担:まず、カバン職人になろうと思った理由から聞かせてくれるかな。
伊:いや、何となくなんスけど、ずっとカバン職人になりたかったんスよ。
担:ここに入社する前から、カバンづくりの道具を自分で持ってたって聞いたんだけど、本当?
伊:ええ、自分でカバンを作ってみようと思ってたんスけど、そう思っていたときに鞄工房土屋の職人の募集があったんスよ。
鞄工房土屋には、製造部・販売部の2つのチームがある。そのどちらにも、やはりデッチ伊澤のように、モノ作りが好き・鞄が好きな人間が集まって来ている。言う間でもないが、伊澤もそのキラキラとまっすぐな目から伝わるように、鞄作りに魅了されている筆頭である。
担:憧れの職人の道へ踏み出して、5ヵ月になるけれど仕事はどう?イメージと違うなんて事はないかな?
伊:そうスね・・・睡眠時間は短くなりました(笑)。やっとここの生活リズムに体が慣れてきた感じスね。家も越してきて、最近は楽になりました。
担:作業の方は、大変じゃない?
伊:そうスねえ、大変は大変なんスけど、それ以上に楽しくて仕方がないんスよ。基本的に、モノをつくることが大好きなんで。自分が持っていなかった。
道具はいっぱいありますし、自己流で覚えようとしていたことは、ベテランの方や先輩たちがきちんと丁寧に教えてくれますし。例えば包丁なんか研い。
だことなかったスから、覚えられると思うとワクワクしますよ。
担:早くやって見たい作業ってある?
伊:包丁を上手く使えるようになりたいっス。
包丁は、職人の命のような道具である。この道具を上手く使えるようになりたいと言うところに、伊澤の将来性を感じる。今は、下仕事を覚え手順を覚え、同じ作業をくり返す日々だ。だが、ベテランの職人はこの繰り返しを行なってきた。多分、今よりも厳しいデッチ時代であったに違いない。職人は、芸術家ではない。もちろん、芸術的な技を持つ部分で言えば芸術家であるが、毎日が創作という訳ではない。その技術を持って、正確に品質の高い鞄を作り続ける、変わらずに作り続ける事が職人の時間なのである。
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