EPISODE 3 --- ワインラベルレコーダー(保存ファイル) (99/12/15)
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今回で、バイヤーズアイも早いもので3回目を迎えました。
前2回と打って変わって、今回はワインのレコーダー(ラベル剥がし)について書きたいと思います。

読者の中には、ワインレコーダーを使われたことがある方も多いのでは(すでに長年愛用されているヘビーユーザーも)と思います。
 しかしこのワインレコーダー、何年か前はまったくのレアもの、いわゆるオタク商品の典型で、ワインを趣味にされている熱烈な愛好家か、超高級レストラン&ホテル でのご使用に限られていました。
(理由のひとつとして値段1枚小売で100円も関連していると思います)
じゃそれ以外の方はどうやってラベルを剥がしていたのかというとボトルごと水につけ、ふやかしてから剥がすやり方が一般的だったようです。
 ところが、ここ数年のワインブームでこのラベルレコーダーいっきに花開き、販売ペースもうなぎのぼり!現在は、従来の酒屋さんや百貨店のお酒売り場のみならず本屋さん、文房具屋さんでも売られています。それに伴い価格も若干ですが、下がり1枚80円弱(12枚で1000円)と現在なっています。

まえがきが長くなりましたが、このラベルレコーダー選びのポイント はズバリ
「糊=のり」です。
開発当初、正直このラベルレコーダーは発売はしたものの比較的クレーム、典型的なものに「ラベルがはがれない」が多く、その対応にてんやわんやしたことがあります。
製品版のサイズにカットする前の試験版の巨大なシートを「のりの固さ」ごとに何種類もクレームのレストランに持参、その場でカットしてどの固さが最適なのか実験したこともたびたびでした。。
 もちろん、この「のり」特殊な浸透率のものを使い、かつ最適な固さに調合してあります。簡単にいうとこのレコーダーはワインラベルが何層もの紙の層でできていることを利用しており、のりがその表面側の何層かに浸透していくことでラベルを剥がしとるものです。
 ですからのりが固すぎると紙に浸透しきれないため、ラベルがはがれず、逆にやらかすぎると、のりがシートからはみ出しそこに汚れが付着する等のクレームになってしまいます。というわけで製造の過程では、若干ですが、夏は固め、冬は逆にやわらかめにのりを仕上げているのです。
 それに、透明シートを元の台紙に張り戻す必要があるため、台紙のカラーも重要です。以前はWAC取り扱いの台紙もうすいブルーだったのですが、それではワインラベルのカラーでもっとも多い白色のラベルが薄く剥がれた場合、どうしても台紙の色が表面に透けてしまいます。というわけで、WACでは、現在うすいパールホワイトカラーのWINEXラベルレコーダーを採用しています。
これだと、たとえ白色ラベルが運悪くうすく剥がれて、台紙に戻しても他色ほど 目立ちません。それにWINEX社製は、張り戻す際の「マチ」がとってあり、台紙よりのりのついたシートがわずかに小さいのでぴったり張り戻すのによけいな神経を使わずにすみます。
その上、レコーダー専用サイズのバインダ−もあり、ラベルレコーダー自体にバインダー用穴が最初から開いているのも「みそ」です。

余談でですが、WACのホームページをみて海外からの質問や問い合わせがもっとも多いのは、このラベルレコーダーなのです。いままでにフランスをはじめ、US、香港、台湾、シンガポール、韓国、ドイツ、イギリスから輸出できないか?とのありがたい?お問い合わせがありました。

なんか今回は、宣伝っぽくなってしまってすみません。
でもまだラベルレコーダーを使ったことのない方はぜひ一度試されることをお勧めします。まるで「魔法」みたいにきれいに剥がれますよ!


 
  EPISODE 2 --- ソムリエナイフの刃先(スクリュー)第2弾 (99/11/15)
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前回は、主にソムリエナイフの命であるスクリューの「硬度」について書かせていただきました。今回は、スクリューのその他の重要な要素について書いていきたいと思います。
(あ〜またオタッキーな話しになってしまう?)
「硬度」のほかにスクリューの重要な要素とは
●スクリューの螺旋(らせん)部分の巻きの数 ●巻きのピッチ(間隔)
●先端部分のするどさ ●先端部分の終点位置
●スクリューそれ自体の太さ ●仕上げの加工
●ミゾ加工があるか否か  
などがあります。

 螺旋部分の数は以前、ヘンケルやドライザックに代表されるようにドイツゾーリンゲン製が全盛の頃は、4巻きスクリューのソムリエナイフが主流でした。が、今では市場でもっとも流通していると思われるイタリア製、スペイン製、フランス製のどれもが5巻きスクリューを採用しています。
WACが取り扱っているアイテムでも4巻きスクリューのソムリエナイフはドライザックの最高級バージョン1種のみです。巻きの数に関連して、巻きのピッチ(間隔)は以前より狭く、スクリューそれ自体の太さは若干ですが細くなっているといえます。

 これは、あくまでも私の私見ですが、グランヴァン等のロングコルクを抜きやすくする工夫では?と考えます。フック部分とのバランス、スクリューが柄(ボディ部分)に付いている位置にもよるのですが、長い5巻きの螺旋を持つスクリューの方が、コルクを引き上げる率が大きく、さらに若干でも細いほうがスクリューインする時の抵抗が少ないといえます。
 ここでついでにスクリューがコルクに入るときの「抵抗」について書くと、スクリュー部分にミゾがきってある方が、抵抗が少なく、また黒くスクリューにテフロン加工しているのも錆止めの効果と同様、ミゾ加工と同じく抵抗減に役立っていると言えます。

