生地をいたわるように・・・
小麦粉と塩と水。
作業場では、何機ものストーブが焚かれ、その上には大きなヤカンが乗せられています。
その口からはシューシューと蒸気があがり、部屋全体の湿度を高めています。
それは、乾燥によるダメージからうどんの生地を守るためであり、麺の命であるコシやツヤを保つ為でもあります。
まるで絵を描くように・・・
小麦粉と塩と水。
最初に延ばされた生地を樽の中に大切に巻きとっていきます。
熟練した指先は、生地を痛める事無く蜷局状に美しい模様を描いて行きます。
ゆっくりと静かに眠らせ・・・
何度か延ばされた生地は次第に麺らしく細くなっていきます。
伸ばす事で手延べうどん特有のコシが生まれるのです。
ここで熟成させる為に、生地をしばらく眠らせます。
外では、やっと空が白み始めてきました。
機を織るようなしなやかさ・・・
計算された滑車の順路を縫うように生地は流れていきます。
職人の動きには寸分の迷いも無駄も無く、まるで生き物のように延びていく生地を操るように巻き棒へと誘います。
更に細く、更に伸びやかに・・・
微妙な力加減やスピードを調整しながら更に細く、更にしなやかに生地は麺になっていきます。
この土地で育まれた先人からの伝承と、引き継いだ者の切磋琢磨が可能とした巧みなまでの技は、数秒、数ミリの妥協も許さず、
その日の天候や温度、湿度を経験値で計り、微妙なまでの調整をおこなっているのです。
風を孕み、風に揺られ・・・
そのあとも、目指す細さにたどり着くまで幾度も手延ばしされた麺は、高々と暖簾のように干されます。
天井には何機ものプロペラが回り、空気の循環をおこない乾燥を促します。
リズム良くさばく指・・・
乾燥する前に、麺と麺がくっつかないように長箸で1本、1本さばいてきます。
気の遠くなるような作業ですが、品質の良い手延べうどんを作る上で欠かせない作業であり、熟練した職人の美しいまでの指さばきが要となる
作業でもあります。
手延べ・桃太郎うどん誕生!
こうして匠の工房で生まれたのが『手延べ・桃太郎うどん』です。
一塊の生地を延ばしに延ばして作られるうどんは、刃物で切り分けるうどんとは違い、特有のしなやかさと、素晴らしいのど越しが自慢です。
温かいかけうどんや、冷たいざるうどんとして頂く事はもちろんですが、その食感を活かしてパスタや炒め物のメイン食材としても
ご活用頂ける使い勝手の良い麺となっています。
その美味しさをご存知の方も、まだ知らないと言われる方も、ぜひ「手延べ・桃太郎うどん』をご賞味ください。
きっと伝統に育まれた鴨方手延べうどんの素晴らしさをご体感頂けると信じております。
鳥越氏一家と麺匠かもがた本舗代表(向かって右)。 麺匠かもがた本舗代表 虫明 純一郎 |
|