突撃インタビュー
2005年6月17日 アルドイノ Mr.カルロ イズナルディ氏 インタビュー
アルドイノのオリーブオイルといえば一流レストランで、シェフが指名して使う名高いオリーブオイルとして有名でしたが、今回、まさか、ここまでの完璧ともいえる、オリーブオイル作りをしているとは予想だにしておりませんでした。
アッピ:「この度は貴重なお時間を頂戴しまして大変ありがとうございます。今日は、大好きなオリーブオイル。しかも、あのアルドイノを作られていると聞いてで楽しみにしてきました。いろいろ教えてくださいね。」

MR.イズナルディ:「では、最初に、リグリーリアのことから説明したいと思います。アルドイノのオリーブオイルは、フランスとイタリアの国境近く、モナコからイタリア側に50kmに位置するインペリアという地域で作られています。

リグーリアといえば、北にアルプス、南に海を控えた海沿いの州で、オリーブ作りに最適といわれる気候条件が整っている地域。ベネディクト修道会の僧侶がオリーブの苗を持ち込んで植えたと言われ、古くは1300年代に、その起源を見つけることが出来ます。

リグーリアは平地が少なく、起伏にとんだ岡だらけの土地。それまでは漁師が住んでいるだけのような土地でした。が、オリーブ栽培が始まってから、その起伏にとんだ岡の斜面に石積みで段々畑を作ってオリーブの苗を植えていきました。こんな風に石を積んで、その上に、次の段の畑を作るという具合です」

アッピ:
「まるで、お城の城郭みたいですね。石積みをすること自体が大変な作業だったのでは?」
 
MR.イズナルディ:「そうなんです。この段々畑を作るのに何百年とかかっています。これは、ピラミッドを作った労力に匹敵するといわれているんですね。また、見てください。そんな昔の畑ですから、道幅は、ロバと人間がやっと通れる位。いまだに私たちは、ロバを使ってオリーブの実を運び出しています。」

アッピ:「え〜〜??ロバですか?信じられないですね。ものすごいコストがかかりそうですね。」

MR.イズナルディ:(くすっと笑う。)「そして、リグーリアのオリーブを語る上で大事なのがこのダジャスカという品種です。この品種は、他のオリーブとは違い、実として食べてもおいしくオリーブオイルにしてもおいしいという特性があります。

インペリアはタジャスカ種の栽培にもっとも適した土地です。また、他のオリーブの木と違い、5mや7mと伸びる背の高い木に育つ品種でもあります。そんな、品種が、海抜0mから600mの範囲に育てられていて、収穫は当然海抜の低いところから始まり、海抜の高いところの収穫は最期。10月から5月までずっと収穫が続くわけです。」

アッピ:「え〜。面白いですね。寒い時期にずっと収穫しているんですね。」

MR.イズナルディ:「このことの意味するところは、虫の問題と深い関係があります。オリーブの天敵はオリーブに卵を産む特有のハエ。このハエは熟したオリーブに卵を植えつけます。卵を植えつけられたオリーブは結果腐ってしまうんですね。熟しているオリーブほど虫がつきやすいのです。

しかし、リグーリアのこの収穫期が寒い時期にまたがっているということは、非常にオリーブ作りにとっていいことで、11月以降ハエはほとんど活動しなくなるため、ほとんど虫による害の影響を考慮することはないということです。他の州では、やむなく、化学薬品でこれらの虫を退治しているところもありますが、このリグーリアにおいて、そのような心配はほとんどありません。」

アッピ:「つまり、とっても自然で安全というわけですね」

MR.イズナルディ:「そうなんです」
 
アッピ:「イズナルディさんは、4代目の当主と伺っていますが、イズナルディ家の歴史について教えていただけますか?」

MR.イズナルディ:「イズナルディ家の創業は1908年に始まります。
当時第一次世界大戦の影響で、この地域も貧困がはびこり、十分な栄養を摂ることができないひとが大勢いました。なんとか、健康を維持してもらうのに、当時毎日使うオリーブオイルにビタミン類などの薬を混ぜて薬のように使用されていたんですね。イズナルディ家は、そのようなオイルを広く供給していたんです。

その後1940年代になり、会社をオイル製造会社と薬品製造会社に分けました。そして、1990年には薬品の会社はフランスの企業に売却し、以降オリーブオイルのメーカーとしてそれに専心しております。
そして、アルドイノとの関係ですが、アルドイノ1870年代にアルドイノファミリーが始めたものです。アルドイノ社もずっと優れたオリーブオイルメーカーとして知られていましたが、後継者に恵まれず、また、アルドイノ氏が高齢のために病気になってしまったため、親しくしていた。また、同じように熱心にオリーブオイルを作っていたイズナルディ家に事業の継承を託したわけです。これが1992年のことです。」

アッピ:「イズナルディ家4代目でいらして、また、アルドイノ氏の想いも引き継いで本当に責任重大ですね。」

MR.イズナルディ:「ええ、僕は創業してくれた曾おじいさんやアルドイノ氏のオリーブオイルへの想い、伝統といったものをしっかりと後世に伝えていかなければという思いでオリーブオイル作りをしています。」
 
MR.イズナルディ:「では、オリーブオイルの作り方についてご説明しますね。
この通り、ぶどうの木の高さは非常に高いので、木に登って栗の木の棒でつついて、下に落とします。一般に機械で木を振って落とす方法がありますが、木の寿命に影響するだけでなく、完熟していないオリーブまで、落としてしまうので、当社では、この昔ながらの収穫方法を守っています。その際、地面には一面に網を敷いておいて、集めやすくします。
そして、集めたオリーブを20Lのバケツで計ってから、ロバに乗せて、丘を下り、オイルを絞る工場に運びます。

