アルカモの畑では、畑の担当者サルバトーレ・アルカバショさんも出迎えてくれ、畑を歩きながらクスマーノのぶどう作りについて色々な説明を受けることができました。
サルバトーレさん「クスマーノは全部で400ヘクタールの畑を所有するワイナリーです。畑はシチリア各地にあります。このアルカモの畑にはシラー、メルロー、ネロダーボラを栽培しており、今はちょうどネロダーボラを収穫中です。」
店長アッピ「日本のお客様は今年も新酒を楽しみに待っているところですが、今年のぶどうの出来はどうなのでしょうか?」
サルバトーレさん「今年は、きわめて順調です。冬は寒く、夏ははっきりと暑かったので偉大なヴィンテージとなった2004年に並ぶ出来になるのではと考えています。あえて、2004年と違うかといえば、2004年とかなり似ていますが、2005年の方が夏が暑かったということでしょうか。」
「ご覧頂くとわかるように、当社のぶどうの樹はグイヨ仕立てです。1本の樹に2つの幹を持たせ、選定して1幹に5房をならせています。樹の高さは1.8m。日陰の密度を保つように、また、光合成を十分行えるように、葉をこのように茂らせています。光合成が十分にできるということで、ぶどうは糖度を増すんですね。」
アッピ「これらの樹の樹齢は何年くらいですか?」
サルバトーレさん「樹齢は7年です。」
アッピ「土壌の性質はどのようになっているのでしょうか??」
サルバトーレさん「ここの土壌は粘土質60%、石灰質30%、砂質10%です。つまり、非常に水の吸収のいい土地といえます。粘土質が十分に水分を保ち、樹に水分を供給しています。この冬は水が不足しなかったので、十分な水が土壌に含まれ、夏に水を土壌に与えなくても自然の水だけで水分供給が済みました。」
─一通り、ネロダーヴォラ、シラー、メルロー種を見て歩きました。ぶどうを運んできた車を指差して
サルバトーレさん「ぶどうはこのようにすべて手積み。15人の人間で収穫しています。摘んでは2時間おきにカンティーナに運んでいます。この手摘みを1週間ほど続ければ、収穫は終わります。」
「みてください。」
─なにもない耕されてでこぼこだらけの向かいの畑を指差す。
サルバトーレさん「こちらは新しく畑を作ろうとしているところです。開墾したところで、これが雨が降ると平らになります。そこに、来年ぶどうを植えます。」
─一通り説明を受けて、写真をぱちり、一緒にとっていただきました。
その後パルティニコの美しいオフィスに移動。現在カンティーナを大幅増築中で残念ながらカンティーナ内には入れませんでしたが、別棟のテイスティングルームで試飲とお話をさせていただく機会に恵まれました。
試飲には、シチリア内の販売責任者フランチェスコ・サニータさんがお付き合いくださいました。
今回特に感銘を受けたのはアンジンベ2004
。
フランチェスコさん「アンジンベはワインスペクテイターで、100種類のコストパフォーマンスの高いワインの1本に選ばれており、90ポイントという高得点を得ているインツォリア、シャルドネで作られる上品な白。海抜700mの畑フィクッツァでできるぶどうを使用しています。」
─ヤレ2004シャルドネ100%を試飲しながら
アッピ「このヤレとアンジンベの違いはなんですか?」
フランチェスコさん「ヤレもアンジンベと同じフィクッツァの畑のぶどうを使用しています。ヤレは6〜7ヶ月間の樽熟成を行っており、アンジンベはステンレスタンクでのみ造っています。一方同じ白のクビアはフィクッツァのインツォーリアで造りますが、これは20ヘクトリットルの大樽で20ヶ月の熟成をさせています。」
─試飲をしている途中で、この会社を2人の兄弟で仕切っているというご兄弟の弟、ディエゴ・クスマーノさん(マーケティング担当)が挨拶に来てくれました。
長身でとってもハンサムな顔立ちのディエゴさんはお会いしてみるととてもお若くていらっしゃるのでかなり驚きました。
思わず「いくつなんですか〜〜??」
と質問してしまうと
ディエゴさん「いくつだと思う??」
というと同時に、両手で機関銃の形を作って私を打つ真似をしています。
笑いながら、「37歳?」
というと、「34歳です」と笑って答えられました。
アッピ「お若いのに、すごいですね。イタリアワイン界をリードしておられる。」
ディエゴ「いえいえとんでもありません。私の父もワイン造りをしていました。当時北イタリアのワイナリーにワインの桶売りをしていました。私たち兄弟が父の理解の下、ワイン醸造の実験を重ねて、ワインの醸造を開始したんです。父は今も私たちに任せて監督してくれています。」
アッピ「愚問ですが、ものすごい勢いで畑を拡大どんどん、海外に進出していらっしゃいますが、シチリア以外でのワイン生産をお考えですか?」
ディエゴ「いいえ、シチリアが私たちの拠点です。シチリア以外でワインを造ることはまったく考えていません。その前に耕すべき畑がたくさんありますから。」
─ネロダーボラ、シラーのベヌアーラ2004、ガンベロロッソでトレビッキエリを獲得したサガナ2003とノア2003を試飲後、用事があるために退席されたディエゴさん。
とても素敵な方にお会いできてよかったなぁなんて思いました。
─退席後、マリア・レオーネさんに質問
アッピ「ディエゴさんって独身?既婚?」またまたふざけた質問
笑いながら、
マリアさん「ディエゴは結婚しています〜」
アッピ「それにしても、どこまで大きくなって行くんでしょうか?すごい勢いですよね」
マリアさん「私にもわからないわ〜。今400ヘクタールを所有しているけどまだ半分しかぶどうの樹は植えてないし。ディエゴたちは本当にすごいパワーなのよ。」
─ディエゴさんと同級生というマリアさん。とてもリラックスして答えてくれ、友達のような親しさを抱きました。
その後、遅い昼食に行くのにいいレストランを伺い。思う存分シチリアの幸を堪能しました。満足! |