「革で鞄をつくるときに大変なことかい?……そうだなあ、やっぱり『型入れ』と『裁断』じゃないかなあ」
革鞄をつくる難しさについて鞄工房土屋主宰・土屋國男にたずねたところ、こんな答えが返ってきたが、これは一般の方にはちょっと意外な答えかもしれない。普通、鞄づくりで思い浮かぶ難しさといえばミシン掛けだったり、手縫いだったり、金具の取り付けだったりするのではないだろうか。職人の仕事のイメージも、これらのシーンなしでは考えられないに違いない。だが、実際に熟練職人・土屋の口から出てきたのは「型入れ」と「裁断」というちょっと聞き慣れない2つの言葉。これらはいったい、どんな作業なのだろうか。
■「型入れ」とは?
「型入れ」とは、型紙を革の適切な場所に置き、型紙の輪郭をなぞって裁断の目安にするものだ(写真TOP)。これだけの説明ではなんだかすごく簡単な作業のようだが、この「革の適切な場所」の判断が実に困難を極める。なぜならば、革はイレギュラーな要素が非常に多く、ビニールやナイロンなどの化学素材に較べ実に不均質な素材だからだ。そしてこの「型入れ」から革の裁断へと続く作業の上手下手が、製品のクオリティに大きく影響するのだという。
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