■3月23日 アヴィニョネジ社 エドアルド・ファルヴォ氏 突撃取材!



3年以上も前から大好きだった、
スーパートスカン‘デジデリオ'やなかなか入手が難しくなってきた
‘50&50'の造り手アヴィニョネジの輸出部長であり、
同社の創始者で現在副社長でもある
アルベルト・ファルヴォ氏の長男
エドアルド・ファルヴォ氏来日ということで
突撃インタビュー! 行ってきました。

アッピ 「こんにちは、はじめまして。今日は、貴重なお時間を頂戴しましてありがとうございます!」
ファルヴォ氏 「はじめまして、こちらこそお会いできて嬉しいです。」
アッピ 「アヴィニョネジの歴史は14世紀に始まり、イタリア最古のものなんだそうですね。」
ファルヴォ氏 「ええ、アヴィニョンから来た人たちという意味でアヴィニョネジなのですが、フランスから来た貴族たちがローマ、シエナ、モンテプルチアーノにわかれたようです。シエナのこの醸造所はイタリアでももっとも古いワイナリーのひとつに数えられ、私の父たちが、1974年にアヴィニョネジ家から所有地と名前を引き継いだ当初事務所として使っていた建物も、ルネッサンス時代16世紀半ばに建てられた由緒あるものです。」
アッピ 「お父様と、おじ様が当時アヴィニョネジ家を買い取られたときは、どんな事業をされておいでだったのですか?また、どうして、ワイン造りに注目されたのか?ずいぶん先見の明がおありだったんですね。」
ファルヴォ氏 「私の父は、ホテルを経営していました。また、叔父は農学博士でもあり、農業をしていたんです。父たちは当時からフランスワインを飲んでいて、イタリアワインの品質の遅れに気が付いていました。世界に通用するイタリアワインを。そんな想いでワイン造りは始まったんです。折も折、エノロゴの偉大な指導者ジャコモタキス呼びかけを受けて、アンティノリ、カステロディアマサシカイア、そして、当社アヴィニョネジが立ち上がりました。これが、イタリアワインの品質の復興、ワインのルネッサンスと呼ばれる動きになりました。」



アッピ 「おわん型の大地に、ワインを放射状に植えてみて、株密度の最適度を計測する実験などもされていますよね。なかなか、しっかりとした方針と基盤がなければできないような実験ですね。」
ファルヴォ氏 「畑を受け継いですぐに、私たちは、特にぶどう畑に大きな投資をしました。円の中心に近いところは株密度が高く、円の外側は株密度が低い。このおわん型の地形は、どの部分をとっても土壌条件、気候条件、日照量が変わらないものでした。その、放射状の苗を植えた土地を密度ごとに30タイプに区分し、どのような密度のときに良いぶどうができるのかを計測したわけです。結論からいうと、株密度は高いほうが良いぶどうができるというものでした。この実験によって、木と木の感覚を1.2mに植えるということを決めたわけです。そして、その際、1本の木にならせるぶどうは1kg弱までと決めました。密度は高く、1本の木にならせるぶどうは少なくがいいというわけです。是非、うちのワイナリーにおいでください。どの株も1.2mの6角形に植えられていてそれは美しい眺めです。」
アッピ 「今回、ヴィノ・ノヴィレ・ディモンテプルチアーノを飲んであらためて、ものすごく、エレガントでおいしいワインだと再認識したのですが、ヴィノノヴィレなかなか日本では、残念なことに、まだ、まだ知られていないD.O.C.G.なのですが、ヴィノノヴィレの特徴というのは一言で言えばどんなことだとお考えですか?」
ファルヴォ氏 「先に渡したワイン法による違いも、見ていただけるとわかりやすいかと思いますが、『パワフルでありながら、エレガントでデリケートなワインだ』ということに尽きるのではないでしょうか?ボルゲリなどにも、当社はワイナリーを展開していますが(アイアヴェッキア)、ボルゲリはボルドーと非常に気候的に似ており、外来品種の栽培に適しています。が、モンテプルチアーノとは、できるワインが違います。ヴィーノノヴィレは、オープンでパワフルで集約的でなによりデリケートな味わいです。」
アッピ 「そうですね。華やかで力強くて第一印象の強いワインがもてはやされたりしていますが、そういうワインは飲む方も疲れますよね。気合がいるというか。そういう意味で、今日いただいたヴィーノノヴィレはほっとするような、やさしい味がありました。それでいて、気品を備えているので、オールドヴィンテージのやわらか雰囲気のワインのように、日常的に上級ワインを楽しむ人にも満足を与えられる。」
ファルヴォ氏 「お褒め頂きありがとうございます。」

