなるコレステロールの摂取量が減り、女
性ホルモンの分泌が低下し、月経が止まったり、月経周期が長くなったりします。
(「NHKきょうの健康」1994)

 つまり、女性の体にとって重要な、亜鉛・セレンなどの必須ミネラルをしっかり摂取する
ことが、生理を正常に保つポイントとなります。栄養のバランスのとれた規則正しい食生活
で、妊娠出産のための大切なシステムを正常に機能させましょう。

図2
●月経のメカニズム
図2のように、月経は性ホルモンの連携プレーによって生じます。

1. 脳の一部である視床下部、脳下垂体から分泌される性ホルモン
(卵胞刺激ホルモン)によって卵胞が成熟します。
2. 成熟卵胞から女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が増加します。
3. 次に、エストロゲンに刺激された脳下垂体から分泌される性ホル
 モン(黄体化ホルモン)の刺激によって卵胞から排卵が行われ、
4. ついで、卵子が受精しなければ、不要となった子宮内膜がはがれ、
  血液とともに排出されます。これが月経です。

●生理不順は、女性ホルモン(エストロゲン、黄体ホルモン)
 の分泌低下から生じます。

卵胞から分泌されるエストロゲンが不足すると、排卵が遅れ月経は
遅くなります。また黄体ホルモンの分泌量が低下すると、子宮内膜
が正常より早くはがれて、月経が早くなります。


さわやかな更年期を!
更年期障害とは
 更年期では、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、その働きが
低下します。すると性ホルモンのバランスが崩れ、更年期障害と呼ばれるいろいろな症状
が出ます。
年齢的には、個人差はありますが40歳から55歳ごろに表れる現象です。
 更年期障害の症状としては、「顔のほてり(ホットフラッシュ)」、「動悸」といった「自律神経
失調症」と、「不安」、「憂うつ」、「イライラ」などの「精神・神経症」の二つに大きく分けられ
ます。

更年期障害の重い方はミネラル・ビタミン不足にご注意下さい。
 食生活の乱れ、ストレスの多い生活をすると更年期障害が重くなると言われています。
 また、近年学会で、亜鉛・セレン・銅・カルシウムなどのミネラル類、ビタミンB群、
ビタミンEなどの微量栄養素が不足すると更年期障害が重くなること
が指摘されています。
ミネラル・ビタミンが不足するとどうして更年期が重くなるか、その原因について少しお話します。
(Experientia,1994、J.Nutrution,1996)

1)活性酸素の多量発生は更年期障害を重くします。(図3)
  〜亜鉛・セレンなどは活性酸素を除去する!〜
 女性ホルモン(エストロゲン)には活性酸素を除去する強い作用(抗酸化作用)が
あります。
ところが、更年期ではエストロゲンの分泌量が低下するため活性酸素は、充分に
処理されにくくなります。
 また、年齢がすすむと、脳において活性酸素を処理する酵素(SOD,GPXなど)の働きは低下し、
活性酸素は充分に処理されにくくなります。(Nolecular Pharmacology,1997、Phamacol Res,1999)

 つまり、更年期に入ると 1.エストロゲンの分泌量低下 と 2.活性酸素を処理する酵素の
働きの低下
によって活性酸素の処理能力が低下するため、多くの活性酸素が発生します。
 この過剰な活性酸素は、脳の細胞を傷つけ、視床下部、脳下垂体におけるホルモン分泌などの機能
を低下させます。(厚生省S2001)
つまり、過剰な活性酸素は性ホルモンのバランスを乱し、更年期障害を重くします。

 更年期障害を緩和するためには、亜鉛・セレンなどの必須微量ミネラルを積極的に摂取することも
大切になります。
 ところが残念なことに、亜鉛・セレンなどの必須ミネラルは、摂取不足の傾向にあります。
亜鉛・セレンなどの必須ミネラルを積極的に摂取し、活性酸素を速やかに処理して、更年期を
さわやかに過ごしたいものです。

一口メモ
〜精神的ストレスは活性酸素を増やし、更年期障害を重くします〜
 心と身体にストレスがかかると、免疫細胞の顆粒球が増加し、顆粒球は活性酸素を増やします。
この活性酸素が、視床下部、脳下垂体、自律神経の機能を乱し、更年期障害を重くする傾向にあります。

図3




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