オイルを絞るプロセスは、余計な葉や枝を取り除き、水で洗い、石臼を使用してつぶします。石臼でつぶすというのは昔ながらのつぶし方で、摩擦熱が起こりにくいので現在もこのやり方を踏襲しています。
そうしてつぶしたオリーブを漉して水分を取り出します。この出てきた水分には水と油が混ざった状態なので、その中の油だけをステンレスにオイルだけがくっつくという性質を利用して取り出しています」

アッピ:「ステンレスですか???」

MR.イズナルディ:「昔は、手で上澄みをすくっていましたが、どうしても水分が多く混ざってしまうんですね。
油にストレスをかけないで、油だけを取り出す方法ということで、金属に油がくっつく性質を利用しました。ステンレスの金属にくっつけては取り出しを繰り返して、油を別の容器に移していくそうするとほぼ98%の油残り2%が水分という高いレベルで油をまず第一段階として取り出すことができます。これは、油にもストレスがなく、ステンレスは酸化しないので、油に害がない。品質を守ったまま、油を取り出せるわけです。そして、その後に2%の水分を除去するために遠心分離機にかけます。
その後、容器に入ったオリーブオイルのおりおの部分を除いた上澄みをタンクに取り出します。その後、瓶詰め前に、また、おりが出来ていますので、その上澄みだけをまた、すくい、ボトリングするわけです。うちの場合一切フィルタリングはしていません。」

アッピ:「本当に、オイルの質を損なわないということに配慮されているんですね。驚きました。」

MR.イズナルディ:「薬のメーカーをしていた頃の性質のせいか、私たちは完ぺき主義すぎるほどの完ぺき主義です。」
 
MR.イズナルディ:「では、オイルのテースティング方法をお教えしましょう。
まず、オイルのテースティングは色を見る。
次に、一方の手で温めて、一方の手で蓋をしたようにしてください。これにより、オイルの温度が高まり香りが引き出されます。その香りをかぐ。どうです。優れたテースターはこの香りだけで、どんな特徴のオイルかわかるんです。 甘味の多いオイルだとか、果実の味にとんでいるとか。このときにオイルの欠点も見つけることが出来ます。そして、口に含んで2.3秒待って、喉や鼻の奥にオイルが霧状になって届くように吸い込む」

アッピ:「う〜、難しい。喉に、ひっかかっちゃいそう。あの〜〜質問してもいいですか?オリーブオイルの効用というのは何なんでしょう?基本的な質問ですみません」

MR.イズナルディ:「そうですね。まず、1つ善玉コレステロールを含んでいる。2番目にビタミンが豊富に入っていること 3つめにそれ自体が酸化防止作用がある。4つ目に赤ちゃんに与える初乳と同じ成分を多く含んでいる。ということでしょうか?イタリアでは経験的にオリーブオイルが非常に体にいいと知っておりますし、当たり前のようなことなのです。だから、私の曾おじいさんも100年も前からこのオイルの仕事に携わって来たわけです。」

アッピ:「そうですよね。初乳と同じ成分というのは初めて知りました。それから、先ほど軽く触れられた、イタリア産と表示されているのに、スペイン産のオイルが混ざっているという話。本当なのでしょうか?そういう表示はイタリアで許されているのですか?」

MR.イズナルディ:「厳密にいうと、そういうことは違法です。が、ラベルに『イタリアでボトリングされました』と記載されているだけで、作ったと記載していないこともあり、法をすり抜けるような形そのようなものが出回っていることも確かです。
一番大事なのは、スペイン産のオイルの味を今回テースティングしてもらいましたが、香りも、味も全然イタリアのものとは違うものです。その香りと味も覚えていただき、スペイン産が混ざっているのかいないのか、わかるようになるといいですね。イタリアのオリーブオイルとは全然異なる香りと味わいがあります。それは、少し混ぜただけで、非常に強い特徴なので、イタリアのオイルの特徴を消し去ってしまいます。そういうものも市場には出回っているということを心の片隅においておいていただければと思った次第です。」
 
インタビューを終えて
 
今回、一番印象に残ったのは「金儲けはしなくてもよい。きちんと伝統を守って事業を伝えていく。それが私の曾おじいさんに対する敬意です」と言っていたイズナルディ氏。

人件費の高騰や、動物を使った運搬、手作業によるオリーブの収穫。何をとっても、非常にコストがかかっており、普通だったら、もっと高いオイルとして販売されていてもおかしくないと感じられました。氏いわく「人件費は年々上がっています。でも、販売価格を上げるわけにはなかなか行かない。つまり・・」と言って笑っていらっしゃいました。歴史や伝統、先祖への深い尊敬。近年忘れ去られてきている大事なものを見つけたような気がしました。

今年はかの有名なアルドイノ最高のオイル、アルドイノ氏が作っていた畑のオリーブだけで作ったビアンカルドは、オリーブの花の咲く時期の収穫で、花が上手くさかないと良いビアンカルドができないため、生産されない年もある、幻のオリーブオイル。
世界の著名なシェフがビアンカルドを名乗った料理を持っているほどで、必ずビアンカルドができたら、譲ってくれと言ってきかないオイル。去年はできなかったオイル今年は少し日本にも入ってきます。
トスカニーにもいくつか・・また御案内できる日を楽しみにしています。
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