アッピ 「ヴィンサントの話を伺ってもいいですか?ヴィンサントほど色々なものがあって、日本人を困惑させてしまう飲み物もないのではと思いますが。アヴニョネジ社のヴィンサントは各誌絶賛ですね。」
ファルヴォ氏 「うちのヴィンサントは、ワインスペクテーターで数少ない100点満点をとったヴィンサント。高級ワインに使用されるぶどうを6ヶ月陰干し、そのときの糖度は65%にもなるんだけれども、そのぶどうを搾り、10年前のヴィンサント樽に残った、酵母(マードレ)を加えて、子ダルに入れて封印。8年から〜10年樽は開封されることなく、熟成させられます。樽に入れるときにあった50Lのモストは8年後にはわずか15Lに減ってしまいます。375mlのヴィンサントを造るのに必要なぶどうは8kg。通常の高級ワイン750mlの必要なブドウの16倍分が必要になるんですね。」
アッピ 「だから、お値段も・・」といいかけてやめる
ファルヴォ氏 (笑いながら)「そうなんです。それだけの価値があるんです。一般の方にも是非伝えてくださいね」
アッピ 「最後にボルゲリの新しい会社アイアヴェッキアの話を聞かせていただけますか?先日もソルーゴ飲みましたが、本当にすごい。感動しました。そして、安い。」


ファルヴォ氏 「グラッタマッコやオルネライアのすぐそばに畑を購入、海を眺められる最高の畑でぶどうは造られています。ワインスペクテーターでも97ポイント。ガンベロロッソでは最終選考に残る2グラスを取り、各誌、高い評価のコメントを頂戴しています。ボルゲリは外来品種の栽培にとても向いているので、アイアヴェッキアでのワイン造りも先が楽しみです。」
アッピ 「今日は長いお時間本当にありがとうございました。最後に、もうひとつだけいいですか?好きな食べ物はなんですか?」
ファルヴォ氏 「え?僕たちの地域は、キアナ牛や、チンタセネーゼなどがあります。」
アッピ 「個人的には何を好んで食べていらっしゃるの?」
ファルヴォ氏 「パスタ。スパゲッティ」
アッピ 「奥さんに作ってもらうんですか?」
ファルヴォ氏 「?ワイナリーにレストランがあるからそこで食べたり、外で食べたり。」
アッピ 「えっ?独身なの??」

ファルヴォ氏 (ニコニコしながら)「そうですよ。近々、イタリアにいらっしゃるとか?トスカーナには来るんですか?」
アッピ 「シエナに行きますが・・」
ファルヴォ氏 「近い!是非、よってもらえればいいのに。うちのレストランの料理は最高です。」
アッピ 「え〜行きたいけど、今回、過密スケジュールで、しかも、ファルヴィさんまだ日本滞在中かも・・」
ファルヴォ氏 「是非次回イタリアに見えるときにお立ち寄りください。」
アッピ 「今日は本当にありがとうございました。」


インタビューを終えて:



憧れのワイナリーアヴィニョネージは、検証に基づいたワイン作りに取り組む理論的なワイナリーという印象を持ちました。また、モンテプルチアーノでの在来品種を用いた伝統あるワイン造りを大切にする一方で、コルトナでの、外来品種への取り組みとリーダーシップ。ボルゲリでのあたらしい挑戦など、常に、世界を意識しているモンテプルチアーノにとどまらない生産者です。品質の高い、エレガントなワイン造りに対する限度のない挑戦。
今回体系的に理路整然と話してくれたエドアルドファルヴォ氏が、「パスタが好き」と話したときの愛嬌たっぷりの笑顔にほっとしました。
それにしても、50&50本当においしかった!何度飲んでも改めて、おいしいと感じてしまうそんなワインだらけのワイナリーです。
 
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■突撃インタビュー!■

《バックナンバーはこちら》
2005年2月14日 フェウディ・ディ・サングレゴリオ社 エンツォ・エルコリーノ氏
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