 ピッチ(間隔)の点でいえば、間隔が狭いほど、コルクにスクリューインするとき堅く、抵抗を感じます。逆にコルクを引き抜く時は、コルクにしっかり食い込んでいる分軽く感じるのです。

 最後は、スクリューの先端部分についてです。
先端が、尖がっている方が、ポイントしやすく、コルクにスムーズに入っていくのは、誰でもわかると思います。問題は、先端の終点位置です。右図のように正面からみて終点位置が内径にそってピタッとおさまっているのが、ノーマルであり、安物のソムリエナイフでは、外側に終点がきているものがあります。これだとコルクにうまく食い込んでいかず、内部でコルクを破壊しながら食い込んでいくので、いくら最初にうまくポイントできてもきれいには抜けず、コルクがボロボロになることさえあります。

 100円ショップなどで扱われる中国製のソムリエナイフのスクリューは、硬度のみならず、終点の位置、はたまたスクリュー螺旋の直径さえバラバラの粗悪品が目立ちます。
購入される際は、くれぐれもスクリューをよく観察して下さい。

以上またまた「オタク」的なことを書いてしまいましたが、プロのソムリエにとって武士の刀とも言えるソムリエナイフもスクリューの出来如何では、切れ味鋭い「名刀」にもなれば見せかけだけで、まったく役立たずの「竹みつ」にもなってしまうのです。

みなさんも、お店にいって一度スクリューをじっくりながめてみればいかがでしょう?
そしてできれば、実際に使ってみるのが、自分に最適の「マイソムリエナイフ」を見つける一番の方法なのです。(これまたワインと一緒!ですね)


 
  EPISODE 1 --- ソムリエナイフの刃先(スクリュー) (99/10/15)
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 昨今のワインブームの中、ソムリエナイフを使われた経験のある読者の方も多いと思います。
でもそのナイフの”命”であるスクリューについて調べたことの有る方はそんなに多くないのでは?
ということで初回はソムリエナイフの刃先(スクリュー)についてお知らせしたいと 思います。
 現在WACで販売しているソムリエナイフは、日本製、フランス製、ドイツ製、イ タリア製、スペイン製の5ヶ国から構成されており各々の国の特徴がナイフそれとスクリューにも存在します。まるでワインのそれのように・・・。

 私見ですが、我が国Made in Japanのスクリューは正直、Quality(品 質)という点で他の4ヶ国には、かないません。なぜなら良いスクリューの定義を、コルクにスムーズに入りやすく、プロフェショナルのハードな使用環境にも伸びたり、曲がったり、折れたりしないとするなら欧州産のスクリューに比較して柔らかく、ということは伸びやすい、曲がりやすいという事になります。

 その理由は、刃先を作る工程中の焼付けそして焼戻しと俗にいわれる部分に秘密があるようです。「焼付け」とは、ただのスチール(鉄)もしくはステンレス鋼を硬くするために数千度の高温で焼く作業を言います。でもそれだけでは硬いだけで逆に折れやすい性質になってしまうため一度ゆっくり冷却したあともう一度、低温(といってもかなりの高温ですが)で焼付けるのです。これが「焼戻し」です。 それにより硬いだけでなく「しなやかさ」を併せ持つ性質のスクリューに変質するの です。

この工程はヨーロッパでも社外秘となっておりドイツのヘンケル社では「サブゼロ処 理」と呼んでいるのですが、一度工場見学をした折も詳しくは見せてもらえませんでした。
その後、スイスのヴィクトリノックス社やイタリアのマニアーゴ、フランスは オーヴェルヌ地方にあるティエールとヨーロッパのコルク抜き修行を経験できたので すがどこも作業工程の真髄は見せてくれませんでした。

 残念ですが、日本では1社を除いてこの「硬度」の点で欧州産と比較して劣るよう です。
「しなやかさ」は充分なのですが・・・・・。

他の国はというと、ドイツは逆に「しなやかさ」よりかなり「硬度」の方にふってお り曲がったり伸びたりより「折れる」傾向にあります。でもそれはコルクが堅いからと、こじったり変な角度で力を加えた場合のみです。大事にそして正当な使用方法ではほとんど半永久的に使えるほどの最高品質を誇ると言えます。

イタリアのスクリューは、かなりドイツに近い性質をもち近年においては、人件費コ ストの問題等でドイツゾーリンゲンの有名企業も下請けはイタリアの小さな会社ということが一般的なようです。

残りの2ヶ国フランスとスペインは国境を接することもあり頻繁にパーツのOEM供 給をやりあう間柄です。両国製スクリューは、現在のレベルでもっとも価格、品質の点でバランスがとれていると言えます。品質のをはかる上での基準2ポイント「硬度」そして「しなやかさ」のバランスということでは、工業大国ドイツ製をもしのぐ実力をもっています。

WAC取扱いソムリエナイフ数10種に中でも人気の高いフランスは、SCIP社のラギオール&PCとスペインのプルタップスの2種は、かなりの本数が消費されるのですがそれに反比例してクレーム率は驚異的に低いそれでいて価格もリーズナブルな真の「良品」であると断言できます。

 最後に、最近100円ショップにも出現している中国製ソムリエナイフ&コルク抜き は、品質の点で劣悪としか言えない粗悪品が多く中には、太い針金(生鉄=なまてつ)とほとんど変わらない商品も存在します。ご購入の時には充分ご注意下さい。(ボディ部分はOKの商品もあるのですがいかんせんスクリューが×なのです)

長々と「オタク」的なことを書いてしまいましたが、次回はこのスクリュー編 第2 弾をお楽しみ?
いただきたいと思います。 乞うご期待!




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